よいこのQ&A
Q:『節子、それタイタニックやない!』ってなあに?
A:某客船映画みたいにお金かけてません。有名な俳優さんも出てません。でも、作り手の意気込みは負けちゃいないぜ! という知られざる優良エンタメ作品を貪欲に紹介していくコラムだよ。アクション、SF、ホラー、面白いものは何でもアリ! レンタル屋さんに行きたくなること請け合いだァ!
エイリアンをネタにした作品……これも相変わらず多いような気がする。今回は、邦題からもおわかりのように人類とエイリアンの対決を描いたB級SFホラー作品を紹介しよう。
ダニー(ダニエル・ボールドウィン)は、妻と2人の子供(長男&長女)の4人家族。幸せそうに暮らしていたある夜、地面から湧いてきた不気味な怪物が家に侵入し、妻を殺害、子供2人も地面の中へと連れ去られてしまう。怪物=エイリアンによる襲撃でダニーの妻が全身血みどろになってうつぶせ状態で倒れている模様が、本作で描かれる1発目のショッキング系残虐描写。幸せな家庭がエイリアンによって破壊されてしまったという残酷かつ凄惨(せいさん)を極めたシーンとして忘れられない。
町の人々には信じてもらえないこの事件を、ダニーは単身、5年の歳月を費やして追い続けることになるが、その後中盤に差し掛かるまでエイリアンの姿はまったく出てこない。
この類いのホラーでお約束なのがかませ犬的なサブキャラの存在。本作では、町で続発するエイリアンによる事件(子供が連れ去られる等)を知りながらも知らんふりを決め込む市長がそれにあたる。職務中に万能薬を服用すると言って飲酒、机に足を乗っけているという時点で「市長失格」&「ダメ市長」丸わかり。さらに、続発する事件をクマやコヨーテによる仕業だと簡単に言い切る無責任極まりない事なかれ主義。そんな市長に見る者はあきれさせられること間違いなしだ。
これに対し、悪人顔丸出しのコワモテ警官がイイ味を出している。このルックス、他のアクション映画やサスペンス映画ならまず悪役として出てくるだろうと誰が見ても思うはず。顔だけでなく、声もしゃがれた低音で少し怖い。中でもダニーの義妹にチョイと声を荒げる(別にキレてないけど)シーンなんかモロにキマっている。「コイツは悪徳警官か?!」と思って見ていると、なかなか好ましい活躍ぶりを披露してくれる。本作の中でも一番頼もしい存在であった。
ダラダラと続くごく普通のドラマのような展開に飽きていたころ、やっとエイリアンが再度登場。待ちに待ったグロテスクなシーンが見られるゾ!! エイリアンたちが1人の人間を3人がかりで食い尽くし、血みどろに加えて臓物もチョイト抉り出しちゃったり。先述した無責任市長もしっかりと餌食にされ留飲もスッキリ!
この人を食い散らす凶悪なエイリアン、つまり妻子の敵に満を持してダニーたちが立ち向かう。中でもコワモテ警官はエイリアンが襲ってきてもひるむことなく蹴りを食らわせようとするなど、身体を張って戦い、ショットガンで撃退。ダニーもエイリアンに銃弾を撃ち放てば1発で消滅できることがわかると拳銃片手に堂々と撃退する。
しかし、ダニーの義妹を襲う不幸な出来事もあり、ダニーたちはさらなる不利な状況に追い込まれてしまう。さらに子どもたちの行方も気になって仕方がない……。それを押して勇敢にエイリアンと戦い、機的状況を打破して生き延びようと奮闘するその姿はきっと見る者を勇気づけるだろう。
それにしても、本作のエイリアンは1発の銃弾を撃ち込みさえすれば緑色の光を放ち最終的には砂利になってしまう。撃退方法だけを見ればかなり簡単。人々も拳銃1丁と大量の銃弾さえ持っていれば簡単にやっつけられるが、数が多いというのが難点。オマケに凶暴で見た目もなかなか気持ち悪い。
上映時間は85分と短めの本作。中盤までの若干凡庸なシーンをもう少しコンパクトにまとめてエイリアンによる恐怖や残虐ぶりを最初から最後まで随所にうまくちりばめていればもっと良かったと思う。でも、中盤以降はしっかりと面白さを発揮してくれたのだからそれだけでも十分だ!!面白さを味わえるお手ごろな作品である本作は、エイリアン、クリーチャー、モンスター、怪物はもちろん、グロテスクシーンが描かれるホラー作品がお好きな方にはオススメしたい。
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『地底からの侵略 人類VSエイリアン』作品概要
- 原題:「BORN OF EARTH」
- 出演:ダニエル・ボールドウィン、ジェニファー・キンサー、ジェームズ・ルッソ
- 監督:トミー・ブランズウィック
- 上映時間:85分
- 販売:エプコット
- 価格:3,990円
ささき・たかゆき
「映画ライター。1982年、大阪府出身。アクション映画、任侠ヤクザ映画といった男泣き&男臭い作品が大のお気に入り。他にはホラー、コメディー、ミュージカルも……とにかくB級映画、おバカ映画をこよなく愛する
タイトルイラスト&題字:五月女ケイ子