よいこのQ&A
Q:『節子、それタイタニックやない!』ってなあに?
A:某客船映画みたいにお金かけてません。有名な俳優さんも出てません。でも、作り手の意気込みは負けちゃいないぜ! という知られざる優良エンタメ作品を貪欲に紹介していくコラムだよ。アクション、SF、ホラー、面白いものは何でもアリ! レンタル屋さんに行きたくなること請け合いだァ!
「ストリッパー」は手軽にB級感を醸し出せる良い素材だ。ゾンビとストリッパーを融合させた『ストリッパー・ゾンビランド』に続き、今度はオオカミ男とストリッパーによるホラー作品が登場。原題は「Stripper VS Werewolves」ということで、ストリッパーたちがオオカミ男を相手に激闘を繰り広げるというアクション要素が盛り込まれている。
監督はジョナサン・グレンデニングという方で、本作以前にも『ナイト・ウルフ 人浪憑異』(10)という未公開ホラー作品でオオカミを題材にしている。
ロンドンのストリップクラブ「ヴィクセンズ」でジャスティス(アデール・シルヴァ)というストリッパーがプライベートダンスの真っ最中、男性客が興奮の余りにオオカミ男に変貌してしまい、そのまま彼女に襲いかかる。だが、彼女は持っていたペンで男の目を突き刺して殺害。その後、彼の仲間であるオオカミ男軍団がストリップクラブに乗り込み、ストリッパーたちを襲撃する。ストリッパーたちは武器を片手にオオカミ男に真っ向から挑む……というお話。
冒頭には迫力満点の大爆破シーン、コミック調のスタイリッシュな映像、画面分割を駆使するといったセンスの良い映像が立て続けに目に飛び込んでくる。だが、グレンデニング監督は見せ方にこだわりがあるのか、こういったテクニックを多用しまくっており、ちょっとやり過ぎ感が否めない。
ストリップクラブがメイン舞台ということで、男性ならお色気セクシー描写に期待を抱くだろうが、劇中に登場するストリッパーは若くて可愛らしい美女ではなく、少し老けた美熟女だ。そんな彼女たちがセクシーなコスチュームに身を包み、色気をふりまきながらポールダンスを披露する。若さに乏しいとはいえヌードシーンがしっかり用意されている点はポイントが高い。
終盤で本作の面白さが一気に爆発する。4人のストリッパーたちはオオカミ男が相手ということで“赤ずきん”の格好をして色気をふりまきながら相手を挑発。赤ずきんの衣装を脱ぎ捨てたストリッパーの1人がショットガンをブッ放すと、残りの3人は殴る蹴るの攻撃で身体を張って闘いに挑む。だが、彼女たちの攻撃はオオカミ男の股間を蹴りつけるといった金的攻撃が多いため、男性の皆さんにおかれましては思わず股間を押さえてしまうこと請け合い。
そして、クライマックスに相応しい大掛かりな演出として爆破シーンも用意されているが、残念ながら迫力は冒頭での大爆破に比べると明らかにパワーダウンしている。最後の爆破シーンこそ、もっと盛大に燃え上がって欲しかったものだ……。
未公開B級映画だけにキャストの顔ぶれはかなり弱いが、『エルム街の悪夢』シリーズのフレディ役でお馴染みのロバート・イングランドがチョイ役で出演しているので、要注目だ。ちなみに、イングランドは『ゾンビ・ストリッパーズ』(08)ではストリップ劇場オーナー役で出演していたけど、この人は今後もストリップクラブやストリッパーを題材にしたホラー作品がお気に入りかも?!
それにしても、本作に登場するオオカミ男のデザインやメイクはダサダサで全体的な完成度は低いと言わざるを得ない。まあ、死霊がストリップをするカルト系最低悪趣味映画『死霊の盆踊り』(65)に登場したオオカミ男に比べると断然マシな方だが。
上映時間は90分と丁度良い尺。前半から中盤は描かれるホラー映画ならではのシーンとちょっとしたエロシーンを味わい、クライマックスをしっかりと楽しめば良い。とにかく、前半部のダラダラと会話の続くシーンを耐えしのげば、あとはこっちのもんだ!
『モンスター・ナイト』作品概要
- 2012年イギリス
- 原題:「Stripper VS Werewolves」
- 出演:アデール・シルヴァ、マーティン・コムストン、ビリー・マーレイ、アリ・バスティアン、バルバラ・ネデルヤコーヴァ、ロバート・イングランド
- 監督:ジョナサン・グレンデニング
- 上映時間:90分
- DVD発売日:2012/10/03
- 発売/販売:アルバトロス
- 価格:5,040円 (C) 2012 Bad Wolf Films under exclusive license to Kaleidoscope Film Distribution Ltd. All Rights Reserved.
題字・イラスト:五月女ケイ子