よいこのQ&A
Q:『節子、それタイタニックやない!』ってなあに?
A:某客船映画みたいにお金かけてません。有名な俳優さんも出てません。でも、作り手の意気込みは負けちゃいないぜ! という知られざる優良エンタメ作品を貪欲に紹介していくコラムだよ。アクション、SF、ホラー、面白いものは何でもアリ! レンタル屋さんに行きたくなること請け合いだァ!
オトナの女たちが野郎どもを相手に銃をブッ放し、身体を張って真っ向から闘う姿を描いたレナード・カバシンスキーJr.監督作品『エンジェル・ウォリアーズ』。これが未公開作品にしてはなかなか面白い。
第三次世界大戦によって世界は崩壊し、アメリカのとある都市だけは無事に残される形となった。そこには、"人喰い"という怪物が徘徊し、人口増加を嫌う女独裁者ロリンズ(デビー・D)が君臨していた。ロリンズの不条理な支配を目の当たりにしたスプリング(パメラ・サッチ)、ルカ(ダリアン・ケイン)、ヴィック(アマラ・アリエル・オフハウス)の女3人組が街を解放するべく銃器を携えて真っ向勝負を挑むが、途中でロリンズに妻子を殺されて捕らえられていたハリス(ブライアン・アンソニー)、敵サイドを裏切った美女キャリー(ルーニー・ポラダ)が仲間に加わって激闘を繰り広げていく……というお話。
「闘う女は美しくて実にカッコいい!」と思いたいが、本作の主人公3人は若くて魅力的な美女ではなく、どちらかと言えば年齢相応の美熟女という感じ。3人の中でキレイなのは、ルカ役のダリアン・ケインだ。そんな彼女たちが魅力的な衣装とガンマニアを唸らせるような銃器で存分に暴れまわってくれる上に、全裸になって美乳や美尻をさらけ出すといったセクシーサービスもしっかりと用意されているため、お父さん世代の方には嬉しいこと間違いなしだと言える。ちなみに、敵サイドのセクシーサービスもあるが、美熟女でもない単なるオバハンのロリンズがプールで全裸になっているのは正直見苦しくて頂けない。
見せ場は数々のアクションシーンだ。しかも、全編通してほとんどが何らかのアクションシーンで埋め尽くされており、見る者を飽きさせない上にテンポの良い映像表現でしっかりと楽しませてくれる。
冒頭、3人の主人公が野郎どもを銃で撃退していくシーンでは、頭部を木っ端みじんにしたり、顔面に大きな風穴を開けたりといった残酷バイオレンス風味。さらに、“人喰い”というゾンビの存在が残酷さとグロを盛り上げてくれる。
女たちの格闘アクションも見応え抜群。まずは、スプリングの前に顔面が鮮血で染まった怪奇派レスラー風のデブが現れ、一戦を交える。回し蹴りや飛び蹴りといった格闘センスを発揮するスプリングに対し、デブも力任せにリフトアップして徹底的に痛めつける。美熟女と野獣のタイマンバトルをじっくりと堪能できるのは良いが、動きが多少鈍いような感じがするのがマイナスだ。中盤を過ぎたあたりで、スプリングとキャリーがそれぞれ男を相手取る格闘戦が交互に描かれる。キャリーの方が格闘センスは少し上という感じであり、プロレス技であるフランケンシュタイナーや総合格闘技でもお馴染みの三角絞めも繰り出し、観る者をあっと驚かせてくれる。
眼目はガン・アクションや格闘戦だけではなく、爆破シーンも多数用意されている。序盤の廃墟の入り口が燃え上がるシーン、追っ手のバイクと車からの攻撃を交わしながらもスプリングがドデカ機関銃を乱射してバイクの爆破炎上、車のボンネットが炎上、手榴弾による爆炎という具合に爆破アクションファンの期待に応えているのは良いとするが、炎がCGであることが丸わかりなのはご愛敬。面白さを味わってもらうための創意工夫やアイディアを評価してほしい。
予算があれば、もっと面白く仕上がっていたと言えるB級娯楽アクション映画。上映時間は約90分で、様々な見どころが満載であるため、アクション映画ファンならそれなりに楽しめるはず。中でも、闘う女性がお好きな方、40代半ば以降のオヤジ世代の方なら適度なセクシーさとB級ムードを漂わせるアクションをのほほんと楽しめることだろう。個人的には、テレビ東京の『午後のロードショー』や今は無き『木曜洋画劇場』、関西地区でお馴染みであるサンテレビの土曜深夜の映画放映枠『ミッドナイトシアター』にピッタリの作品だと思えた……。
『エンジェル・ウォリアーズ』作品概要
2009年 アメリカ映画
- 原題:「WARRIORS OF THE APOCALYPSE」
- 出演:ダリアン・ケイン、パメラ・サッチ、アマラ・アリエル・オフハウス
- ブライアン・アンソニー、デビー・D
- 監督・脚本:リン・カバシンスキーJr.
- 上映時間:89分
- 発売:トランスワールドアソシエイツ
- 発売日:2012/08/03
- 価格:4,935円