筆者が愛して止まないNokia。だが、Nokiaに限らず、すべてが完璧無比というメーカーはもちろんない。今のNokiaには大満足であるが、好きだからこそ、あえて言わせていただきたいこともいくつかあるのだ。
機種数が多いのはうれしいが…
毎月のように投入される新機種は、Nokia好きならずとも通信キャリアや家電店なども歓迎しているはずだ。ローエンドからハイエンドまで絶え間なく市場投入されるNokiaの新製品はショップの店頭を賑やかなものにしてくれるし、消費者にとっても「Nokiaは次はどんな機種を出してくるのだろう」という期待感を持たせてくれる。
Nokia 6270(左)、6280(中)、6288(右)。6270のW-CDMA版が6280、6288のA2DP(ステレオBluetooth)対応版が6288。販売時期がだぶって登場したこともあり、前の機種を買った人はスタイルが類似しているだけに「もっと早くに出てくれれば」と思ってしまうかもしれない |
しかしときどき、類似した製品が続けて市場投入されることがある。せっかく購入した新機種が、半年もしないうちに機能の向上した似たような製品に置き換わってしまうこともあるのだ。最近は海外でも携帯キャリアと固定契約を結ぶことで端末を安価に購入する利用者が増えているが、この方式で端末を買うと次の端末の買い替えまでは12~24カ月待たねばならない。長期契約を結んですぐに自分の買った端末と類似した新機種が登場し、しかも機能が向上していたら、ちょっと悲しくなってしまうのではないだろうか。ならば最初から新しい機種を出してくれればいいのに…なんて思う人も中には出てくるかもしれない。もちろんそれぞれの端末はターゲット層や設計思想が異なっているのだろうが、ちょっとした改良であれば、ぜひとも前倒しして早めにその機能を搭載してほしいものである。
なお端末の販売スケジュールはNokiaからの出荷時期とは別に、各国の販売ディーラーに大きく委ねれらているようである。機種が多すぎてディーラーも販売戦略を立てにくくなり、都合上類似した製品が連続して市場投入されてしまうこともあるのだろう。このあたりは「売る機種がない」メーカーに比べればはるかにいいことではあるのだが。
日本でももっとNokia端末を出してほしい
ドコモとソフトバンクがW-CDMA方式を採用したことにより、海外と日本との通信方式の壁が取り払われ、今では海外から日本へ渡航する多くの外国人が自国で使っているW-CDMA端末をそのまま日本でローミング利用できるようになっている。筆者も日本渡航時は普段香港で使っているNokiaのW-CDMA端末を持ち込み、香港の電話番号のまま便利に利用している。
NokiaのW-CDMA端末は現行だけでも約10機種が海外で販売されている。しかしこれらのうち、日本ではソフトバンクから1機種、ノキア・ジャパンから1機種が発売されているだけだ。マルチメディアコンピュータ"Nseries"のハイエンド機種や、手ごろに買えるファッション端末など、魅力的な日本でも使える端末が多数存在しているのに、残念ながら日本では販売されてはいない。もちろん日本は各キャリアが独自のサービスを展開しており、それらを完全に利用できない端末は販売できないという事情もある。またNokiaのブランドが完全に確立していない現状では、利益を上げるだけの販売数を確保できないという事実もあるだろう。
しかしすでにノキア・ジャパンは英語版のGSM端末を海外専用携帯として販売している。ならば英語版W-CDMA端末をそのまま販売してもいいのではないだろうか? もちろんW-CDMA機となると日本国内でも利用できてしまい、サポートが必要となってしまうため「日本国内利用はノーサポートとし、海外で高速パケット通信のできる端末」として販売する道もあると思える。
もちろんそれをやるにはノキア・ジャパンの営業やサポートチームの方々には今以上の苦労が発生することは十分承知している。しかし筆者が日本に持ち込んだNokiaのW-CDMA端末を見た人から「こんなにステキな端末があるのに、どうして日本で売らないのでしょうね?」と言われるたびに、筆者としてはもどかしさを感じてしまうのだ。香港で発売されるやいなや即完売となり、今でも入荷待ちの続いているNokia Eseries E65などは「オトナケータイ」として日本でも十分通用すると思える。通信キャリアの機能がフルに利用できないならば、「日本の携帯とNokiaの携帯」と2台持つスタイルがあってもいいのではないだろうか。
ちなみに香港では、Nokia香港が英語版のまま発売した端末にサードパーティ製の中国語入力ソフトをプリインストールしたこともあった。日本でも簡易的な日本語入力ソフトをどこかが開発し、それをノキア・ジャパンが添付して「ノーサポート、試供品」として利用してもらう、なんて時代がやってきたらうれしいのだが…。
なかなか難しいだろうが、日本でのラインナップ増加はぜひいつか実現してもらいたいものだ。
さて最終回となる次回は、今後のNokiaの展望などを含めて総括したいと思う。