世界の販売シェア30%台とトップの座をキープし続けているNokia。これだけNokiaの端末が売れているのは同社の製品に魅力があるからにほかならない。ではこの魅力はいったいどこにあるのだろう?

魅力その1 - とにかく多いNokiaの端末バリエーション

携帯電話普及期に入った今の時代、人によって端末に求めるものは千差万別であり、価格重視、使い勝手重視、機能重視、デザイン重視などなど利用者のニーズは多様化している。「機能がぎっしり詰まっていればなんでもいい」とはならないわけだ。このため各携帯電話メーカーはさまざまな端末をリリースしているが、Nokiaの製品バリエーションは他社より圧倒的に多い。これはNokiaが携帯電話の利用者層を11のセグメントに分けているからだ。すなわちすべての携帯電話利用者のニーズに応えるには、最低でも11種類のバリエーションが必要と同社は考えているのだ。

つまり、Nokiaは多数の製品を「数打ちゃ当たる」式で売っているのではない。「すべての製品にきちんとしたターゲット層があるから」こそ、世界中のあらゆる層の利用者の多くがNokiaを選び、結果として世界各国で人気を得ているわけだ。ちなみにNokiaは常時20機種前後の機種を発売しているが、シェア2位以下のMotorolaやSamsungは多くても10機種前後。圧倒的な機種の数と端末バリエーションは他社の追従を許していない。

NokiaのWebサイトを見ると、現行販売モデルはGSM/W-CDMAだけで30機種以上。国により発売されていないモデルもあるが、実際にヨーロッパやアジアなどの携帯ショップの店頭を眺めてみれば、どの国でも最も数多く展示されている製品はNokiaのモデルだ。そしてNokia一社だけでこれだけのモデルを揃えていれば「Nokiaの端末の中だけで自分の好きなものを選ぶ」ことも可能になる。これがNokiaの最大の魅力と言えるだろう。

(左)香港のキャリアのWEBサイトに掲載されている取り扱い中のNokia端末。20機種がラインナップされているが、これらが同時期に発売されているのだ。またこれ以外にも実際は数機種が発売されている。機能、価格、形状など別にさまざまな端末が揃っている
(右) 家電店の店頭(香港)。左右も含めてこのスペース、すべてNokia端末だけで占められている

これほど多種多様な製品をリリースしているNokiaは、製品のカテゴリを1000番台の数字で8つに区分している。日本ではキャリアが7/8/9シリーズのように機能別に製品の製品区分をしているが、Nokiaはターゲット別の区分となっている。そして同じカテゴリの中でも、ストレート形状や折り畳み形状、スマートフォンなど端末デザインや機能などの横の商品展開もされている。すなわち単純に数字が大きいから高機能なのではなく、ターゲット別に様々な種類の端末が用意されているのだ。

Nokiaの型番別カテゴリ

型番 ターゲット
1000 エントリー
2000 ボリューム
3000 カジュアル
5000 アクティブ/ミュージック
6000 スタンダード/ミッドレンジ
7000 ファッション
8000 プレミアム(高級)
9000 コミュニケーター

また2005年からはインターネット接続とマルチメディア機能を強化したNseries、機能とスタイルをエンタープライズ向けに特化したEseriesが加わった。発売予定も含めNseriesは14機種、Eseriesは8機種がリリースされている。高機能端末がほとんどを占めており、この2つのシリーズだけで中手メーカー以上のラインナップを揃えているのは圧巻としかいえないだろう。

Nokia Nseries、Eseries

Nseries
70系 N70/N71(804NK)/N72/N73(705NK)/N75/N76/N77
80系 N80
90系 N90/N91/N92/N93/N93i/N95
Eseries
50系 E50
60系 E60/E61/E61i/E62/E65
70系 E70
90系 E90 Communicator

魅力その2 統一された操作性

これだけ多くの製品を出しながらも、ユーザーインタフェースは標準となる「Series40」とスマートフォンの「S60」という2つがほとんどを占めており、機種を乗り換えても違和感なくマニュアルいらずで操作できる。新しい機能を搭載した新機種が登場したとしても、操作方法は階層式メニューに新たな項目が増えるだけだ。ローエンドからハイエンドまで統一された操作性をもっているからこそ高機能機種にも乗り換えやすく、一度Nokiaを買うと「また次もNokiaにしよう」と思わせてくれるのだ。

魅力その3 - 商品価値を引き上げる細かい演出

日本で携帯電話を購入するとキャリアで統一された箱に入っていることが一般的だが、海外ではメーカーや端末ごとにパッケージングなどはさまざまである。Nokiaは販売地域ごとに製品のパッケージを変えており、箱を見るだけで欲しくなるような演出がされている。またプレミアムモデルは第1回の連載に写真を紹介したようにパッケージングからして高級で、箱を見ただけでも製品が欲しくなる、そんな魅力さえも持っているのだ。またNokiaはボディカラーやデザインを変更した限定モデルを出すことが多いが、それら限定モデルもパッケージングはかなり凝っている。

さらにNokiaといえば着せ替え可能なボディ「Xpress-on Cover」に対応した機種が多いが、ファッションモデル向けのボディは「Style Pack」という名称のパッケージに収められている。本体と同じデザインのパッケージにおそろいのデザインのストラップを付属するなど、Style Packを見ただけで「本体が欲しい!」と思わせてしまう魅力はさすがだ。

スティック形状がユニークなNokia 7380のパッケージは、なんと「缶」!

Nokia 7200Limited Edition。携帯電話ではなく化粧品のようなパッケージングだ

Nokia 7200Limited Editionの箱にかけられているリボンをよく見ると、ここにも「Limited Edition」と入っている。このような芸の細かさがNokiaの製品の魅力をさらに引き上げているのだ

ファッション端末向けの着せ替えパック「Style Pack」。左のNokia 7270はボディではなく布のカバーだ。携帯電話表面に布をかぶせて着せ替えするアイディアはおそらくこの端末だけだろう

このように多くの製品をリリースするだけではなく、ターゲットを明確にした商品カテゴリ区分、統一されたUI、そして製品そのもの以外にまでも細かい気配りを効かせた商品展開などがNokiaの魅力を引き上げているわけだ。

さてこのように魅力ある製品展開をしているNokiaだが、Nokiaを大好きな筆者だからこそ、Nokiaへ言いたいこともいくつかある。次回はそのあたりをお伝えしたいと思う。