2024年に導入が迫る「新NISA(ニーサ)」。「話題になっているけど正直よくわからない」超初心者の疑問に答えます。回答してくれたのは、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんです。
## Q. 「新NISA」やらないほうがいいのはどんな人?
2024年1月から始まる「新NISA」これまでのNISA制度の良いとこ取りといった内容で、これまで4回渡って解説してきましたが、少しだけ「新NISA」のおさらいをしていきましょう。
「NISA」は証券口座の一つで、「NISA」口座で投資などをして得た利益には通常約20%(20.315%)の税金がかかりますが、「NISA」口座で得た利益は非課税になるというものです。つまり、利益がまるっと自分のものになるためより多くの利益を得ることができるということです。せっかく自分で投資をする銘柄を考えて、売買タイミングもバッチリ決まって利益を出したというのに、約20%も税金で持っていかれてしまうなんてなんだか腑に落ちないわ……と思う方こそ「NISA」口座での投資がおすすめです。
一方で「新NISA」で投資をやらない方がいいと思われる人はどんな人でしょうか。
まずは、他の証券口座でできて、「新NISA」口座でできないことを考えてみましょう。
上限を超えて積極的に投資をするスタイルの人
「新NISA」口座は投資ができる上限が年間で決められていて、つみたて投資枠は120万円、成長投資枠は240万円の計360万円、総枠で1800万円が非課税投資枠です。年間でそれ以上投資をしたいと考えるのであれば、上限がない証券口座を選んだ方が有利になる場合があるでしょう。
例えば株式をデイトレードのように頻繁に売買をすると、成長投資枠の240万円があっという間に埋まってしまう場合、売却後の投資枠の復活は翌年になるため、積極的に投資をするスタイルでは「新NISA」口座は使いにくい口座とも言えるでしょう。
損失額が大きくなった場合の救済が必要だと考える人
「NISA」口座のデメリットの一つとも言えるのが、NISA口座内で上場株式等を譲渡した場合に生じた譲渡損失は「ないもの」とみなされるため、損益通算や繰越控除をすることができません。
「NISA」口座は利益が出たときのメリットはありますが、マイナス(損失)が出たらそれで終わりです。それ以外の証券口座では、利益に対する税金はかかりますが、マイナスになったら「損益通算」や「繰越控除」を受けることができます。
「損益通算」とは一定期間に行われた売買を個別に計算し、その利益と損失を合算して最終的に利益が出ると確定申告を行わなくてはいけません(申告分離課税)。ただし、上場株式等の譲渡損失と配当金等は「損益通算が」可能であり、譲渡損が出た場合は、確定申告により、配当所得との「損益通算」によって3年間の「繰越控除」の特例を受けることで、節税ができる場合があります。
ただし、特定口座(源泉徴収あり)で取引をしている場合は、その口座内で得た利子・配当所得と譲渡損失は相殺されて自動的に税額が計算されるので、自分で「損益通算」の計算をする必要はありません。
損失が出ることを想定して投資をしている人は少ないとは思いますが、売却タイミングによっては損失が出ることもあるのが投資です。損失額が大きくなった場合の救済が必要だと考えるのであれば、「NISA」口座以外で投資をするのも一案でしょう。
そもそも資産形成をする必要がない人
「NISA」口座は投資の基本とも言われる長期にわたって、積み立てながら、地域や商品を分散してリスクを軽減しながら資産形成をするものです。また、投資をすることで将来的なインフレリスクに備えることができるとされています。しかし、長期わたってリスクを取りながら資産形成をする必要がない場合や、すでに不動産投資など別の方法で十分な資産形成がされているなら、無理に「NISA」口座で投資をする必要はないと言えるでしょう。
資産がマイナスもしくはゼロの人
そもそも論にはなりますが、キャッシングやリボ払いなど、金利が高い借り入れをしていたり、家電などが壊れてしまったなど毎月の収入では対応できない急な出費に備えるための貯蓄がない人は、まずはキャッシングやリボ払いを優先的に返済しつつ、急な出費にも対応できるお金を最低でも50万円は貯めたら、少額からでも積み立て投資を始めるとよいでしょう。もちろん、元本が減るリスクが低い預貯金の残高が100万円を超えたら、投資へまわすお金を増やすなど、バランスを考えながら資産形成をすることも大切です。
お金にはさまざまな優先順位がありますが、生活基盤を整っていない場合はまずはそこを整えることから始めましょう。
とはいえ投資も取り入れたい! とやる気があるなら、ポイ活をして貯めたポイントを「NISA」口座で投資ができる、ポイント投資をおすすめします。ポイント投資は、楽天ポイントなら楽天証券など、そのポイントで投資ができる証券会社が限られていますので、ポイント投資を始めたいポイントと証券会社を確認してから口座を開設するようにしましょう。「NISA」口座は1人1口座ですので、自分にとってベストな証券会社も考えてみるといいですね。