こんにちは。一日3時間をニコニコ動画に費やすダメ社会人、山田井ユウキです。

今日もさっそく最近流行の動画や埋もれている良動画を独断と偏見で皆さんに紹介していこうと思います。選ぶ基準はただ一つ、僕の趣味です!

皆さんは「TAS」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これだけでピンときた方は、以下の説明は読む必要がないので動画の所まで飛ばしていただいて結構です。

「TAS」とは、「Tool Assisted Speedrun」を略した用語で、エミュレータなどのツールを用いて最高・最速のプレイを目指す動画のこと。ただしソフト自体を改造する"チート"とは意味が異なり、あくまでもTASは"実機で再現可能な範囲"で最速を目指すという点が特徴となっています。

具体的にいうと、たとえばRPGのプログラムそのものをいじって、HPがゼロになってもゲームオーバーにならないようにする――というのは、"改造"にあたるのでTASとは呼べません。しかし、1%の確率でしか手に入らないアイテムをツールの力を使って確実に出現させるのであれば――たとえ1%といえども確率がゼロでない限りは実機での再現が可能ですから、TASとして認められるということになります。

……よくわからない場合は、「とにかく凄いプレイ」くらいに考えていただければ、動画を見る分にはそれでOKです。

ということで、少し前のランキング動画紹介記事でもちらっと触れましたが、今回はこのTAS動画の魅力について解説しつつオススメ動画をご紹介していきたいと思います(※)。

※TASとTAPについては、今回は区別せず一括して「TAS」として扱います。ご了承ください。

なお、TASに限らずゲームプレイ動画は「やったことがないと、何が凄いのかわからない」のが常ですので、以下に挙げる作品から何かピンときたものだけご覧ください。


まずは小手調べとしてこちらの動画から。

誰もが一度はやったことがある、または目にしたことがあるであろう「スーパーマリオワールド」をチビマリオオンリーで最速クリアするというTAS動画。

限界まで最適化されたマリオの動きに思わず目を奪われますが、いちおうすべて理論上では再現可能なプレイのはずなので、挑戦してみるのもいいかも? 僕は100年経ってもできそうにないのでやめときますけど……。


同じくマリオシリーズから、懐かしの「スーパーマリオ64」のTAS。この動画は2年前のものであり、現在ではさらに記録が更新されているとのことですが、それでも十分に人知を超えた神業を堪能することができます。


ニコニコ動画では「おっくせんまん」でもお馴染みの名作「ロックマン2」のTAS動画。比較的高難度なアクションゲームとして知られるロックマンもTASにかかればこの通り。今もなお新記録が更新され続けられています。


TASは何もアクションゲームだけのものではありません。クリアに時間がかかるRPGやシミュレーションゲームにもTASは存在します。

本作は、もう15年以上も前の名作「ロマンシング・サガ2」を1時間以内でクリアするという驚異のTAS動画。うp主(動画投稿者)の「おやつの人」は、丁寧かつユーモア溢れる語り口に定評があり、ニコニコ動画におけるTASプレイヤーの第一人者として、これ以外にも数々の動画を投稿しています。


あの名作「ドラゴンクエスト3」(GB版)を、何と21分台でクリアするという信じられない動画。この動画に限りませんが、RPGにおけるTASはコマンドの入力速度が人の限界を超えているので、一回見ただけでは何をしているのかわからないかもしれません……。なお、うp主の解説にもある通り、この動画は見る人の思い出をことごとく粉砕していくので注意が必要です。


恋愛シミュレーションゲーム史に残る名作「ときめきメモリアル」のTASという珍しい動画。1時間を切るという驚異的なクリアタイムはもちろん、その徹底した効率重視のプレイにも注目してご覧ください。


TASの中には、「え、それTASする意味あるの!?」と驚いてしまうような作品もあり、そうした動画はニコニコ動画では通称「TASさんの休日」と呼ばれています。本作もその一つで、本来なら田舎暮らしをゆったり満喫するのが目的の「ぼくのなつやすみ」を最速でクリアするという、少しズレた遊び方が見ていてどこか笑えるTAS動画。投稿者は先ほどの「おやつの人」で、相変わらず詳細な解説がユーモラスです。


同じく「TASさんの休日」シリーズから、日本全国で脳トレブームを巻き起こしたあのソフトをTASプレイ。このソフトに最速とかあるのか? と思われるかもしれませんが、ご覧いただければその凄さがわかるはず。


「ぷよぷよ」や「テトリス」にハマったことがある人なら、一度は脳内でぷよぷよをイメージプレイしたことがあるはず。そういう脳内プレイのときは、都合の良いぷよぷよが落ちてきて理想的な連鎖が簡単にできたりするものですが、現実はそうはいきません。しかしTASなら、そんな究極のプレイを再現することができるのです。さらにこの動画では、TAS対TASという頂上決戦が実現。最高の頭脳同士の戦いは果たしてどちらに軍配が上がるのか……。


最後にご紹介するのは、これまでに見てきたようなTAS動画が実際にどうやって作られているのかという解説動画です。制作者は先ほどもご紹介した「おやつの人」。ツールを使うということから、簡単に作ることができると勘違いしそうになりますが、TASは動画によっては何十万回というやり直しを経て制作されるため、一筋縄ではいきません。また、エミュレータ及びROMイメージには常に権利上の問題が絡むため、TAS動画を制作する場合はそのあたりに十分な配慮が必要となります。

ともあれ、スーパープレイを見て楽しむというのもまた、ゲームの遊び方の一つ。ニコニコ動画にはまだたくさんのTAS動画が眠っていますので、思い出のゲームを発掘してみるのもいいかもしれませんね。

勝手エヴァンジェリスト・山田井ユウキ

1980年生まれ。レビューサイト「カフェオレ・ライター」で、映画、漫画、ゲームなどを独自視点からレビューする他、「builder by ZDNet Japan」「ハリウッドチャンネル」など各種媒体で記事を連載中。どんなに忙しくても一日数時間ニコニコ動画に費やすという、社会人としてあるまじき生活を謳歌中。好きな動画ジャンルはゲーム実況、ボカロ、他エンタメ系全般。

(タイトルイラスト:3P3P) ※本コラムで紹介している動画は、作者やサイトなどの都合により削除されることもあります。あらかじめご了承ください。