こんにちは。一日3時間をニコニコ動画に費やすダメ社会人、山田井ユウキです。

今日もさっそく最近流行の動画や埋もれている良動画を独断と偏見で皆さんに紹介していこうと思います。選ぶ基準はただ一つ、僕の趣味です!

さて、ここ最近のニコニコ動画では、何かBGMが流行った際、それをアレンジして発表するという流れがやたらと流行しています。

その発端となった動画がこれ。


……これ自体は、皆さん一度は耳にしたことであろう某国民的アニメのBGMの一つに過ぎないのですが、タイトルの妙味や知名度、そしてなぜかランキングに上がってきたというシュールさから急速に人気が高まり、数々のアレンジ動画が投稿される事態にまで発展しました。こうなるとニコニコ動画は止まりません。

そのうちのいくつかをご紹介してみます。


もはや元ネタがなんなのかわからないほどにアレンジされた作品。何も言わずに流れてきたら絶対に気づかない自信あり。


アニメ版ドラゴンボールを見ていた人ならその懐かしさに「こんな感じだった!」と思わず手を打ってしまいそうなアレンジバージョン。BGMだけで脳が勝手に物語を作り始めてしまいます。思い出補正ってすごい。


アイドルマスターとスネ夫のコラボレーション。アレンジというよりも両者のメロディーを重ねて作られたマッシュアップ。ただそれよりもやはり画像に目がいってしまいますが……。


東方とスネ夫のコラボレーション。こういうのを聞くと、コラボの凄さももちろんですが、いわゆる"東方らしさ"というものがしっかりと確立されていて、それはもう共通認識として視聴者の中にすり込まれているんだなという事実に改めて気づかされます。


こちらはエヴァンゲリオン風にアレンジされたスネ夫BGM。アニメの該当する場面を思い浮かべながら聞くと、じわじわと笑えてきます。

……と、これ以外にも多数のアレンジ動画が投稿されるなど瞬く間にブームを巻き起こしたスネ夫BGMですが、飽きっぽいニコニコ動画ではこの手の流行がずっと続くことはありません。

数日で消費され過ぎ去ったスネ夫BGMブームを引き継ぐようにして現れたのは、まさかのファミリーマートブームでした。


全国に展開するコンビニエンスストア「ファミリーマート」では、お客さんの来店を知らせる入店音が流れるのですが、そのメロディーをアレンジして公開するという、誰も思いつかなかった(あるいはやろうとしなかった)斬新なコンセプトの動画です。

スネ夫と同じく「わりと多くの人が聞いた経験がある」「アレンジの汎用性の高さ」などから、こちらもあっという間にブームとなり、様々なアレンジバージョンが投稿されました。


もしウィーンにファミリーマートがあったらこんな入店音なのかも……というのはただの妄想ですが、そんなイメージを抱かせるほど壮大にアレンジされたオーケストラバージョン。


こちらは「戦場のメリークリスマス」を彷彿させるアレンジ作品。美しいピアノの調べに、思わず元ネタが何だったのか忘れそうになりますが、うっかり画像の中に組み込まれたファミリーマートに気づいてしまったら一瞬で我に返ってしまうのでご注意を。


当然のように東方アレンジバージョンも投稿されています。こういうのは早くやった者勝ちなので、何かネタを思いついたらとにかく一番に投稿するのがヒットの条件かもしれません(クオリティが伴っているのが条件ですが)。


80年代~90年代の小室哲哉サウンドを思い起こさせるアレンジ。世代的に直撃の僕も、これには思わず拍手!

――さて、こうした「アレンジ動画」は、もちろんこれが始まりだったわけではなく、ニコニコ動画最初期から様々なブームが現れては消えていっており、僕が知るだけでもとても長い歴史を持っています。

その中でも印象に残っているものといえば、やはり2007年のチーターマンブーム。


大百科の解説によると、「チーターマン」とは1992年にアメリカで1,500本のみ販売されたNES用ソフトで、数々のバグや処理落ちなどから、あまりにもクソなゲーム、すなわち「クソゲー」認定を受けたとのこと。

ニコニコ動画では上記の動画の投稿を皮切りにネタ動画として人気が急上昇し、特に妙に耳に残るBGMは、数多くのうp主(動画投稿者)によってアレンジされることになったのでした。


その代表格とも言えるのがこちらの「チーターガール」。元ネタを置き去りにしてしまったオシャレサウンドはクラブ等で流れていてもまったく違和感なさそう。こうしてみると音色がチープだっただけで、そもそものメロディーは優れていたということなのでしょう。


当然あるだろう……と思ったらやっぱりありました、オーケストラバージョン。こちらはずいぶん勇ましい雰囲気にアレンジされていてまるで映画音楽のようです。


同じオーケストラでもこちらはさらに大胆に原曲の雰囲気を崩している雄大なアレンジ。


サイケでかっこいいチーターマン。作ったのは誰かと思えば「桜の季節」の作者であるゆうゆP氏でした。


ゲーム音楽界でも屈指の人気を誇るイトケンこと伊藤賢治のサウンドに似せてアレンジされたチーターマン。それっぽく仕上がっており、スーファミ時代のサガを愛する人なら懐かしさに感涙間違いなし。……でも元はチーターマンなんですけどね。

……こうして見ると、まず「汎用性のあるBGMが流行」し、「様々な○○風アレンジが製作」され、「一通りネタが出尽くされたところでブームが終わる」という流れは、チーターマンブームのときからまったく変わっていないことがわかります。

よく言われる「次に何が流行るかわからない」という言葉は、実にうまくニコニコ動画の本質を言い当てていると思いますが、もしかするとあなたが何気なく投稿した作品がニコニコ動画の次のブームを生み出すきっかけになるかもしれませんね。

勝手エヴァンジェリスト・山田井ユウキ

1980年生まれ。レビューサイト「カフェオレ・ライター」で、映画、漫画、ゲームなどを独自視点からレビューする他、「builder by ZDNet Japan」「ハリウッドチャンネル」など各種媒体で記事を連載中。どんなに忙しくても一日数時間ニコニコ動画に費やすという、社会人としてあるまじき生活を謳歌中。好きな動画ジャンルはゲーム実況、ボカロ、他エンタメ系全般。

(タイトルイラスト:3P3P) ※本コラムで紹介している動画は、作者やサイトなどの都合により削除されることもあります。あらかじめご了承ください。