皆さんこんにちは、ライターの工藤寛顕です。皆さんは格闘ゲームは好きですか? 僕は「格ゲーマーです!」と胸を張って言えるほどやりこんでいるか……というと微妙なのですが、学生時代に友人と「ストリートファイターIV」をよく遊んでいたこともあって、思い入れ深いゲームジャンルのひとつです。そんな僕も、シリーズ最新作「ストリートファイター6」が発売されたということで、久々に本腰を入れてプレイしています。Discordを使って当時の友人たちとオンライン対戦すれば、まるであの日を思い出すかのよう……。

  • 大会への参加者も多く、大いに盛り上がりを見せる「ストリートファイター6」
    (C)EVO Japan 2024 実行委員会

そうしたモチベーションも冷めやらぬまま、開催が発表された「EVO Japan 2024」。格闘ゲームの世界大会「Evolution Championship Series(EVO)」の日本開催版で、毎年国内外から多くの有力選手が出場し、本家に負けじと劣らない盛り上がりを見せています。

格ゲープレイヤーなら誰もが参加できる大会ですから、これは見過ごせない! ということで、友人を誘って「ストリートファイター6」部門に参加することに。「EVO Japan 2020」にて観戦で参加したことはありますが、選手としての出場は初。ワクワクする思いを胸に、会場である有明GYM-EXへと向かったのです!

  • いざ行かん!

……などと勇んでおきながら、本戦では惜しくも(ウィナーズ、ルーザーズともに1回戦でボコボコに)敗れてしまいましたが、それはさておきこの連載は「いいものブックマーク」。会場には試合用のスペースだけでなく、格闘ゲームに関するさまざまなメーカーが出展しておりましたので、そうしたブースに立ち並ぶ「いいもの」をブックマークしていきたいと思います。……な、泣いてねえし!

業界最小クラスの薄型レバーレスに触れる

M-GAMINGブースでは、人気コントローラーメーカー「JunkFood Custom Arcades」の薄型レバーレス「SnackBox MICRO」などが展示されていました。

  • 幅253mm、奥行き133mm。主流の薄型レバーレスの中でも最小クラスのサイズ感

格闘ゲームにおいては、ゲームセンターのきょう体を再現したようなアーケードタイプのコントローラー(アケコン)が主に使われていますが、近年ではそうしたコントローラーのレバーをボタンに置き換えた「レバーレス」と呼ばれるタイプが注目されています。

なかでも通常のアケコンとは異なり、Bluetoothキーボードのように薄くコンパクトな「薄型レバーレス」が人気を集めていて、SnackBox MICROもそんな薄型レバーレスのひとつ。とはいえ、まだまだマニアックなジャンルなだけに、実際に試すことができる場所は貴重です。僕も実際に触るのは初めてで、「こんなに小さいのか!」と驚きながら試遊を楽しみました。

  • 小さいのに……否、小さいからこそスムーズな入力ができる!

SnackBox MICROの特徴はサイズだけでなく、専用のロープロファイルスイッチを採用したことによるストロークの短さもアドバンテージのひとつ。会場限定のコラボモデルでは通常モデルと形状の異なる凸型ボタンが採用されているなど、細かな操作感の違いもチェックできました。

  • 大きく描かれる「EVO」のロゴデザイン。大会ならではのスペシャル感満載

そんなコラボモデル、やはり限定のデザインがひときわ目立ちます! 大会に参加した記念にもなるし、レバーレスの購入を検討しているならぜひとも欲しいところ。こちらのブースに限らず、会場物販では割引をされているところも多かったので、思わずあちらへこちらへと目移りしてしまいます。おかしいな、闘いに来たはずなのにサイフのヒモが……。

大会コラボモデルに加え、新作レバーコントローラーも

薄型レバーレスメーカーの中でも特に人気の高い「PUNK WORKSHOP」のブースでは、人気モデル「ULTRA BOX」、「MINI BOX」のコラボモデルが展示されていました。こちらもEVOのロゴが描かれており、幾何学的なデザインが唯一無二の存在感を放っています。

  • 「ULTRA BOX」のカスタム天板モデル。近年普及している、ボタンが増設された配置が特徴的

PUNK WORKSHOPもまた、独自の低ストロークボタンで人気を博しているメーカー。プロ選手も多数愛用しているとあって知名度も高く、多くのプレイヤーが試遊に足を運んでいました。

  • レバーレスメーカーから生まれたレバーコントローラー。その特徴は……?

そんなプレイヤー達が注目していたのは、メーカー初となるレバーコントローラーの「PWS Lever(仮称)」。レバーレスで知られる同メーカーだけに、まさかのレバーモデルが登場ということで気になる方も多かったようです。こちらも試してみたところ、やや柔らかめながら狙った方向に正確に入りやすく、感触も良好。しかもレバーそのものがワンタッチで脱着可能となっており、気を使いながら大きなアケコンを運んできたプレイヤー達のうらやましげな視線を集めていました。

一般にレバーレスのコントローラーはボタンサイズが小さい(=キーピッチが短い)のが特徴ですが、こちらのレバーコントローラーもレバーレス同様に24mm径のボタンを搭載しているようで、そちらに慣れ親しんだ、もしくは検討しているプレイヤーにも魅力的な仕様となりそうです。

専用チューニングのイヤホンに、ボタンキャップの新提案?

続いて、ゲーム関連グッズの物販で賑わっていたGRAPHTブース。試遊コーナーには、ストリートファイター6専用のチューニングが施されたゲーミングイヤホン「THE DRIVE IMPACT」が展示されていました。

  • ブースではゲームも試遊可能で、実際のサウンドを確かめらた

「格闘ゲームで音質って重要なの?」と思われる方もいるかもしれませんが、相手の攻撃にいち早く反応する際、エフェクトのサウンドやボイスで判断するという場面も少なくありません。実際にこのイヤホンもそうしたSE周りの音が聴き取りやすくチューニングされており、立ち上がりの速さ、そして定位の近さによるダイレクト感のあるサウンドに仕上がっていました。画面に没入して集中するという意味でも有用性が感じられますし、「勝つための周辺機器」として選ぶのもアリかもしれません。

  • ストリートファイター6の「6」のロゴデザインがあしらわれたイヤホン本体

また、展示されているアケコンには「クイックアクションボタンキャップ」なる製品が取り付けられていました。少しマニアックな話になりますが、アケコンに使用されているボタンはゲームセンターのきょう体と同じ業務用の物が多く、メンテナンスのためにパーツが分解できるようになっています。この製品はボタンのキャップ部分(指で押すところ)だけを交換することで、とっさの反応でも入力しやすい形状やサイズになっているというわけです。

  • さまざまな角度や形状が用意された、オリジナルのボタンキャップ

実際にプレイしてみましたが、ボタンキャップが大きかったり、指の届きやすい位置に伸びた形状だったりして確かに押しやすく、スト6で全然インパクトが返せない筆者でもインパクトが返せ(るような気がし)ました。これまでもボタンの静音化やストロークの調整といったアプローチは各社からされてきましたが、ボタンの形状そのものを大きく変更するという発想はほとんど見受けられませんでした。近年ではボタンの数や配置を変更するカスタマイズも主流になってきているだけに、コントローラー事情もさらに個性的になっていきそうです。

レバーレスの代名詞的メーカーが、ボタン増設へ革命を起こす!

レバーレスというジャンルを世に広く知らしめたメーカー「Hit Box」のブースでは、オリジナルボタン「C.O.M.B.O.」シリーズが参考展示されていました。

  • オリジナルボタンが搭載されたHit Boxが参考展示されていた

メカニカルキーボードと同様のCherry MXスイッチを採用し、アクチュエーションポイント(ボタンが反応する深さ)やメンテナンス性にこだわったオリジナルボタン「C.O.M.B.O. Button」だけでも魅力的ですが、さらに圧倒的な注目を集めていたのが「C.O.M.B.O. Extension」なる新ボタンでした。

  • 従来のボタンから生えるように追加されている四角いボタン

よく見る丸いボタンの横に、四角いボタンがくっついている独特の形状が異質な印象を受けますが、これの最大の特徴は、従来のボタンと置き換える形で装着できるということ。一般にコントローラにボタンを取り付ける際には、30mm(もしくは24mm)の穴に差し込む形で取り付けます。逆に言えば、新たにボタンの数を増やすためには穴を開ける必要があるため、気軽にカスタマイズするのは難しいという実情がありました。

  • 「C.O.M.B.O. Extension」本体。追加ボタン用の配線が、メインボタンの下から伸びている

しかしこのC.O.M.B.O. Extensionは、ふたつ分のボタンの配線が丸いボタンの下にまとまっているため、ひとつの穴に差し込むだけで取り付けることが可能。すなわち、コントローラに穴を開けることなく簡単にボタンが増設できるというわけです。ドリルなどの工具も持っていないし、そもそも大事なコントローラに穴を開けたくない……という方も少なくないでしょうから、こうした製品はまさに「ボタン増設の革命」となりそうです。

レバーレス入門機の決定版となるか!? 価格だけじゃない性能面にも注目

ゲーミングキーボードなどの周辺機器を取り扱うショップ「ふもっふのおみせ」ブースでは、キーボードメーカー「VARMILO」との共同開発モデルであるレバーレスコントローラー「VARMILO FK2」が参考出展されていました。

  • 緻密に描かれた天板デザインが特徴的。ゲーミング業界では少ない、柔らかなカラーバリエーションも魅力

一般的なレバーレスコントローラーが30,000円からと高額製品が多い中、この製品はなんと16,980円からという驚きの低価格を実現! ビルドクオリティも決して悪くなく、むしろ他のコントローラーと遜色ない出来栄えに見えます。しかもこの製品の特徴は価格面だけでなく、「ラピッドトリガー」という技術を導入している点にもあります。

  • ラピッドトリガーが採用された小型ボタンを搭載

これは一般的なスイッチと異なり、「ボタンを放した瞬間に入力がオフになる」という仕様によって直感的ですばやい入力を可能にするというもの。FPS系のジャンルでは主流の機能となっており、どちらかというとゲーミングキーボードに多く見られる技術でした。それがついに格闘ゲームにも持ち込まれるか……!? と話題になっているのです。

  • 裏面は全面滑り止めとなっており、膝上でも操作しやすそう

安価ながら作り込まれたレバーレスコントローラーとして、レバーレスを使用していないプレイヤーからも「これなら試してみてもいいかも」という声が多く上がっているようです。近年の大会シーンでは従来のアケコンだけでなく、レバーレスコントローラーやパッドのユーザーもかなり増えてきていますが、そうしたシェアのバランスを変える製品となりうるかもしれませんね。

大満足で大会を後にした筆者。そして……

その他にも、会場内には多くのブースが出展されており、見て回っているだけであっという間に時間が経ってしまいました。ASIブースではアケコンメーカー「QANBA」の製品が並び、デスクの中にアケコンが内蔵されている異端の製品「Qanba 2009 Arcade」は多くのプレイヤーが足を止めていました。

  • デスクとコントローラーが一体となった製品。プレイフィールはアーケードきょう体そのもの

また、会場内では国産エナジードリンク「SAMURAI ENERGY」の自販機で手軽にエナジーを補給できたり、屋外スペースに並ぶ飲食ブースで一休みできたりと、本戦以外にもゆっくりと満喫できました。

  • eスポーツといえばエナジードリンク。国産ブランドが並ぶのも日本開催ならでは?

  • せっかくなので周りにならい、思いっきり座り込んでケバブを食べる。のどかだ……

そうして大満足で帰宅した僕のカバンには、あるひとつの製品が入っていました。それは……記事冒頭で紹介した、JunkFood Custom Arcadesの「SnackBox MICRO」!!

  • 「SnackBox MICRO」通常モデルをお買い上げ。カッコイイ……!

本当は大会コラボモデルを買おうかと思っていましたが、なんとブースに到着した5分前くらいに売り切れてしまったとのこと。通常モデルもセールになっていたのでオトクな買い物ではあったものの、やはり限定デザインが買えなかったのは名残惜しい……! でもせっかくなので、オリジナルデザインに差し替えて愛用したいと思います。

というわけで、格闘ゲームの熱いムーブメントが詰まった「EVO Japan 2024」出展ブースのご紹介でした。新たな相棒で腕を磨き、来年の開催があればまた参加したいですね。頑張るぞ! お相手は工藤寛顕でした。対戦ありがとうございました。

  • GG!