日立ジョンソンコントロールズ空調は、2023年11月7日、日立ルームエアコン「白くまくん プレミアムXシリーズ」の出荷式を、栃木県栃木市大平町の日立栃木体育館で行った。また、白くまくんが、日立ルームエアコンの広報部長に就任することを発表するなど、2025年に50年目を迎える白くまくんキャラクターの新しいブランド活動についても説明した。
午前10時30分から行われた出荷式には、同社ヴァイスプレジデント兼日本・アジア地域ゼネラルマネジャーの泉田金太郎氏や、栃木事業所長の永田孝夫氏のほか、栃木市産業振興部の櫻井茂部長、大平町商工会議所の田村誠志副会長などが出席。特別ゲストとして、ゆうちゃみさんが参加した。
日立ジョンソンコントロールズ空調の泉田氏は、「新たなプレミアムXシリーズは、前年モデルに比べて2倍の空気清浄能力を持ち、においを消したり、花粉を取り除く機能が進化している。また、冷やすだけでなく、暖房にも適している。自信を持って市場に投入することができる製品である」とコメント。「地域と協力しあい、サステナブルな成長を目指す。日本の社会に貢献したいと考えており、栃木から日本の製造業を元気にしたい」と述べた。
日立ジョンソンコントロールズ空調 栃木事業所の永田所長は、「日立が栃木に工場を構えて2025年に80周年を迎える。プレミアムXシリーズに加え、今年春からはスリムモデルの生産も開始した。Made in Tochigiの製品を開発、製造し、全国に送り出すことで、栃木の製造業を一層盛り上げ、日本の製造業を盛り上げる一助になりたい」と挨拶。栃木市の大川秀子市長のメッセージを代読した栃木市産業振興部の櫻井部長は、「新製品は、近年の社会情勢の変化により価値が高まった空気や部屋の清潔さ、エネルギー価格高騰に対応したものであると聞いている。栃木市で作られた製品の魅力が伝わり、日本全国の家庭に届け、多くの人々の快適な生活を支えることを素晴らしく思う。業界をリードする存在であるとともに、地域経済を牽引する中心的役割を果たしている。栃木市における雇用促進、産業発展に貢献していることに感謝している」とした。また、大平町商工会議所の阿部勝彦会長のメッセージを代読した大平町商工会議所の田村副会長は、「日立ジョンソンコントロールズ空調は、エアコン生産の国内回帰などに取り組み、栃木の産業をより元気にする原動力になっている。また、大平町に根づいた企業市民として、地域住民にも貢献している。今後も引き続き、地元企業の発展にも協力してもらいたい」と述べた。
さらに、ビデオメッセージを寄せた日立グローバルライフソリューションズ 常務取締役 COOの伊藤芳子氏は、「今年夏は未曽有の猛暑となったが、エアコンは、前年同期比3%減と厳しい市場環境だった。そのなかでも日立ジョンソンコントロールズ空調は、前年同期比12%増の実績となり、過去最高のシェアを獲得した。空気を清潔に保つことへの関心が高まり続けており、新製品に搭載した新技術はお客様のニーズにあった価値を提供できる。また、省エネにも対応している。社会課題の解決に取り組むことが、需要喚起につながる。当社としても、シェア拡大に貢献したい」と述べた。
そして、特別ゲストのゆうちゃみさんは、「栃木県に初めて訪れた。空気がきれいで息がしやすい」と語ったあと、「冷え性なので暖房器具が欲しい。また、花粉症に悩んでいるので、新製品は私にぴったり。絶対買います。いやちょうだい」と、泉田氏におねだりする一幕も。「新たな白くまくん プレミアムXシリーズを、ギャルの立場から盛り上げたい」と語った。
今回出荷した2024年度の新たなルームエアコン「白くまくん プレミアムXシリーズ」は、集塵スピードを2倍にパワーアップし、浮遊カビや菌、ウイルス、花粉などを抑制する「パワフルPremiumプラズマ空清」と、ニオイを大量の霜で捕まえ霜を溶かして排出する、国内唯一の「凍結脱臭クリーナー」を搭載。さらに、エアコン内部の清潔さにもこだわり、手入れがしにくい内部の熱交換器を自動掃除する「凍結洗浄」と、熱交換器の奥にあるファンについた油汚れまでブラッシングする「ファンお掃除ロボ」を搭載しており、エアコン内部を清潔にすることができる。そのほかにも、「ステンレス・クリーン システム」や「カラッと除湿」などの機能を独自に開発。部屋の空気とエアコン内部の両方を清潔にし、快適な空気環境を実現することができるという。
なかでも凍結洗浄は、2018年から搭載している独自機能のひとつで、同機能を搭載したエアコンの出荷台数は400万台を突破、直近の1年間では約90万台を出荷しており、出荷構成比は5年間で2倍以上に高まっているという。
白くまくん プレミアムXシリーズを生産する栃木事業所は、同社ルームエアコンの供給力と商品力を支える重要拠点と位置づけており、2023年3月には、中国で生産していたスリムエアコンの生産を栃木事業所に移管。国内市場向けルームエアコンの国内生産比率を50%以上に高める方針を打ち出している。
栃木事業所で購入している全部品件数のうち、栃木県内の取引先から購入している件数は45%、日本国内の取引先から購入している件数が70%に達していることを新たに公表。「ルームエアコンには約800部品が使われているが、そのうちの7割は日本から調達し、約半分は栃木から調達している。2024年度中には、日本国内の取引先への発注金額を、2022年度と比較して約10%増加させる。国内生産によって、リードタイムを短縮するととともに、ダブルツーリングおよびダブルソーシングの体制を整えることで、ルームエアコンの安定供給を実現する。栃木での地産地消の考え方をもとに国内生産に回帰し、地域経済への効果をさらに拡大していく」(日立ジョンソンコントロールズ空調の泉田氏)と述べた。
一方、「白くまくん」のキャラクターブランディング戦略についても説明した。
1975年に、日立のルームエアコンの製品総称として「白くまくん」を採用して以来、2025年には50年目を迎えることになる。今回の発表では、白くまくんが広報部長に就任することを発表。さらに、リアルイベントやオンラインでの企画を通じて、顧客との接点強化を進める。
日立ジョンソンコントロールズ空調の泉田氏は、「白くまくんは若く見えるが、2025年には50歳になる。9世代目であり、老若男女に親しまれているキャラクター。日本人の80~90%の人が白くまくんに触れており、自分が知っている白くまくんはどれかといった会話もできるキャラクターである。私よりも、白くまくんの方が、広報部長には適しており、受けがいい。全国のみなさんに白くまくんのブランドを伝えたいということから、広報部長に任命した」と語り、「記念すべき節目の年に向け、今後、イベントなどを通じて白くまくんとのリアルなコミュニケーションの機会を増やし、さらにオンラインでも新しい活動を展開していく」と述べた。
すでに、2023年7月には、白くまくんをモチーフとしたドームテント「白くまくんのおうち」や、夏祭り気分やミニゲームを楽しみながら、節電やエコについて学ぶことができる「白くまくんCOOL PARK」イベントを渋谷キャストで開催し、4日間の会期中に約1万人が来場したという。
「白くまくんCOOL PARKでも、白くまくんが登場すると人が寄ってくる。今日の出荷式でも、子供たちが寄ってきた。愛されキャラである白くまくんの人気を生かし、栃木で生産しているエアコンに興味を持ってもらい、エアコンの使い方や電気の削減方法、SDGsへの貢献などについて学んでもらうきっかけにしたい。人々とつながるためのスタートラインに活用していきたい」と述べた。
白くまくんは、1959年に、同社エコアンの前面パネルに白くまのシンボル―マークを貼付したのがはじまりであり、その後も製品カタログなどに使われてきた経緯がある。日立ルームエアコンの総称として、正式に「白くまくん」が採用されたのが1975年となる。
今後、西日本地域において、白くまくんによるリアルイベントを開催する予定であるほか、工場見学のアテンド、一般向け講座である「白くまくんアカデミー」の助手としての活動など、様々な展開を予定。オンラインでは、2024年から、SNSを活用した発信を強化し、白くまくんが様々な体験をしたり、ゲストを迎えた対談を通じて、社会の課題に向きあうという取り組みも開始する。
エアコンは、空気に対する関心の高まりや、猛暑が続く日本の環境変化、エネルギー価格の高騰といった社会課題において、最も直面している家電機器のひとつである。白くまくんを通じて、製品訴求だけでなく、社会課題の解決に向けた活動を行うのが今回の新たな施策といえる。白くまくんには、新たな役割が加わったともいえそうだ。