この4月から、新たに数十万人単位の若者が社会人となり、「職場デビュー」を果たすことになる。新たな人生のステージを迎えるにあたり、期待に胸を膨らませている人もいるだろうが、これまで慣れ親しんだ「学生」から「社会人」になることに対し、希望以上に不安を抱いている人もいるはずだ。
「勉強とは勝手が違う仕事への不安」「遅刻が許されないプレッシャー」「上司や同僚との人間関係」など、さまざまな心配事があるだろうが、「身だしなみ」という項目もその一つに含まれるだろう。
個性的な身なりが許された学生時代とは違い、社会人はTPOに見合った服装や持ち物が求められる。例えばスーツはその最たる例だが、これまでスーツを着る機会が限定されていた人にとっては、「正直何を選べばいいのかわからない」というのが本音のはずだ。
そこで今回、スタイルアドバイザーでタカギ&アソシエイツ代表でもあるたかぎこういち氏に、社会人としての必須アイテムを選ぶ際のポイントをうかがった。社会人として恥をかくことがないよう、ぜひとも参考にしてほしい。今回のテーマは「腕時計」だ。
新しいスタートを切る新社会人の皆様、おめでとうございます。気持ちもスタイルも切り替えて、素晴らしいステージを目指してください。そんな皆様にぜひとも身に着けてほしいアイテムが腕時計です。
スマートフォンの普及で腕時計を着用しないビジネスマンも増えました。でも、あらたまった場面でポケットから携帯電話を取り出して時間を確認するのはどうでしょうか? 時計はあなたとともに二度と戻らない大切な時を刻む相棒です。社会人として自覚を持てば、腕時計のひとつは必要です。
日本はスイスと並ぶ腕時計王国です。限りないブランド、デザイン、種類がある腕時計ですが、今回は社会人として手の届く範囲の価格(2万円前後)で、初めての腕時計選びを解説します。
まずは、スーツ着用時のビジネスシーンでの時計選びの基準をご紹介しましょう。
1.飽きないデザインで華美でない
2.直径は40mm前後の大きさ
3.控えめな厚さやボリューム
4.本体素材はステンレス、チタン
5.ベルトも同素材かレザーベルト
スーツを着ない業種の方ならスポーツタイプも許されます。スポーツタイプであっても
6.色使いは3色まで
気をつけるべきはビジネスには相手が必ずいること。それを常に意識するようにしてください。
1.セイコー ワイアードAGAW710
日本が世界に誇る時計ブランドのセイコーから、2000年に機能とファッションを融合した次世代時計として発表された「ワイアード」(つながるの意味)。その中のシリーズ「SOLIDITY」をご紹介します。
英語のシリーズ名の意味は「中身の充実」。ステンレスのアジャストバンドにステンレスケース、3針をカバーするカーブガラスで、洗練された存在感あるクロノグラフデザインです。写真はそのシリーズで唯一、文字盤の一部にアクセントとしてピンクゴールドを使っています。
2.シチズン インディペンデントKB1-317-10
続いても国産ブランドの雄・シチズン。インディペンデントコレクションからイノベイティブラインの革ベルトタイプです。
カーフ革(子牛の革)ベルトにステンレススチールケースと傷つきにくいクリスタルガラス。スタイリッシュな特徴ある文字盤デザインは、同系色の淡いグラデ―ションにメタル調のリングを落とし込ませアクセントとしています。上品さが漂うベージュのベルト×ホワイト文字盤+プラチナリングと、アヴァンギャルドなブラウンベルト×ブラウン文字盤+ピンクゴールドリングの2種。他の人と同じなのは嫌な方にはお勧めです。
3.カシオ リニエージLCW-M100DE-1AJF
新しいデジタル時計の世界を築き上げたグローバルブランド・カシオです。今回は新商品のフルメタルケースのソーラー電波時計「LINEAGE(リニエージ)」を紹介します。
電波時計として、世界標準局6局からの電波を受信して自動修正機能を持つほか、ストップウオッチ、タイマー、時刻アラームなどの機能を完備。ステンレスのメタルベルトは「プッシュ&リリースバンド」の採用で、さらに使いやすくなりました。6時の位置に曜日表示を多言語・デジタルにて実現し、暗闇で時刻が見られるネオブライトも装着するなど、実用性も魅力です。文字盤のカラーはブラックとホワイトの基本的バリエーション。薄く軽いにもかかわらず、多機能が詰め込まれており、コストパフォーマンスは高いです。
4.オロビアンコ センプリチタス
最後にご紹介する時計は、イタリアのデザイナーブランドのオロビアンコです。ブランドイメージとは逆に究極にシンプルなデザインの「センプリチタス」シリーズは、イタリア語の「簡素」と「役立つ」意味の造語から来ています。
その名の通り、ブラウンのスムースレザーベルトと、サイドにロゴ入りのピンクゴールドのステンレスケースの組み合わせは、高級感に包まれたシンプルさです。文字盤はわかりやすいバーインデックス。秒針は別の小窓で見やすくなっています。ケース径38mmは日本人向けサイズで、ペアでも使用可能。保証書入れ、ケースともに型押しのクロコダイル素材で用意されており、高級感満載です。このケースでプレゼントされたら男性なら感激するでしょう。
毎日付き合う時計は、体の一部のようなものになります。自室で腕から外した時の解放感。朝に時計を付けた際の緊張感。お気に入りの時計はきっと、あなたのやる気スイッチになってくれるでしょう。頑張れ新社会人! 最後にあなたにロベルト・ユンクの格言をひとつ贈ります。止まることのない時間です。
「未来はすでに始まっている」
筆者プロフィール: たかぎこういち
スタイルアドバイザー。タカギ&アソシエイツ代表。1952年大阪生まれ。若くして輸入服飾雑貨卸業を大阪で起業。その後1998年現フォリフォリジャパングループとの合弁会社取締役に就任して以来、アニヤ・ハインドマーチ、オロビアンコ、リモワ、マンハッタンポーテージ等の海外ファッションブランドを日本市場に紹介、成功させる。
また、「東京ガールズコレクション」「デザイナーズ&エージェント」など国内外のファッションイベントにも参画。現在は日本のビジネスパーソンのファッションリテラシー向上を目指して体系化したオリジナルの「6ポインツ・メソッド」を伝えるべく、「日経DUAL」「WEDGE Infinity」などへの記事執筆や文化服装学院、東京モード学園での講師経験を持つ。
著書に「オロビアンコの奇跡」「LIKABLE GUY STYLING FILE」共に繊研新聞社刊「一流に見える服装術」日本実業出版社他。