新しい年度が始まり、新社会人となった皆さんは、期待に胸を膨らませて、いろんなことに挑戦したくなっていることでしょう。社会人となり"収入を得る"ことから、"投資"に興味を持つ人も多いと思います。あるいは「投資なんてまだまだ先」と思っている人もいるかもしれません。"新社会人は投資をやるべきか"ここで考えてみたいと思います。

  • 投資なんてまだまだ先!?

    投資なんてまだまだ先!?

投資の基本を考えれば、若い人ほど有利

資産運用の3大原則と言われているのが「長期、積立、分散」です。投資はリスクがありますが、そのリスクを減らし、効果的に増やすためには、この3つの基本がとても大事です。

このうちの2つ、"長期間積み立てる"ことを考えると20代の今から始めることが最も効果があることは明白です。

このことを理由に「新社会人こそ投資をすべき」との論調はよく聞かれます。

一方で、「若いうちは元手も少ないし、投資なんかするよりも、自分磨きをした方がよい」という論調もあります。つまり自分に投資した方が効果的ということです。

私は2つとも正解だと思います。そしてこの2つは両立できます。

自分に投資をしながら、積立投資もやる!

自分のスキルを高めるために、お金を費やすことが自分への投資だとしたら、積極的に投資をしてほしいと思います。但し、くれぐれも費用対効果を度外視した自己投資はおすすめしません。このあたりは経験値が必要ですので、情報収集をしましょう。一番信用度が高いのは身近にいる経験者の声です。身近に誰もいなければ、インターネットを活用して情報収集をしましょう。

自己投資に夢中になれば、一般的な意味での投資(お金を増やす投資)に割く時間はないかもしれません。そこで、簡単で、基本ほったらかしにできる投資をオススメします。

それが、長期、積立、分散ができる、投資信託を利用した積立投資です。

オススメはiDeCo

積立投資の話になると必ずと言っていいほど出てくるiDeCoですが、新入社員に勧めるなら、やっぱりiDeCoになります。なぜなら税制優遇があるからです。

掛金が全額所得控除となるので、給料をもらうと実感できる、所得税と住民税が減らせる効果はとても大きいものです。

たとえば、年収500万円の人が月の掛金2万円をiDeCoで積み立てた場合、年間およそ48,000円の節税ができます。これを40年間続けた場合、192万円の節税となります。

運用益については確実とは言えないまでも、投資信託のローリスク~ミドルリスク型とされる3%の利回りで40年間運用できたと考えた場合、運用益だけでおよそ892万円となり、これが非課税となります。

注意点としては、口座管理手数料や信託報酬などの手数料がかかることです。これらの手数料は加入期間中ずっとかかるので、手数料の少しの違いでも大きな差となります。

そのため、投資に労力をかけたくないとは言っても、この部分は多少時間をかけてもコストを気にして運用商品を選ぶ必要があります。

iDeCoの場合、手数料がかかるため、元本確保型の定期預金で運用すると、利子よりも手数料の方が高くつくことになります。そのため、リターンが期待できる投資信託で積極的に運用した方が良いと言えます。

しかし一方で、投資信託選びには、ある程度の投資に関する知識が必要です。iDeCoを始めることで投資の勉強もできると前向きに考えられるなら、iDeCoは向いていると言えるでしょう。

そこまで、労力をかけたくない、ほったらかしにしたいという人は、つみたてNISAで運用するという方法もあります。つみたてNISAには口座管理手数料はないので、iDeCoよりは手数料を気にせずに済みます。また、いつでも引き出すことができます。

いずれにしても新社会人におすすめの投資は、給料から天引きされる形での積立投資です。そして期間が長いほど効果があることは言うまでもありません。つまり新社会人が一番有利というわけですね。

投資を始めましょう!

投資と言うと、デイトレーダーのように、チャートとにらめっこをしているようなイメージ、あるいは、株で大儲けした、大損したという話を思い浮かべるかもしれません。それらは"投資"と言うよりは"投機"に近いものです。

新社会人がやるべき投資は「長期、積立、分散」の原則に則った、リスクを抑えた、手間のかからない投資です。そして、大切な時間は自己投資に使って欲しいと思います。

そして、お金が増えてきたら、本格的な投資に移行するのもよいでしょう。

時間は平等に与えられています。それ故に、使い方で大きな差が出るものです。新社会人は定年まで40年近くの時間を持っています。是非、この時間という宝物を有効に使ってほしいと思います。

※画像と本文は関係ありません

著者プロフィール: 石倉 博子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター/ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。"お金について無知であることはリスクとなる"という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における"お金の教養"の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。