ネット証券を選ぶときのポイントの一つに商品ラインアップの豊富さがあげられます。株の売買は現物、信用取引を含めすべての証券会社で取引可能ですが、それ以外の証券商品は、各社によって取り扱い状況が異なります。一般投資家にとって利用してみたい証券商品のトップクラスにあげられるのが投資信託(=ファンド)ですが、ネット証券ではファンドの品揃えが充実した会社とあまり力を入れていない会社に分かれます。ですから最初からファンドを投資対象として考えているなら、証券会社を選ぶ段階から取り扱い状況についてリサーチしておく必要があるでしょう。
投資信託の取扱本数総合ランキング~取扱本数が多いのは~(9月29日現在)
ファンドの種類の豊富さを見た場合、上記の表にあげたネット証券はどこも200種類以上の品揃えです。どの証券会社も人気ファンドはもちろん、さまざまな種類のファンドをそろえているので、ファンドにも投資したいと考えている人は、これらの証券会社に口座を持てば、ファンド選びに困ることはないでしょう。
その一方で、松井証券など大手のネット証券でも、取り扱いファンドは米ドルMMFだけというところも。中小のネット証券で外国株やFXなど特定の商品に特化したところでは、ファンドの取扱本数が極端に少ないケースも少なくありません。
ファンドへの投資は考えていない人や、すでに銀行などで取引していてこれ以上は必要ないと考える人などは、信用取引や外国株、FXなど利用したい商品に特化したネット証券を選ぶのがベターな選択となるでしょう。
ファンドの取り扱いの充実度を比較する場合、品揃え以外にも手数料や積立ができるかなど、コスト面や使い勝手なども併せてチェックしたいものです。ファンドの積立については、SBI140本、楽天294本など取扱本数が多い証券会社は積み立てできるファンドの選択肢も豊富なところが多いです。
ただし、積み立てでファンドを購入する場合、毎月継続的にお金を入金する手間が必要となります。その点で使い勝手がいいのが銀行からの引き落としにより積み立てができるマネックス証券やカブドットコム証券。普段使っている銀行口座から自動引き落としによるファンドの積み立てが可能です(提携銀行は各証券会社にてご確認ください)。
またマネックス証券はセゾンカードによる買付もできます。同じように楽天証券では楽天カードで買付代金のクレジット払いが可能。このようにクレジットカードが利用できれば、積立金の入金の心配をせずにファンド積み立てが利用できるので、手持ちのカードが使えるかどうかも証券会社選びの際に考慮するといいでしょう。
手数料では販売手数料が無料のノーロードファンドの取り扱いに注目。楽天(133本)、カブドットコム(124本)、SBI(110本)などがとくに充実しています。さらに投資信託は保有している間にも信託報酬という見えないコストを負担し続けることになりますが、そうしたコストを軽減するためのサービスとして、ポイント還元を実施している証券会社もあります。
マネックス証券ではファンドの月中平均残高の0.08%の12分の1にあたるマネックスポイントがもらえるサービスを実施。購入時にも手数料の1.5%相当のポイントがつきます。
楽天証券では1月1日~6月末と7月1日~12月末の2期に期間を分け、それぞれの期間の初日と末日の残高が50万円以上あれば50万円ごとに250ポイントの楽天ポイントが付与されます。
以上のようにファンド一つをとっても種類の豊富さ、積み立てのしやすさ、ポイントサービスなどコスト面でのサービスの充実度などに違いがありますので、各社のサイトなどでチェックした上で自分にとって使いやすそうなところを選びたいもの。
とくに投資信託は積み立てなども含め長期運用が基本の商品なので、サービス内容などを入念にチェックした上で長くつきあえる証券会社を選ぶことが大切です。
堀内玲子(ほりうちれいこ)
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。
FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。
著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。