ネット証券の一番のメリットは手数料の安さ。いったいどこが一番安いの? とストレートに聞きたいところでしょう。ココが一番! と即答できればいいのですが、証券会社によって手数料体系が違い、また利用する人の取引形態もまちまちなこともあり、万人におトクな証券会社は残念ながらありません。

自分がどんな取引をしたいのか考えるとともに、手数料体系がどのようになっているのかを理解することが、おトクな証券会社を探す早道です。まずは、手数料体系について見ていきましょう。

ネット証券各社の手数料体系は大きく分けると次の4パターンに分けることができます。

  1. 約定代金により手数料が段階的にアップする段階制
  2. 約定代金に料率をかけて算出する料率制
  3. 1日の約定代金合計額により手数料が決まる1日定額制
  4. 月会費を払うことで限度回数まで手数料が無料となる会費制

段階制は1取引での約定代金によって手数料が決まる方式で、たとえば表の1のように50万円ごとに段階的にアップしていく場合、約定代金が60万円でも90万円でも手数料は1,050円となります。

一方、料率制も1取引ごとの約定代金によって手数料が決まりますが、手数料は約定代金×料率で算出します。例えば料率が0.2%だった場合、約定代金が60万円なら手数料は1,200円(+消費税)、同じく90万円なら1,800円(+消費税)と段階制よりも細かく手数料が変わるのが特徴です。

ただし、料率制の場合には最低手数料が設定されているケースがほとんどです。つまり、約定代金が少額の取引の場合、一定額までは最低手数料を払わなければならないというわけです。

1日定額制は、1回ごとに手数料がかかるのではなく、1日あたりの約定合計金額を基準に手数料が決まる方式です。

たとえば1日でA株を42万円、B株を21万円で買い、C株を33万円で売った場合、1日の合計約定代金は96万円。仮に表3のような手数料体系だった場合、1日の手数料は1,050円となります。

会費制は会費を払うことによって、その月の取引が無料になる方式です。1カ月に取引できる回数や合計約定金額の上限があり、その上限を超えると別途手数料が必要になるケースがほとんどです。

証券会社によっては上限回数別に複数のコースを設定しているところもあります。頻繁に取引を行う人は、人月当たりの取引回数などを考慮して選ぶといいでしょう。会費は1カ月ごとが主流ですが、3カ月ごとの証券会社もあります。

どの手数料体系がおトクなのかは、どんな取引を行いたいかによって違ってきます。株取引初心者でまずはお試しに投資してみたいという人なら、1回ごとに手数料がかかる段階制や料率制を採用している証券会社の中から選ぶのが無難です。1日に何度も取引をしたい人は、1日定額制や会費制の証券会社のなかから絞り込むといいでしょう。

次回はそれぞれの手数料方式の中で具体的におトクな証券会社はどこなのか解説していきたいと思います。

堀内玲子(ほりうちれいこ)

ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。 96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。
FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。
著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。