ネット証券には、百貨店型と専門店型がある

最近ではFXや日経225ミニなどをはじめネットの強みを生かして機動的に取引でき、少額からハイリターンを狙える商品が注目を集めています。また日本株式以外にも外国株や海外ETFなど投資先が多様化することにより、特定の商品に興味を持っている人も増えています。

投資商品の多様化により商品の品揃えを充実させる証券会社がある一方、これらの特定商品に絞って強みを持つ証券会社も増加傾向です。総合的な品揃えを目指す大手ネット証券が百貨店なら特定商品に強みを持つ証券会社は専門店。株も投資信託もFXも少しずつ試してみたいといった人や、初めてでどんな商品を選ぶかまだ絞り切れていないといった人は品揃えの充実した百貨店のような証券会社が便利ですが、FXに絞って頻繁に取引したいとか中国株に本格チャレンジしたいという人には、専門店的な証券会社を検討するのが近道です。

特定商品に絞るなら専門店型の利用も便利

特定の商品に強みを持つ証券会社では、その商品に関する情報提供の充実度、手数料、取引のしやすさ、システムの安定度などが、百貨店型の証券会社よりも秀でているのが大きな魅力。

とくにチャート機能などの投資情報ツールは専門店ならではの充実度となっています。総合的な証券会社でももちろんチャート機能は充実しており、日本株だけでなくそのほかのマーケットの情報もカバーしているところがほとんどですが、使い勝手はその商品仕様になっていなかったり、他社からの提供ツールだったりと本格的に使うには"帯に短し"といった感がぬぐえません。

また、手数料にしても投資額が少額であればあるほど収益に与える影響が大きくなりがち。取扱商品を絞っている証券会社はそのぶん余計なコストを省いていることもあり、手数料が割安なケースが少なくありません。

また、外国株などマーケットの情報を得づらい市場に投資する場合、外国株を専門に取り扱う証券会社、とくに力を入れている証券会社なら市場動向の情報も充実しているケースがほとんど。投資できる銘柄数などでも豊富な中から選択ができるメリットもあります。

アジア株取引が充実しているアイザワ証券、ベトナム・ロシア・ドバイ株取引ができるニュース証券などがその例です。

特定商品に特化したネット証券は、FXや外国株、日経225先物、CFD(差金決済取引)などとくに短期でハイリターンを狙える商品を取り扱う会社が主流です。これらの商品に本格的に投資を考えているなら、品揃え・手数料などの点でも、専門型が有利です。

たとえばFXの場合でも、取り扱い通貨のペア数が多いのがひまわり証券、スピレッドが割安なのがフェニックス証券、アイディーオー証券とやはりFX特化型証券が強みを発揮しています。

大手ネット証券でも日本株に特化した会社も

大手ネット証券でも特定商品に特化したタイプの証券会社もあります。たとえば松井証券の場合、ラインアップを充実させ幅広いニーズに応えるよりも株式取引に特化したサービスを展開しています。そのため投資信託などのほかの商品は品揃えが充実しているとは言えませんが、株式の取引については使い勝手もよくデイトレーダーなどにも人気が高い証券会社です。また、海外ETFでは楽天証券が種類の豊富さや取引のしやすさで一歩リードしています。

このように取引したい商品によって利用者にメリットの大きい証券会社は違ってきます。投資商品の種類が増えている今、どんな商品に興味があるのか、どの程度本格的に取り組みたいのかといったことを考えた上で、自分の希望にあった証券会社を探すことがネット証券選びで成功するコツと言えるでしょう。

執筆者紹介 : 堀内玲子氏

主な略歴 : ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。