自動発注機能の定番は逆指値とW指値

ネット証券の自動発注機能はうまく使えば相場を見ることなく、システマチックに売買を完結することができます。最近は発注方法も多様化していますが、なんといっても細かいオーダーにも対応できるのがカブドットコム証券です。

自動売買のための発注方法の代表的なものには、逆指値(※1)やW指値(※2)などがありますが、これらは今や多くのネット証券で対応可能な方法となっています。

※1株価が売買注文時から「指定の価格まで下落したら売り」「指定の価格まで上昇したら買い」とする注文形態。ロスカット、トレンドフォロー等、損失の拡大を防ぎ、流れに乗って利益を伸ばすために役立つ注文形態。

※2売買注文の際に、時価の上下で指値+逆指値が設定できる注文形態。たとえば利益確定の指値注文と同時に逆指値でのロスカット注文も合わせて設定できる。

ただ、これらは発注時の相場の状況を元に指値を行うため、株価がトレンドに乗ってどんどん上昇し続けた場合には、より大きな利益の機会を逸することにもなりかねません。とくに頻繁に相場をチェックできない人にとっては、逆指値によって損失を限定すると同時に、W指値をすることで利益も限定されてしまう恐れがあります。

カブドットコム証券がトレーリングストップを取り扱い

そうしたことを避けるための方法の一つがトレーリングストップというオーダー方法。これは株価が上昇トレンドのときに、株価上昇にあわせて損切りラインを切り上げていくという発注方法です。

具体的には売り注文の場合、当日の高値から自分で決めた値幅分をマイナスした株価が逆指値の値段になるように自動的に計算して逆指値注文を出してくれるもの。つまり、買ったあとに株価が一本調子で上昇し続けるなら、トレーリングストップ注文を入れておけば相場の上昇にあわせて逆指値の株価もアップしていくというわけです。株価上昇基調の時は利益を最大限に伸ばせ、さらに逆指値ラインに下落したとしても売りそびれることなく最低限の利益を確保することができるという一石二鳥の発注方法なのです。

買ったあとの売り発注だけでなく、買いにも活用できます。たとえば株価が急落している銘柄の様子を見ながら買いたいという場合。まだ下がるかもしれないというときにはなかなか買い注文を出せませんが、下げきって株価が反転したらなるべく安いところで買いたいという人もいるでしょう。そんなときにトレーリングストップの買い注文を入れる方法が有効です。

具体的には安値から50円上昇したら反転と見ると判断したなら、安値+50円でトレーリングストップ注文をだしておきます。そうすると株価が下げている間は安値から50円以上の戻りがない限り買い注文は実行されず、反転と判断した50円の上昇をつけてから買い注文が出されることになります。

値動きの激しい銘柄では、思惑以上の価格での売買にも

ただしいいことばかりではありません。この発注方法は価格変動の激しい銘柄などでは逆指値を入れる水準によってはすぐに損切りラインに到達してしまう恐れもあります。また注文の執行は成行となるので、急激な相場の動きでは思ったよりも安く売る(あるいは高く買う)ことになる可能性もあります。

またトレーリングストップ注文を翌日以降も繰り越す場合には、当日の最初の高値と翌日の始値水準により逆指値が決まります。当日高値で引けても当初の高値と翌日の始値のうち高い方が基準となるため、高値引けで翌日は前日終値よりも低く始まった場合には逆指値水準は前日の大引けよりも低くなるので寄り付きの株価の変動が大きい銘柄を売買する場合には要注意です。

このようにいくつかの注意点はあるものの、株価の変動にあわせて自動的に売却(買付)ラインを見直せるのは大きな魅力です。相場をチェックできないからと株の売買をあきらめていた人やいつも売却のタイミングを逃してしまうという人などは、トレーリングストップ注文を売買方法の一つとして検討してみるといいと思います。

執筆者紹介 : 堀内玲子氏

主な略歴 : ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。