2010年1月に上場株式の株券が電子化される予定です。自宅に持っていたり、貸金庫などに預けてある株券は、電子化されたあとは無効となってしまいます。ただし、株券が無効になったからといって、保有していた株式が資産価値ゼロになってしまうわけではありません。株主名簿の名義人に自分の名前が記されていれば、発行会社の特別口座で管理されることとなるので、株主の権利は守られます。

ただし、相続や贈与により株券を直接もらってそのまま家に保管してある場合など、株券の名義が自分以外の名義のままである場合は、要注意です。電子化されたあとは株券の名義人の名前で管理されるため、株主総会での議決権や配当、優待の受け取りなど、株主としての権利が行使できなくなることもあります。

また自分名義の株券を持っている人も、電子化後はその株を売買する際に、証券会社に別口座を開いたりする手間がかかるため、株券電子化前に手続きは済ませておいた方が安心です。

ですので、手持ちの株券をまだ持っている人は、なるべく早く証券会社経由で入庫したほうがいいでしょう。

実際に電子化されるのは来年1月の予定ですが、それよりも1カ月以上前倒しで入庫が締め切られる証券会社がほとんどです。つまり、入庫できるのはあと1カ月足らず。名義が違うなどの状況によっては書類が必要だったり、手続きが煩雑になったりするので、なるべく早く準備を始めることが大事です。

すでに証券会社に口座を開いている人なら、その証券会社で手続きするのが一番早いですが、まだ証券会社に口座がない人やもっとお得な会社を探したいと思っている人は、これを機会にネット証券選びをするといいでしょう。

入庫後に株の取引をしたいと思っているなら、使い勝手ももちろんですが株券入庫のキャンペーンを行っている証券会社もありますので、そうしたところを狙うのも手。また、持っていた株は売るつもりがないというひとなら貸株サービスなど株を保有したまま活用できる証券会社を選ぶのもいいでしょう。

現在、株券の入庫キャンペーンを行っているのはSBI証券、松井証券、カブドットコム証券、ジョインベスト証券など。SBI証券は12月3日まで入庫や他社から株券を移管すると1回ごとに「ありがトンminiポイント」を100ポイントプレゼント。そのほか抽選で80人に現金2,000円をプレゼントするキャンペーンを実施しています。

松井証券では、11月28日までに手続きをした人の中から抽選で現物入庫コース、振替入庫コースそれぞれ60名にQUOカード(1,000円券)をプレゼント。

カブドットコム証券は、11月28日までに現物株券を入庫した人の中から抽選で400名に現金2,000円プレゼント(12月25日までに振替入庫した人もこのキャンペーンの対象となります)。

ジョインベスト証券のキャンペーンも11月28日までに入庫した人が対象。抽選で200名に現金2,000円が当たります。

貸株サービスはSBI、マネックス、カブドットコム証券などが行っています。これは保有の株を貸し出すことで金利を受け取れるサービスです。受け取れる金利は市場の状況や証券会社によって異なります。たくさんの株を保有していて当面は売るつもりがないという人は一考の価値のあるサービスです。

ネット証券への株券の入庫は、株券ゆうパックという郵送サービスが主流です。口座を開いて入庫の申し込みをし、株券ゆうパックの書類を送ってもらって郵送という流れとなるので、案外時間がかかります。手持ちの株券をまだ預けていないという人は、今すぐ行動を開始しましょう。

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執筆者紹介 : 堀内玲子氏

主な略歴 : ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。
FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。
著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)などがある。