株の売買をもっと頻繁にやってみたいけど、自由になる時間がないという人は案外多いのではないでしょうか? そうした人にとってありがたいのが、あらかじめ指示したとおりに株式売買を行ってもらえる多彩な発注方法を用意している証券会社。ネット取引をうまく使いこなせば、始終相場に張り付いていなくてもデイトレードやウィークトレードが誰でも可能になります。

通常の株の売買注文には、銘柄と数量だけ指定し、値段は相場に任せて行う成行注文と、あらかじめ値段を指定して「○○の株を300円で1000株買い」と注文を出す指値注文があります。これらは相場を見ながらその都度発注する場合に便利な方法です。ネット証券ではそれ以外にもさまざまな状況に応じた発注ができます。

その代表的なものが「逆指値」。指値注文では「株価が××円まで下がったら買い」とか「持っている銘柄が△△円まで上がったら売り」というように利益が出る値段で売買の発注するのが普通です。

それに対し逆指値は「持っている銘柄が▲▲円まで下がってしまったら売り」などのように通常の指値とは逆の値段を入れて発注を行う方法です。あらかじめ損切りのラインを決めている場合にはその値段を逆指値しておけば、相場を見ていなくても値下がりしたときに自動的に損切りをしてもらえるというわけです。

この逆指値はネット証券大手を中心に多くの証券会社で発注可能な注文方法です。

また、指値を出していてもその値段にならず、約定しないこともめずらしくありません。取引を翌日に持ち越したくないときに便利なのが「不成」という注文方法。指値で約定しなかったら場が引けるときに成り行きで執行されます。前場に出した注文は前場の引け、後場で出した注文は大引けで執行されます。この注文方法も多くのネット証券で行える方法です。

さらに使いやすくできているのが逆指値と通常の指値を組み合わせた注文方法。これは「○○円まで上昇したら利益確定の売り。逆に××円まで値下がりしたら損切りの売り」というように、売りの値段を2通り同時に入れる注文方法。これができると、買ったあとは利益確定価格と損切りラインを同時に発注しておくだけで相場を離れていても自動的に売却ができ、相場をこまめに見られなくても安心して株式投資ができます。

ちなみにこの逆指値と通常の指値を同時に出せるのはマネックス証券、楽天証券、カブドットコム証券、松井証券、ジョインベスト証券などです。

資金が限られている中で効率よく売買したいという場合に便利なのが「連続注文」。手持ちの株が売却できたらその資金を使って別の株の買い注文を自動的に出してもらえるのがこの注文方法。マネックスやカブドットコム、松井、オリックス、ジョインベストなどがこの方法で発注可能です。

ここにあげた方法以外にもさまざまな注文方法があります。いろんな場面を想定して数多くの条件付注文に対応しているのがカブドットコム証券とマネックス証券。上記のほかに買い注文を出すときにその銘柄の売りの指値も同時に入れてしまうUターン注文(マネックスはリバース注文と呼ぶ)などもできます。

またカブドットコム証券は独自の条件付注文方法があります。トレーリングストップという方法で、これは当日の高値や安値にあわせて逆指値注文を自動的に修正するプログラムを使った発注方法。具体的に言うと、当日の高値にあわせて指値を自動的に切り上げていく(買いの場合は安値にあわせて切り下げていく)ことで利益をより大きくできるというもの。相場をリアルタイムで見られなくても注文内容を自動的に修正してくれることでより大きな利益が狙えるというものです。

このように、以前だったら相場に張り付いてその都度注文を入れないとできなかったことが、細かい条件をつけた発注方法が可能になったことにより、あらかじめ注文を入れておくことで放っておいても売買ができるようになりました。

日中は忙しくて値動きを追えないなどで株の売買をあきらめていた人、もっと頻繁に売買したいと思っている人などは、ここで挙げた多彩な注文方法に対応している証券会社に注目して。細かい発注内容は証券会社ごとに異なるので、自分で一番使いやすそうな証券会社を見つけてみましょう。

ネット取引での主な注文方法のバリエーション一覧

※上から注文方法の取り扱い種類の多い順。同数の場合は五十音順に掲載。指値、成行、寄付、引け、不成注文以外の注文ができる証券会社。注文を出しておける期間の長さは考慮に入れない。

堀内玲子(ほりうちれいこ)

ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。 96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。
FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。
著書に『あなたの虎の子資産倍増計画』(PHP研究所・共著)、『年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室』(大和出版)などがある。