ネット証券の強みは、株などの取引において、安い手数料でネットや携帯などから素早く注文できることにあります。そのため、当初は信用取引を含めた株の売買に特化した会社が目立っていましたが、現在では総合証券会社と言っても過言ではない品揃えのネット証券が増えています。
まずは前回取り上げた投資信託。総合的な品揃えを目指すネット証券では、ここ数年で急速に品揃えを充実させ、多様な投資ができるに十分なファンド数をそろえているといえます。これから資産形成をしたい人に向けたファンド積み立ても取り扱う証券会社が増えていますので、これからの資産形成を考えている人はファンドや積み立ての充実度を見るのも重要です。
ネット証券の取り扱い商品例(9月末現在)
円以外にも資産を分散したいと考えている人は、外国株や外債などの取り扱いに注目。外国株は米国株と中国株が中心ですが、会社によって取扱銘柄や取り扱っている市場が異なるので興味のある市場や銘柄を扱っているかどうかをチェックしてみてください。外国株を幅広く取り扱っているのは、SBI証券、マネックス証券、楽天証券の3社。中国株に関しては松井証券が豊富な銘柄数を取り扱っていますが、米国株の取り扱いはありません。
また、外債は上記3社とカブドットコム証券で取り扱っており、償還金や利払い金などを外貨のまま決済できる口座がある証券会社もあるので、(楽天証券は2008年秋に導入予定)、為替変動による影響を受けずに外貨への投資がしやすいという点でも申し分ないでしょう。
ただし、外債の取り扱いは新発債が中心のため、既発の米国債への投資を中心に考えている人にはオススメできません。既発米国債などを購入したい人は、大和や日興など既存の証券会社を利用するといいでしょう。野村證券ではネット取引での取り扱いはありませんが、窓口なら既発債の取り扱いも豊富にそろっています。
手軽に外貨投資を試したい人には、外貨MMFがオススメですが、ネット証券の中で取り扱い通貨が多いのはマネックス証券。米ドル、ユーロ、豪ドルの3通貨を扱っています。SBIや楽天、松井は米ドルのみ。幅広い通貨に分散したいならマネックス証券がいいでしょう。
そのほかに、最近増えているのが海外ETF。これは海外市場に上場されている株価指数連動型の投資信託のことで、外国株と同じように売買できます。取り扱い銘柄数が最も多いのは楽天証券。アメリカ市場61銘柄、中国市場18銘柄を取り扱っています。次いでマネックス証券のアメリカ54銘柄、中国5銘柄となっています。
海外ETFはダウ平均やナスダック平均などの指数への連動だけでなく、アジア地域の株価指数や商品市場の指数などさまざまな指数に連動するものもあります。上場されている市場の取り扱い通貨となるので、外国株と同じように為替リスクも発生しますが、個別銘柄は選べないけど海外市場に投資したいという人に向いた商品と言えます。
そのほかにもFXや日経225先物などの商品も取りそろえ、一つの証券会社でいろいろな投資が完結できるのがネット証券大手の特徴です。手数料の安さも重要ですが、安さを追求して商品ごとに利用する証券会社を分けるのは管理が大変だしあまり現実的とは言えません。いろんな投資にチャレンジしてみたいと思っているなら、このような品揃えの良さで証券会社選びを検討するといいでしょう。
堀内玲子(ほりうちれいこ)
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。 96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。
FPとして、金融・マネー記事などの執筆・監修、セミナー講師、家計相談などを行う。
著書に『あなたの虎の子資産倍増計画』(PHP研究所・共著)、『年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室』(大和出版)などがある。