2008年にネット生保が誕生
その昔は、オフィスを訪問して回る生保レディーが販売の主力だった保険業界。しかし2008年12月に銀行の保険窓販が全面解禁となって以来、銀行やゆうちょ銀行の窓口でも保険の販売をスタート。街かどにも総合保険ショップが増えるなど、保険の販売チャネルは年々 広がりを見せています。
また、販売員が顧客に説明をしながら商品を売る対面型販売に加え、インターネットや電話による非対面型の販売も普及。年々売り上げを伸ばしてきました。この流れに乗じて誕生したのが、店舗を持たず、インターネットだけで保険を販売する保険会社「ネット生保」です。
「ネット生保」が最初に登場したのは2008年4月。まず、SBIホールディングスとアクサジャパンホールディング、ソフトバンクの出資で誕生した「SBIアクサ生命(現在はネクスティア生命に社名変更)」が営業をスタート。続いて同年5月には、マネックスグループ、三井物産などが出資した「ライフネット生命」が営業をスタートし、現在の2大「ネット生保」が出そろうことになります。
スタート当初は、インターネットのみを販売チャネルとする「ネット生保」が消費者に受け入れられるのか疑問視する声もありましたが、ふたを開けてみれば、結果は良好。両社とも着実に売り上げを伸ばしています。
また、今年7月30日には、楽天とアイリオ生命が資本・業務提携し、インターネット対応型の保険商品の開発をスタートする旨を発表。楽天が誇るインターネット販売網の活用で、さらに「ネット生保」の普及が加速することが予想されています。
さて、このように年々勢いを増している「ネット生保」ですが、2年という短期間で消費者に受け入れられた理由は一体どこにあるのでしょうか。ここからは「ネット生保」と普通の保険会社との違いを紹介しつつ、その魅力をチェックしていきましょう。
ネット生保の3大魅力を解剖
1.商品性がシンプルで、わかりやすい
ネット生保の特長のひとつには、商品性がシンプルということがあげられます。
大手生命保険の保険商品は、主契約にたくさんの特約を組み合わせることにより、保障内容を充実させるというものがほとんどです。充実した保障内容にできるというメリットもありますが、その一方、複雑で、保障内容を自分で把握することが難解であるというデメリットがありました。
一方、ネット生保が取り扱っている商品は、保障内容が非常にシンプル。たとえば、「カチッと定期」の場合は、500万円~4000万円までの保障額と、保険期間を選ぶだけです。
このように商品性をシンプルでわかりやすくすることで、対面で説明を受けなくても保険選びがカンタンにできるように工夫されており、「インターネットで保険を買う」ということに対するハードルを下げているといえます。
2.大手生保と比較して保険料が割安
「ネット生保」に人気が集まった最大の理由は、保険料の安さにあります。一般的に大手生保は多くの店舗を持ち、たくさんの従業員を雇用しているため、どうしても運営コストがかさみます。また雑誌やCMなどによる宣伝コストもかかるため、この分の経費は当然、保険料に上乗せされてしまうことに。
一方、店舗を持たない「ネット生保」では、店舗維持費や営業の人件費などのコストが大幅に削減できるうえ、申込みや変更手続きはインターネット上で行うなど、運営業務がオートメーション化されています。そのため、大手生保のように大量の申込書の印刷代や手続き等の運営にかかる人件費等もほとんどかかりません。このため、同様の保障内容の場合でも、割安な保険料設定が可能となっているのです。
3.ネットで保険料試算から加入申し込みまで完結できる
「ネット生保」が便利なのは、保険加入に関するすべての手続きが、ネットで完了できる点※。たとえば死亡保険に加入したい場合なら、まずネット上のフォームに必要事項を記入すれば、必要保障額を算出することができます。
ここで算出した必要保障額をもとに、保険料を試算。納得がいけば、申込み、健康状態の告知までネット上で完結。ネクスティア生命の場合、加入申し込みをすれば、翌営業日には加入できるかどうかの返答がメールで戻り、加入できる場合は申込日から保障が開始されます。この対応の速さも、ネット生保ならではの魅力です。 さて、このように、いいところばかりに思えるネット生保ですが、インターネット上ですべてが完結するだけに、加入に際しての判断は、すべてが自己判断となるのも事実。保険料の安さだけに惹かれて適当に加入してしまうと、将来困ることにもなりかねません。
次回以降で具体的な商品の内容や、加入する場合のメリット・デメリットなどを紹介していきますので、まずはしっかり勉強してから加入を検討してください。
※ 現在、一部例外もありますが、加入手続きをネットのみで完結できるのは、ネクスティア生命のみ。