今回は、2本の筆を同時に使った干支文字の書き方を紹介していく。2本の筆が生み出す偶然のゆがみや、かすれ具合がこのアレンジの特徴となる。書き方を伝授してくれる書家・石飛博光先生は「初心者には少し難しいかもしれませんが、マスターできると書の形の幅が広がりますよ」と語る。仕上がりが予測しにくい、サプライズ要素たっぷりの干支文字年賀状にチャレンジしてみよう。
筆は毛量の異なったものを選ぼう
石飛先生直筆の年賀状を3枚セットでプレゼント。応募はこちら |
筆選び方のポイントは、毛量が異なった2本を選ぶこと。そうすることで、ダイナミックでメリハリの付いた文字を書くことができるのだとか。また石飛先生は「筆自体を自分でアレンジしてみるのも、面白い」とも語る。古く硬くなった筆をカッターでそぎ落すことで、独特のかすれ具合が生まれるようだ。また今回は、墨一色の年賀状に出来上がるので、墨にもこだわりたいところ。石飛先生は「墨は、硯でゆっくりと時間をかけて擦ると細かい粒子となり、美しい墨液となるのでおすすめです。もし時間をかけられないのなら、質の良い墨汁を使いましょう」と教えてくれた。
筆の持ち方は、箸を持つ感覚で!
2筆使いの持ち方のコツは、箸を持つ要領で筆を持つこと。2本の筆の毛先部分を合わせるようにして持つといった具合だ。2筆使いは、筆に慣れていないと難しいかもしれないが、テンポよく書いていくのがポイントだという。慣れるまでは、半紙などを利用して練習したほうがいいだろう。
1.毛先を両方合わせるようにして持ち、左から右、そして下と筆を持っていく。2.次にわざと毛先をバラバラにして、上から下へとつなげるようにして書く。
3.続けて、ななめ左下に向けて滑らかに書く。
4.横線を一本引く。書き始めに、筆を紙面にトンと打ちつけるようにして書くのがポイント
今回の技のポイント
毛先をバラバラにしたり、合わせたりすることで、味のある面白い干支文字が生まれる。自分の感性に任せて、仕上げていこう。
初めての筆、どんなタイプがいい?
石飛先生に筆選びについてのポイントについて聞いたところ、「最初から高い筆を選ぶ必要はありません。金額的には1,000円~1,500円ぐらいの、手頃で弾力性のあるものを選ぶとよいと思います」と、教えてくれた。筆の穂には、羊毛や鹿毛、馬毛など、数十種類ある。柔軟性や耐久性などそれぞれ異なるので、書道道具専門店などで聞いてみるといいだろう。
次回は、干支文字アレンジ年賀状の連載最終回! 墨とあるものをコラボした干支文字の書き方を紹介していく。