前回にひき続き、船本芳雲先生から古代の干支文字を使った年賀状をご紹介いただく。今は使われていない古代の干支文字は、一種独特の雰囲気を持っている。先生の筆づかいを参考にしながら、自分なりの個性を持った干支文字を完成させてみよう。
殷の時代の干支文字を書く
船本先生直筆の年賀状を3名様にプレゼント。応募はこちら |
今回紹介する文字は殷の時代の文字。亀甲獣骨文字あるいは甲骨文字とも呼ばれているものだ。漢字の十二支が生活の中に取り込まれていったのは前漢の時代といわれているが、十干十二支を組み合わせて2カ月のサイクルで日付を表す方法は、前漢よりもさらに古い殷の時代の甲骨文に表されているという。「難しいお話はさておき、ねずみってこんな字があるんだ、と楽しんでもらえればいいんじゃないでしょうか(笑)。この文字はだれでも簡単に書けて、それぞれ個性のあるものに仕上がると思いますよ。」(船本先生)。
気後れせず一気に書き上げる
いわゆる"漢字"とは異なる古代文字だが、だからといって特に注意しなければならないことはない。先生いわく「いつもどおりに筆を操ればよい」とのことだ。甲骨文字はシンプルだが、書き方によって多彩なカタチに変化する。だから元の字がどういうカタチをしているかにこだわらず、自由にのびのびと書けば自分らしい干支文字に仕上がる。
1.真ん中の縦の棒を細く長く書く。ハガキの上ギリギリから天地の真ん中ぐらいまでスッと筆を入れる。2.左右の棒を左、右の順番で書く。はじめ書いた棒の半分ぐらいから筆を入れ、同じ位置まで伸ばす。
3.3本の棒の下に菱形をやや太めに書く。菱形を書いたら真ん中にバツ印を細く入れる。
4.菱形の下に「にんにょう」のような脚を書く。左、右の順に書くが、このとき右側を長く書くとバランスがよくなる。右は下でいったん止め、ハネるようにする。
今回の技のポイント
ポイントは、上の3つの線の動きと真ん中の菱形のカタチ、一番下の脚のバランスでさまざまな表情が作られる点だ。
色鉛筆で色を塗ってアクセントに
文字が書き終わって乾いたら、菱形の真ん中に色鉛筆で色を塗ってアクセントとし、最後にペンで「謹賀新年」等の挨拶文を書き入れて完成。もちろん落款を押し、殷の時代の干支文字であることの説明を追加してもよいだろう。出来上がった干支文字は、素朴でありながらどこか愛らしさを含み、幸せを運んできそうなイメージを持っている。是非挑戦していただきたい。
次回は船本先生の最終回。文字だけでなく挨拶文にもこだわりを見せる年賀状が登場する。