去り行くものと来たるもの

3月は行くものと来たるものとの季節。筆者もなんやかんやで忙しい。ご存知のとおり、寝台特急「北陸」と夜行急行「能登」の定期運行廃止が話題になっていたが、筆者も上野駅にはせ参じた。ちょっとこの1週間を振り返ってみよう。

3月7日(日)

カシオペア色のEF81-92

18時。仕事を終えて、京浜東北線田端駅で下車。東北線回送引込み線の踏切をわたり、小雨降りしきる中を尾久駅方面へ。塀越し遠くに尾久車両センターに停まるブルートレインが見える。「北陸」の客車かわからないが、雨に濡れるブルートレーンは寂寥感あふれる。この光景もあとは「北斗星」だけかと思うとさびしい。

ついで、尾久駅から東北線の4ドア列車で上野駅へ。18時50分すぎに到着したので、19時3分発の寝台特急「北斗星」が停車している13番線ホームへ急ぐ。この日の「北斗星」は、通常カシオペア色(白地に黄色、オレンジ、青色の4色塗装)のEF81-92。「北斗星」牽引の電気機関車前にはカメラを構える人が多い。一体3月12日にはどうなってしまうのか。

3月10日(水)

月曜日と火曜日は、印刷所への入稿で動けず。この日印刷所からの最終の校正(色校正みたいのもの)が夕方出たが、「明日やれることは明日やろう」というモットーのもと、上野駅に急ぐ。「能登」に使われているボンネット型の489系の車両は、平日18時40分上野発の「ホームライナー鴻巣」と、21時3分上野発の「ホームライナー古河3号」に使われている。

そこで、まずは、「ホームライナー古河3号」をカメラに収め、乗車。意外にも席は余裕でとれる。6号車のラウンジでは、自分で記念のお弁当を持ち込んだファンもいた。最初の下車駅(乗車不可)の浦和で下車し、また上野に戻る。

「ホームライナー古河3号」

「ホームライナー古河3号」のラウンジ

今日の「北陸」はEF64-1052が牽引

22時45分頃、「北陸」が13番ホーム入線。まだ最終日2日前というのに多くの人が押し掛けていた。23時3分「北陸」が発車すると、同じホームに、夜行急行「能登」が入線。鉄ちゃん対策のためだと思うが、「能登」の発車ホームは2月下旬から「北陸」と同じ13番線に変更になっていた。

ホームライナーから「能登」へ

3月12日(金)

さて、今日が「北陸」「能登」の発車最終日。デジカメ以外にフィルムカメラOM-1を引っ張りだして、撮影を試みることにした。ずは、「能登」と同じ車両を使用している「ホームライナー鴻巣」を写真に収める。

すでに、「北斗星」の発車も人が押し寄せていた

「能登」が廃止ということは、「ホームライナー鴻巣」や「ホームライナー古河3号」の車両も変わるということ。「ホームライナー鴻巣」が発車すると、ぞろぞろとカメラを抱えた人々が移動する。私も、13番線ホームに移動して、日曜日に続いて「北斗星」を収めることに。今回は赤いEF81-81。「北斗星」は赤い機関車がよく似合う。先頭車両を収める位置は、20時30分すぎから立ち入り禁止との掲示が出ている。でも、おそらくこのあたりはマスコミが占拠するのだろうな。19時を過ぎると次第にカメラを持った人が増えてくる。食事も兼ねて、上野駅の外に出る。警官が多いのは気のせいか。

22時30分すぎ、再び上野駅13番線ホームに降りていくと、さすがに人が増えている。でも、2年前の東京駅での「銀河」最終日よりは、少ない。マスコミも思っているほど多くないかも。ホーム際、ちょうどぽっかり空いている箇所があるので、50mmレンズをつけたOM-1を構えて、「北陸」が入線してくるのを待ち構える。

入線する「北陸」。OM-1で撮影

デジカメに慣れると、短焦点レンズはちょっと不便。F5.6、1/60秒に合わせ、ピントをオキピンで待つ。13番線へ、青い客車を先頭に「推進運転」で「北陸」がやってくる。推進運転士たち3人が乗り込んだ客車は、客車貫通ドアを開けつつ、いつもよりゆっくりと上野駅に到着した。

老いも若きも万歳撮影

ふと振り返ると、見物客がますます増えてきている。機関車方向にいくのは諦め、反対方向に行く。みな、デジカメばかり。私はデジカメで写真をおさえつつ、アナログのフィルムカメラOM-1でシャッターを切っていき、哀悼の意をささげた。

「北陸」が出発すると、「ありがとう」の声がし始めたが、「銀河」最終日と異なり、呼応する人は少なかった。「北陸」が発車してすぐに、「能登」が同じ13番線ホームに入線してくる。この頃ホームは人で溢れかえり始めた。2008年5月、「能登」号に乗った私は、心のなかで「バイバイ」とつぶやき、帰路につくことにした。

「能登」にかわるホームライナーが入ってきた

3月13日(土)

横須賀線武蔵小杉駅開業

この日、横須賀線の武蔵小杉駅が開業したので訪れた。まずは、東急東横線武蔵小杉駅の駅そば屋でかけそばをすすって腹ごしらえ。そして、JR同士どのようにつながっているのかを確認すると、南武線の武蔵小杉駅のホームに一旦降りて、そのホームの先に連絡通路が続いているよう。連絡通路自体は500m以上かと。ちょっと遠かった。将来は動く歩道を付けてほしい。

3月14日(日)

スイーツトレイン内部の飾りつけ。ハートのマークがかわいい

この日は鎌倉の稲村ヶ崎へちょっと遠足。帰りの江ノ電は2両編成。隣の極楽寺駅でイベントトレイン2両連結して、鎌倉駅に到着する。どんなイベントトレインかと見てびっくり、車両内にはコックさん。つり革わきにハートのマークがぶら下がっている。ウエディングかと思ったが、多数のカップルが乗り込んできたので、ホワイトデー記念だなと気がついた。イベント列車の名前は「スイーツトレイン」。ケーキの飾りに江ノ電が。乗り込んでいる男の子たちは、おとなしめの草食系男子が多いようだった。

鎌倉駅に停まるスイーツトレイン