日本一長い踏切って本当なの?
2009年5月31日、東京都拝島駅付近にある日本一長い踏切「市道北143号踏切」(東京都昭島市美堀町)が閉鎖された。約130mにもおよぶこの踏切は、JR青梅線、八高線、西武鉄道拝島線などを横切っていたというもの。踏切フェチの筆者は、偶然にも昨年12月末にこの踏切を訪れていた。そこで、その時の模様を写真でお伝えしながら、在りし日の日本一長い踏切の姿を偲んでみたいと思う。
夕方正面から「倉庫前踏切」を写した。後ろにもう一つの踏切の赤い灯が見える。実は、この写真デジカメで撮った写真を「Poladroid」というフリーウェアで、ポラっぽく加工 |
市道北143号踏切は、JR拝島駅からちょっと歩く。南口を降りて左折、コンビニを少し通りすぎ、松原4丁目のY路地を左手に100mほど歩くと、その入口に到着する。ちょっとわかりにくい位置にあった。踏切手前に留置線があって、電車が休んでいる。この日は夕方と夜の2回訪れたが、暗闇のなかで留置線の車止めのばってん印が、光るさまがシュールである。
それにしても、「日本一」というネーミングはワクワクする。ところが、日本一長い踏切といっても、ひとつの踏切が100m以上続いているわけではない。複数の踏切と中州を併せて、「市道北143号踏切」といっているようだ。
まずは、青梅線を横切る幅20mあまりの「倉庫前踏切」を渡る。極めてフツーの踏切だ。線路は3本だし。で、目の前には、保線区の建物がある。「倉庫前」というくらいだから、倉庫なのかもしれない。「え、もう渡っちゃったの? 」ってぐらい平凡だ。
同時に遮断機が下りる八高線・西武線の踏切
その脇の小道を通り、線路を2本渡る。これも一応踏切なんだろうが、ネーミングなし。そして緩やかに曲がる舗道を進むと、八高線の遮断機ありの踏切になる。これが、「八高倉庫裏踏切」。「倉庫前」「倉庫裏」って、あなた。もっといいネーミングはないのだろうかと思う。ここで私は、モノクロのブローニ版を入れた東独製ボックスカメラを構え、シャッターを切った。シャッタースピードは1/25秒と、B(バルブ)しかないので、まあおもちゃのようなカメラだけど、今はそれを使いたい気分だ。
「倉庫前踏切」と「八高倉庫裏踏切」の間の中州地帯。この間にも線路2本が通っているが、特に遮断機はなし。「市道北143号踏切」は長いため、この地帯で、電車の通過を末ことも多い。遮断機から西武線の線路手前までが「八高倉庫裏踏切」 |
「八高線倉庫裏踏切」を渡ると、西武拝島線の踏切になる。正しくは、「西武立川7号踏切」というようだ。「この踏切は西武線と八高線と併せてしゃ断します。しゃ断機が上がっている時でもすばやく通りぬけてください」との看板があった。つまり、「倉庫前踏切」と「八高線倉庫裏踏切・西武立川7号踏切」のセットというわけですわ。後者は約23m。ということは、日本一長い踏切といっても、中洲部分が一番大きいではないのか。
まあ、東海道線でも中州のある踏切はあるから、中洲があってもひとつの踏切である場合もあるから、よしとしよう。これら踏切(群)は、けっこう通行量が多い。特に、自転車。若いのから、お年を召した方まで幅広い。ただし、幅員が2m半ぐらいなので、すれ違いにくい。渡り切って後ろを振り返ると、なぜか、ちょっとした達成感をおぼえたのはなぜでしょうか。
西武線の線路の前には、遮断機がない。つまり、突然警報機が鳴り始めたら、中州に取り残されることになる。これはちょっと怖い |
駅の方を見ると、米軍の施設内であることを警告する看板が。ただし、文字はもう読めない |
拝島といえば、米軍基地でしょう。
ところで、拝島駅といえば、米軍横田基地へつながる引き込み線が敷設されている。先ほどの踏切から拝島駅方向を見ると、駅に行かずに右方向に走っていく線路が見える。これが引き込み線だ。
引込み線はがはっきり分かるのは、拝島駅北口。北口のコンビニに隣接する踏切横には「WARNING」という警告看板が立っている。最近こういう看板ばっかり撮っているような、とふと思う。撮る時は、背後を振り返ってから撮影する。怖いもんで。
この線は、月に数回貨物が通るといわれていて、廃線ではない。枕木は木だが、しっかりしている。引き込み線はしばらくするとガーター橋を渡る。それがシュールでなかなか。住宅概を線路は続く。砂川街道もつっきり基地へ線路は続いていった。