今年の夏は例年とは異なり、レジャー費や外食費、美容費といった出費が減る分、増える出費もあります。
夏休み、在宅勤務、自粛生活といった、在宅時間が増えると比例して増える、「電気代」「水道代」。これら夏の出費を上手に節約するコツをご紹介します。
電気代の節約ポイント
日中の電気代のほとんどがエアコン(冷房)代です。
夏の節電には、エアコン、冷蔵庫、照明、テレビの順に節電をするのが効率的と言えるでしょう。エアコンの節電には、遮熱、循環、除湿、クールシェアの4つを押さえることがポイントです。
・遮熱
1つめの「遮熱」とは熱を遮断することです。一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会のデータによると、夏場は窓ガラス(一枚ガラス)から約73%もの熱が入ってくるそう。窓に日陰を作って熱を入れないようにする遮熱対策が効果的です。また、せっかく冷房で室内の温度を下げても、やはり窓ガラスを通して部屋の冷気が逃げてしまいます。
遮熱対策として挙げられるのが、朝顔やゴーヤで作る緑のカーテンです。日陰を作るだけではなく葉が熱を吸収してくれるので、日当たりが強い窓のそばに作るのがおすすめです。
今から始めるなら、窓の外に立てかけて使用する「よしず」や、軒先などにつるす「すだれ」、種類が豊富な「遮光ネット」などで窓の外側から日陰を作ると良いでしょう。
住宅の事情などでどれもできない場合は、遮光あるいは遮熱カーテンを取り付けましょう。外出時にはカーテンを閉めておけば、室内に熱がこもるのをだいぶ抑えることができます。特に西日が当たる部屋は、遮光・遮熱度の高いカーテンでしっかり熱を防ぎたいものです。
・循環
2つ目のポイント「循環」は、その冷気を部屋全体に行きわたらせることです。
環境省が推奨しているエアコンの設定温度は「室温28度」ですが、それでは涼しく感じられず設定温度を下げてしまう方が多いと思います。そういう場合は、温度を下げる前に扇風機やサーキュレーターを併用しましょう。下に溜まった冷気が動き、部屋全体に循環することでより涼しさを感じることができます。
ただし、このとき扇風機を上向きにしていると、冷気は下に溜まったままになってしまいます。扇風機の首を下に向け、首振りにするのが正解。風が直接体に当たると涼しさを感じますが、一方で寒過ぎるを感じる人もいるでしょう。状況に応じて風を当てたり外したりしてコントロールすると良いでしょう。
ちなみに、東京電力の実験によると、冷房26度運転と28度運転+扇風機の場合とを比べた場合、28度運転+扇風機の方が約22%も節電効果があるといわれています。温度を下げる前に、まず扇風機のスイッチを入れましょう。
・除湿
3つ目のポイントは「除湿」です。湿度が高いと体感温度も上昇します。これは、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温を下げる機能が働きにくくなるためです。湿度が15%下がると体感温度が1度下がるというデータもあるくらい湿度は重要です。
エアコンには除湿機能がついていますが、除湿量が多いのは実は「除湿運転」よりも「冷房運転」のほう。快適に過ごしつつ節約もしたいなら冷房運転にして、少し寒いなと思ったときは、弱冷房除湿にするよりも設定温度を上げて調節するのがおすすめです。
・クールシェア
4つめのポイント家庭のクールシェアは、ひとつの部屋に家族が集まって1台のエアコンで過ごすことです。それぞれの部屋でエアコンを使用するとそれだけで電気代は跳ね上がってしまいます。エアコンと扇風機を併用しつつ、外出先から帰宅した人には冷たいおしぼりや、涼感ボディーペーパーなどで体を拭いてもらうことで、エアコンの設定温度を急激に下げなくてもクールダウンすることができるでしょう。
冷蔵庫の節電ポイント
冷蔵庫は、暑い場所にあると熱を放出できず、熱効率が下がって消費電力が高くなります。日光が当たらない場所に置き、周囲に適度な隙間をあけることが大切です。日が当たる場所にあるなら、日よけをしましょう。また、冷蔵庫の上に荷物を置いている場合は、片付ける、もしくは小型のスチールラックなどを利用して空間を作ると放熱しやすくなります。
冷蔵室に食材を詰め込み過ぎるのも、冷気の流れを悪くなり庫内が冷えにくくなりまた、食材を探すために冷蔵庫を開けている時間が長くなることで、消費電力が増える原因に。冷蔵室は詰め込み過ぎず、冷凍庫は逆に隙間ができないようギッシリ詰め込むのがベストです。冷凍庫は凍らせたペットボトルや保冷剤で隙間を埋めましょう。
夏は冷蔵庫の設定温度を「強」にしがちですが、効率よく使えば「中」でも大丈夫。自動運転機能があるなら、お任せしたほうが電気消費を抑えられるでしょう。
そして、在宅人数が増えると飲み物を取るために開閉回数が増えがちです。これも消費電力が高くなる要因のひとつです。飲み物は保冷効果のある水筒やポットに氷と一緒に入れ、リビングやキッチンに置いてセルフで飲む。もしくは個別に水筒に氷と飲料を入れたものを各自で持ちましょう。
また、買い物後のレシートを冷蔵庫の扉に貼って、使ったものからペンで消していけば、冷蔵庫を開けなくても中に何が入っているのかがわかります。 これらの工夫をするだけでも、冷蔵庫を開ける回数を大幅に減らすことができます。
テレビの節電ポイント
テレビは画面が明るいほど、消費電力が上がります。「省エネモード」がある場合はそれに設定するとともに、画面の輝度(明るさ)を下げ、必要なとき以外はこまめに消しましょう。
ひと昔前は「使わないときはコンセントからプラグを抜く」ことがすすめられましたが、現在ではそれはNGです。地上デジタル放送、いわゆる「地デジ」は、立ち上げの際の受信に最も電力がかかるので、スイッチはオフにしても、プラグは抜かないのが正解です。
照明の節電ポイント
照明もできるだけひとつの部屋で過ごし、家族でシェアするのがコツです。使っていない部屋や廊下などの照明はこまめに消す習慣を身に付けるとともに、省エネ性能が高い照明器具に交換をしましょう。
消費電力が高い白熱電球を使っているお宅は、現在では少ないと思いますが、もし使っている場合はすぐに換えましょう。LEDシーリングライトの消費電力は、蛍光灯シーリングライトの1/2以下。照明はできる限りLEDにして、日中は不要な照明をこまめに消すのが基本です。
保温機能はできるだけカット
「保温機能」による電力消費も見逃せません。炊飯器は6時間保温=1回の炊飯と同じ電力を消費します。家族の人数が少ない場合はまとめて炊き、 冷蔵庫や冷凍庫に小分けにして保存して、その都度食べる分だけレンジで温め直すと良いでしょう。
同様に保温機能のある電気ポットも不必要に長時間保温を使うのは避け、お湯はその都度やかんや電気ケトルで沸かすようにしましょう。
便座シートの保温は、夏場は消しても良いでしょう。座ったときのひんやり感が苦手な方は、100円ショップなどで売られている貼る便座シートを利用すると快適です。
水道代の節約ポイント
在宅する家族の人数と時間が増えるとトイレや炊事、シャワーといった水の使用量が増えがちです。主な水道の使われ方を見ると、風呂、トイレ、炊事、洗濯の順番となっています。
水は流しっぱなしにするとその分料金に反映され、使用した水量に応じて料金が段階的に高くななり、同時に下水道料金も高くなります。
水道料金は節水をすればするほど水道料金は安くなるのです。節水のコツは「こまめに止める」「溜める」「使いまわす」を意識することです。下図は、使い方による水量の目安を表にしたものです。
歯磨きをするときはコップに溜める。食器洗いは洗い桶を使う。洗車をする際はバケツに水をくむ。など、水を流しっぱなしにしない工夫をしましょう。 また、炊事やシャワーなどでも流しっぱなしにせずに、こまめに止めることで、1分間で約12リットルの節水になります。お風呂の残り湯は、捨てずに洗濯や清掃、打ち水などに使いまわすことで節水につながります。
家族の人数が多ければ多いほど節水になるのが、節水シャワーヘッドです。節水シャワーヘッドとは、水圧を高くすることで少ない水でも快適に流すことができるものです。表示の節水率や機能によって値段は変わりますが、節水率が50%以上のものを選ぶといいでしょう。購入する際は、本体のシャワーのメーカーを確認して対応するシャワーヘッドを選びましょう。他にはトイレは大と小を使い分けるなどこまめな習慣を家族で身に付けると、節水効果が高くなります。
家族が在宅している今こそ家族総出で節電、節水を習慣づけることで夏の出費を大きく減らし、これから出費が増えがちな年末年始に備えることもできるようになるでしょう。