決まった住所を持たず、日本中を旅しながら生活しているカメラマンの南谷有美(なんや・ゆみ)さん。訪れた地域では人々とどのように交流し、どんな仕事をしてきたのか。それぞれの地域の魅力についても綴っていただきます。
宮古島、南紀白浜と来て、今回の舞台は福井県。福井駅から車で約40分のところにある福井市越廼地区を訪れ「日本海トライアルステイ」という企画に参加してきました。
日本海トライアルステイとは
日本海トライアルステイとは、福井市が主催するお試し居住企画で、沿岸部の越廼地区を拠点に福井で暮らす・働くを体験し、福井県の魅力に触れるという取り組みです。
トライアル期間中の滞在費・サテライトオフィス利用費は、何と無料! 私は「民宿よねや」と「越廼サテライトオフィス」を拠点にして活動をしました。
見て、食べて、体験して
仕事はもちろん、滞在中は福井県の魅力をたっぷりと堪能! 何より印象的だったのは、海沿いの道を通るだけで、絶景ポイントがたくさんあることです。
また、越前海岸では新鮮な海の幸も味わうことができます。私は数々の有名人が訪れ、テレビ取材もよく受けるという「まつ田」にお邪魔し、刺身定食をいただきました。冬の時期はカニが人気で、連日たくさんの人が訪れるそうです。
他にも、海が見えるおしゃれなカフェや、地産地消にこだわったごはん屋さんなど、おいしいお店がたくさんあり、これらの飲食店に足を運ぶことが、滞在中の楽しみとなりました。
さらに、アクティビティが充実していることも、この土地の魅力だと感じました。
このうち、海の見える小高い丘の上に、ひっそりとたたずんでいる「ワタリグラス・スタジオ」は、ガラス作家のご夫婦が運営されているガラス工房。1,000円からお手軽にガラス製作を体験することができます。
明治7年創業の「岩尾醤油醸造元」で、醤油絞り体験をすることも可能です。創業から現在に至るまで、変わらない製法を守り続けているそうで、店主の岩尾さんからは、醤油に関する熱い想いも伺うことができました。
トライアルステイに参加してみた感想
今回ほとんど下調べをせずにトライアルステイに参加しましたが、滞在期間中はとても充実した日々を過ごすことができました。
というのも、越前海岸の5つの地区が自らのまちを自分たちの手で盛り上げようと、有志で立ち上げた「越前海岸盛り上げ隊」の皆さんが、滞在中の生活をたくさんサポートしてくださったからです。
盛り上げ隊は、年齢も職業もさまざまの、個性豊かなメンバーで結成されています。トライアルステイの参加者に関して情報共有がきちんとされており、どこに行ってもメンバーのどなたかが「あ、もしかしてあの子?」と声をかけてくださいました。
まちの情報を教えてくださったり、時にはアテンドしてくださったり、地域に触れるきっかけを作ってくださる存在がいることは、トライアルステイに参加する人にとって、大きな安心材料になると思います。
また、越廼地区から約40分車を走らせると、東尋坊や芦原温泉などの人気観光名所に着きます。福井県内の代表的な観光地を楽しめる点も、このトライアルステイの魅力といえるでしょう。
反対に少し不便だなと感じた点は、コンビニが遠いこと、付近に夜ご飯を食べられるお店が少ないことです。食に関しては、計画を立てて行動されることをオススメします。
トライアルステイに参加してみよう
わたしが体験した「日本海トライアルステイ2019」は、2019年8月から2020年1月までの期間で受け入れを行っています。個人や家族、職場のメンバーでステイするなど、参加方法はさまざま。3日~1週間程度、滞在することができます。
気軽にまちに住むことができる、素敵な企画です。興味のある方は参加されてみてはいかがでしょうか。
南谷有美(なんや・ゆみ)
カメラマン/ライター
2018年4月に認可外保育園の園長を退いてから、各地を巡る旅人に。リモートで仕事をしながら、好きな場所で好きなことをして生活しています。