今から1年ほど前となりますが、三重県松阪市の旅の時に、あるデザイン屋さんとの出会いがありました。その方が行っていたのは、まちづくり。地元である安濃町をみんなで盛り上げていこうという取り組みでした。いつものワーケーションとは一味違った記事となりますが、どうぞご覧ください。
まちの救世主? アノウラボとは
今回のお話の舞台は、三重県にかつて存在した小さなまち安濃町。2006年に津市との合併によって消滅し、今は津市の一地区として存在しています。
適度な自然環境があり、中心部へのアクセスも良いことから実は移住希望者が多くいるこのまち。さらに町としては消滅したものの、安濃町という地域に想いを持った人たちが少なくはなかったことから、「まちを自分たちの手で盛り上げていこう」と立ち上がった団体が、今回ご紹介するアノウラボになります。
アノウラボの活動の舞台となっているのは、1階に源泉掛け流しの温泉がある安濃交流会館。2階部分を事業者として借り受け、コワーキングスペースと小道具店を開いています。
昨年の5月にクラウドファンディングで資金や同志を募り、夏にはリノベーションをスタート、コロナの感染状況をみながらじっくりと進めていき、今年の初めに完成しました。(リノベーション時の写真提供:アノウラボ)
以来、事務所としての機能はもちろん、地域の人たちにとっての憩いの場ともなっています。
異なる機能が魅力! 2つの活動拠点
それでは、先程お話したアノウラボの2つの拠点を、ご紹介していきたいと思います。まずは、コワーキングスペース「DEER KICK LABO」。白を基調としたシンプルな空間で、気持ちよく働けそうな場所です。アノウラボの事務所としても機能しています。
アノウラボのメンバーの一人で、コワーキング部部長としてこのスペースの運営を行っている川北輝さんによれば、既にこのコワーキングスペースからさまざまなアイデアが生まれ、新たな事業も生まれているとのこと。働く場所としての提供のほかにも、月に1回ボードゲームの販売会を開催されていて、にぎわっているのだとか。
近年では、コミュニケーションツールとしても注目されているボードゲーム。お子さんと一緒に来られる方も多く、さまざまな世代の方と一緒に楽しむことで、地域の交流も深まっているそうです。
次にご紹介するのは、アノウラボのもう一つの拠点である安濃古道具店。古物販売やスペースレンタル、商品等委託販売などが行われています。
さまざまなアーティストや作品に出会える、素敵な空間となっていました。
ある日のイベントに密着! 子どもも大人も楽しめるワークショップ
私が訪れた日は、先程ご紹介した安濃古道具店でワークショップが開催されていました。
とてもシュールな写真から、失礼いたします。笑
『委員鳥と副委員鳥』の名で鳥にちなんだイベントを開催されているお二人が開かれていたのは「バードコールを作って遊ぼう」という内容のワークショップ。軽くねじるだけで摩擦によって小鳥の鳴き声を出す道具をみんなで作るということで、私も参加させていただきました。
本格的な器具だったので、「できるかな?」と若干心配していましたが…。楽しく制作することができました。金具を回してみると、本当に鳥の鳴き声のように聞こえてびっくり!
新型コロナウイルス対策により、予約制・少人数制ではありましたが、さまざまな人や物に出会える、良い機会だなと思いました。
アノウラボのこれから
最後に、森谷さんに今後のビジョンをお聞きしたところ、「10年後の安濃町を見据えて活動していきたい」と話されていました。DEER KICK LABOは仕事を生み出す場、安濃古道具店は人と人とをつなげる場として、さらに変化を遂げていくだろうと感じました。
さらに新たな取り組みとして、「HAPPY VOTING!」という活動もスタートされるそうです。どんな活動かというと、投票率を上げるという取り組みです。
みなさんご存知のように、選挙権は18歳以上の男女に与えられています。当初は70%を超えるような投票率でしたが1990年あたりからどんどん下がっていき、現在では投票率50%を切るようなところも少なくありません。
選挙に関する人々の意識を少しでも変えられたらいいなということで、アノウラボでは現在、投票済みの方々に楽しんでもらえるようなサービスの準備をしています。プロジェクトの賛同者は、お店屋さんだけでなくシンガーやイラストレーターなど多種多様。投票済み証明書と引き換えに、その方々が提供する素敵なサービスを受けられるといったものです。
サービスの開始は早ければ今秋で、私も参加させていただきたいと思っています(賛同者は随時募集中だそうです!)。気になる方は、アノウラボのホームページやSNSなどでチェックしてみてくださいね。
南谷有美(なんや・ゆみ)
カメラマン/ライター
2018年4月に認可外保育園の園長を退いてから、各地を巡る旅人に。リモートで仕事をしながら、好きな場所で好きなことをして生活しています。