決まった住所を持たず、日本中を旅しながら生活しているカメラマンの南谷有美(なんや・ゆみ)さん。訪れた地域では人々とどのように交流し、どんな仕事をしてきたのか。それぞれの地域の魅力についても綴っていただきます。
【前回までのあらすじ】
保育士からカメラマンへ転身した後、待機児童問題解消に寄与したいと認可外保育園を設立。運営が軌道に乗ると「私の役目は終わった」と園長を退任し、最初の旅先・宮古島での生活をスタートさせました。
多くの方が「宮古島といえば観光」というイメージを持っているのではないでしょうか。確かにその通りで、現在もたくさんの箇所で観光開発が行われています。
一般的に観光客が来ると、町の活性化につながり喜ばれることが多いですが、宮古島ではそうではない部分もあるということを知りました。
サンゴ礁が減っている
宮古島のおじぃから「島のサンゴ礁がここ数年で激減している」という話を聞きました。昔はどの海でも見ることができ、人々にとっても身近な存在だったサンゴ礁。今は限られた場所でしか見ることができないそうです。とても悲しそうに話していたことが印象に残っています。
観光業が発達するに伴い、島の美しい自然が汚されてしまうというリスクもあるのが現状です。そこで、島の豊かな自然を守ろうと、一般社団法人離島未来ラボが宮古島市エコアイランド推進課と協力して行っているのが「エコアイランド宮古島」という活動です。
いつまでも住み続けられる島、いつまでも愛される島づくりをコンセプトにし、千年先もこの自然が続くようにとの願いが込められた活動の内容は、とってもユニーク。私が目にしたもの、参加したものをご紹介します。
たったひとりのエコマラソン
まずご紹介したいのが「たったひとりのエコアイランドマラソン」という活動です。リヤカーを引きながらごみを拾い、島内を巡るというもので、2018年から地域おこし協力隊の方が行っています。島内のクリーンアップと、エコアイランドの広報活動を兼ねた取り組みです。
島の厳しい暑さの中、懸命にリヤカーを引く姿は、たくさんの人の心を動かしていて、エコ活動に興味を持つ島民のみなさんは増えているように感じました。
エコ活動をしたらもらえる理想通貨も
たったひとりのエコアイランドマラソンで一緒に島内のクリーンアップをしたり、ビーチクリーンに参加したり、「エコアイランド宮古島」の活動には多数のボランティアが関わっています。
そこで「宮古島にいいコトをした人に、ちょっといいコトで返すような、 気持ちの交換が出来ないだろうか……」という想いから、宮古島でしか使えない理想通貨も誕生しています。
「みゃーく」という単位で表された理想通貨は、1M、10M、20M、50Mの4種類。
エコ活動に参加するともらえる通貨で、私も2019年1月に行われた「エコの島コンテスト」というイベントにお邪魔した際、いただくことができました。
理想通貨は、島内の10店舗以上のお店で利用することができます。例えば、下地島空港内にあるカフェ「Grab&Go」では、5Mを渡すと50円引きになるとのこと(1,000円につき5M割引)。お店によって還元の仕方は異なりますが、おしゃれなカフェやクレープ屋さん、それにしゃぶしゃぶ店まであって、どこのお店で使うか迷ってしまいそうです。
観光業の繁栄とともに、消えていく豊かな自然。千年先の子孫達がこの景色を見ることができるよう、宮古島では今日もエコ活動が行われています。もし島へ訪れる機会があれば、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
南谷有美(なんや・ゆみ)
カメラマン/ライター
2018年4月に認可外保育園の園長を退いてから、各地を巡る旅人に。リモートで仕事をしながら、好きな場所で好きなことをして生活しています。