最近大学の教職員になった私の身の回りには、大学生の就活に関する情報が飛び交っている。
テクニックよりも、不条理に臨めるか
私はまだ教職員の経験は浅いので、あくまで採用する側の視点だが、正直なところ、全国統計がどうだろうと、就活本が何を書こうと、採用する側は結局のところ「この人と一緒に働きたい(働いてもいい)」と思う学生を採用する。
その上で、最低限の学力(時に学歴や学ぶ態度全般)でスクリーニングされたり、見えない天井があったりする。採用に際しては採るも落とすも建前(理由)というものは大事だし。
エントリーシートや面接における細かな技(テクニック)は、昔からいくらでも存在するのだが、いくらテクニックを駆使したところで、「マジメで優秀で"根"は良いけれど、コミュニケーションコストのかかる面倒な学生だから、一緒に働きたくない」と思われたらアウト。
逆に「妙に理屈っぽくて空気よまないで面倒そうなやつだけど、1人くらいこういうのがいても面白い」と思われればOK。
何とも不条理で予測がつかない。傾向も対策も本質的にはあまり役に立たない。相手側(企業側)の判断が優先される(もちろん最終的に行くか行かないかは自分の責任ですが)。就活に限らず、社会やビジネスって、普通はそういうものではないだろうか。
だから、テクニックよりも、そこの不条理に対して自分がどういう工夫で臨めるかを正面から考えた方が良い。
ということを、真摯に理解して欲しいのだけど、一般的な社会の不条理さを理解しない人や、直接は就活と関係なさそうな人たちは、シンプルな話をやたらと複雑に解説したりして結局、学生の気持ちを混乱させたりしている。
厳しい言い方かもしれないけど、あなたの学校の名前だけみて会いもしないで、ふるい落とそうとする企業ももちろん沢山あるでしょう。あなた自身が悩んでも、考えても解決しない不条理はたくさんある。
大切なのは「出会えた相手の想定の範囲内で相手から好かれる(信頼される)」こと。シンプルだけどそういうこと。
<著者プロフィール>
片岡英彦
1970年9月6日東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサー等を経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。2015年4月より東北芸術工科大学にて教鞭をとる。