仕事柄、経営者やプロジェクトリーダーの方によくお会いする。新規ビジネスや新規プロジェクトについて、マーケティングや、広報/宣伝の視点からアドバイスをさせていただく。稀にではあるが、ビジネスモデルやマーケティング戦略を伺った後、「これはちょっと厳しいぞ」と思うことがある。
3つの視点
明確な「ロジック」としてではなく、あくまで「直感」で感じる。後からこの直感が正しかったと分かることも多い。最近では、自分なりにではあるが自分の直感にある傾向が分かってきた。
「どういうビジネスをするのか?」と聞かれた際、聞かれた人は次の3つのいずれかの視点で答えることが多い。
(1) 「自分」の視点:英語でいうと「I think…」
(2) 自分以外の「特定の人物(実在・架空)」の視点:英語で「He / She thinks…」
(3) 「日本人」「女性」「団塊世代」といった抽象的な集合体の視点:英語で「They think…」
もちろん、1、2、3の視点が入り交じることが普通だ。
「I think…」と自分の視点だけで語ってしまっていないか。「特定の顧客像」の視点で(He/She thinks…)で語っているか。調査結果など客観的なデータを用いて「マス」(They think…)の視点でビジネスを語っているか。
私が「これはダメなんじゃないか?」と感じるのは、「I think…」の視点しか会話に出てこない場合だ。ついつい自分のビジネスを語ることに熱くなってしまうのか「単視眼」になってしまうのは誰もが陥りやすい「ワナ」である。
では、どうすればこの「ワナ」にハマらずに済むか?
(1) 「言いにくいこと」を遠慮せずにあえて言ってくれる上司や同僚や友人を持つ
(2) 外部コンサルタント等に仕事として助言を頼む
(3) 自分の態度や言葉を映像等で記録・録音して、自分の話、態度、仕草などで自ら判断する
(1)の場合は年上の「友」の方が良い。歳が近いとあなたの「視点」に気が付いてもつい遠慮してしまう。少し歳の離れた距離感がある人の方が指摘してくれやすいかもしれない。
(2)の場合はドライに直言してくれる専門家がよい。普通は、いくら仕事とはいえ、言いにくいことを正面から相手に伝えることには少なからず抵抗を感じるものだ。
(3)は他者と接している時の態度や話し方などをとにかく何らかの形で記録し、少し間を空けてから記録を自分で見なおしてみるとよい。顔から火が出るほど自分よがりな一方的な視点だったり、顧客の視点について無頓着だったり、客観的な市場分析などが至らなかったりすることに気づく場合には要注意である。
<著者プロフィール>
片岡英彦
1970年9月6日 東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。(現 株式会社東京片岡英彦事務所 代表取締役)主に企業の戦略PR、マーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。2011年から国際NGO「世界の医療団」の広報責任者を務める。2013年、一般社団法人日本アドボカシー協会を設立代表理事就任。