「英語が堪能であること」というのは、まだ日本では必ずしも「当たり前」のことではありません。ビジネスパーソンにとって、「英語ができること=人材としての価値」だといえるでしょう。海外の企業と直接のやり取りをしたり、外国人の顧客と英語でコミュニケーションがとれたりする人材を欲している企業は多いのが現実です。
もっとも、各企業の人事部での採用担当者が、必ずしも英語が堪能だとは限りません。
英語が大事なら英語で直接面接をすればいいのですが、そこまで行う日本企業は今のところはあまり多くはないようです。そのため、「TOEICで何点」のようなわかりやすい指標が重視されます。そして、最近では単純なスコアだけでなく、「その語学力で何を行ったか」という経験が重視されたりもします。もし新卒や中途で強く入社を希望する企業があるようでしたら、事前に「採用条件としてはどれくらいの語学力が必要か」と、直接問い合わせてみるのも良いかもしれません。
もし「移民政策」が実施されたら?
ところで、円安が進み1ドル110円も見えてきました。この水準でレートが落ち着くならば、今後、日本への渡航者がますます増えていくことが予想されます。そして、現在、安倍政権が推進しようとしている「移民政策」が実施されれば、日本国内のあちこちに海外から移住してきた外国人が暮らしているということは、近い将来決して珍しくはなくなるでしょう。世界中の多くの国々から多様な言語を話す人々が日本に移り住んでくることが予想されます。
日本に移民として定着する人の多くは、英語圏よりも、むしろ中国語やタイ語やベトナム語など、アジアの言語を使う人たちになるかもしれないとの予想もあります。業種によっては英語よりもこれらの言語の方がむしろ頻繁に使われるようになっていくのかもしれません。英語のように堪能でなくても、どうにかこれらの言語で日常会話ができるなど、英語の他にも複数の言語でのコミュニケーションが可能であれば、その語学力はビジネススキルとしてのあなたの「価値」を高めるかもしれません。 移民として日本に定住する外国人の多くは、いずれ日本語を使いこなすことが当たり前になるかもしれません。同時に日本人にとっても、語学が堪能であることの重要性は、今後もますます高まっていくのでしょう。
<著者プロフィール>
片岡英彦
1970年9月6日 東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。(現 株式会社東京片岡英彦事務所 代表取締役)主に企業の戦略PR、マーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。2011年から国際NGO「世界の医療団」の広報責任者を務める。2013年、一般社団法人日本アドボカシー協会を設立代表理事就任。