マイナビは、「2015年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング」結果を発表した。
文系ではJTBグループが7年連続で総合1位。理系はカゴメが前々年の3位。前年の2位から順位を上げて初のトップとなった。もっともこのコーナーは「ななめ切り」の企画なので、調査結果について正面から私の意見を言うのは避けようと思う。
「普通の学生はどう考えるのか」を見抜く
ところで、こうした調査結果はあくまで「人気」調査である。言うなれば「結婚したいタレントランキング」「抱かれてみたい俳優ランキング」「上司にしたいランキング」に近い。学生たちからの「憧れ」度数が高いのだ。「調査対象」となり回答した約2万人の大学生・院生の多く(ほとんど全員)は、これらのランキング上位に名の挙がった企業に、実際に「就職しない」と思ってよい(これは「結婚したいランキング」の上位にランクインしたタレントが、調査に応じた人々と実際に「結婚」しないのと同じだ)。そして実際のところ、多くの学生がランキングには名前が挙がらない企業に就職することだろう。
では、なぜ私はあえて、このようなことを書いたのか?
この調査結果からわかるのは、「ごく普通の学生」はどう思うのか? という一般論だ。そして「ごく普通の学生」の多くは、このランキングに名の挙がる企業には入社しないのが現実でもある。では、その「現実」を踏まえ、「自分はどう思う(行動する)のか?」と考えることが、このランキング結果の最も有効な活用法だ。
人気企業を突破するには、要素をかけあわせる必要がある
仮に私がランキングのトップにある企業に正面から入社を希望しようと思ったとする。当然、倍率は高い。文系の場合、1,000人、2,000人、あるいはそれ以上の倍率を勝ち抜かねばならない。「真面目」だけで突破できるのは、せいぜい3人の応募者の中から1人が選ばれる就職活動まで。「真面目」×「優秀」で突破できるのは、10人の中から1人が選ばれる場合まで。3,000人あるいは5,000人の中から1人が選ばれるための就職活動では、単に「真面目」「優秀」なだけの「普通の学生」とは完璧な「差別化」が必要となる。
「真面目」(あるいは好感度ある「不真面目」でも良い)×「優秀」×「独自性」×「将来性」の3つ、あるいは更にもうひとつの何か(4つ目)の要素を掛けあわせた乗数で初めて3,000人、5,000人に1人の倍率を突破できるのではないか。
もっとも、私なら多くの「普通の学生」が「憧れる」ランキング上位の企業ではなく、あえてランキングには現れてこない「隠れた優良企業」を探し出すことに時間をかけるだろう。そして、ピンポイントで狙いを定める、あくまで「ななめ」な就職活動を行うことだろう。
<著者プロフィール>
片岡英彦
1970年9月6日 東京生まれ神奈川育ち。京都大学卒業後、日本テレビ入社。報道記者、宣伝プロデューサーを経て、2001年アップルコンピュータ株式会社のコミュニケーションマネージャーに。後に、MTVジャパン広報部長、日本マクドナルドマーケティングPR部長、株式会社ミクシィのエグゼクティブプロデューサーを経て、2011年「片岡英彦事務所」を設立。企業のマーケティング支援の他「日本を明るくする」プロジェクトに参加。