「仲介手数料は安いほうがいい?」

ウソとホントと言うまでもなく、手数料なんて安いほうがいいに決まっていますよね! それは間違いないのですが、世に出回っている「仲介手数料無料」などは本当に安全なのでしょうか? 仲介手数料のカラクリとそれが無料になるパターンについてお伝えしていきます!

※今回は賃貸ではなく、売買を検討するときの仲介手数料に関しての情報になります。

  • 「仲介手数料無料」こんな広告を街中で見たことありませんか?

■不動産の契約に関わる費用とは?

賃貸の場合は敷金礼金程度のものになりますが不動産を購入する場合は、物件の費用以外に様々な経費が必要になります。

・登記費用・登録免許税
・印紙代
・固定資産税
・住宅ローン手数料
・火災保険
・不動産取得税
・消費税

多すぎる上に、聞き慣れないものが多くて、「なんじゃこりゃ」という人も多いのではないでしょうか。そしてこれらに加え、特に高額なのが「仲介手数料」!!

例えば5,000万円のマンションを購入すると、それだけで150万円近くもの仲介手数料が必要になります。仲介手数料だけでそんなにかかるのはバカバカしいと思うのも分かります。

では、時々見かける「仲介手数料無料」というのは大丈夫なのでしょうか。一見お得に見えますがデメリットはないのか、不動産屋の裏側までしっかりチェックしてみましょう。

■仲介手数料は仲介業務に対して支払う成功報酬

まず、仲介手数料とは何か? 簡単に言うと「不動産屋(つまり、仲介業者)に支払う対価(成功報酬)」になります。

では、不動産屋の仕事はどういったものになるのでしょうか?  大きく分けると下記2つになります。

(1)物件の紹介や現地案内

賃貸でのイメージがつきやすいと思いますが、部屋や家を探すときに希望に当てはまる物件を探し、物件までの案内をしてくれます。不動産の専門家として、現地の情報や部屋の良し悪しについても紹介・案内してくれるのは物件を選ぶときにも助かると思います。 売買になってくると、条件をもとに売主を募集したりネットワークを使って物件を探したりすることもあります。

不動産屋は毎日のようにレインズ(不動産屋が物件を探す検索システム)を見ているので相場観などにも基本的に詳しいですね。

(2)契約のための交渉・書類作成など

契約するときに必ず必要な重要事項説明書や、売買契約書の作成も基本的な不動産屋の仕事になります。また、司法書士への依頼や物件価格の交渉仲介を行ってくれる業者もあります。

書類作成等の業務はなかなか見えないかもしれませんが、作るために役所などに足を運び、情報を収集するなど、想像以上に書類を作るのにたくさんの労力がかかっています。(慣れてきますが、不動産の営業マンでこの業務を好きな人はなかなかいないんじゃないでしょうか笑)。

こうした賃貸や売買などを実現させるための仕事を行い契約が成立したときに不動産屋に対して支払われる成功報酬が仲介手数料になります。つまり、「契約が成立しなければ、不動産屋は報酬がありません」。

■仲介手数料の上限について

この仲介手数料ですが、不動産屋の仕事はなかなか見えない部分もあるので「結構働いたんで1,000万円で!」と言われても納得できないですよね? そんなことにならないよう、仲介手数料に関しては金額の上限が「宅建業法」という法律で決められています!

仲介手数料の計算方法

大雑把に言うと、「売買価格×3%+6万円+消費税」が仲介手数料の上限です。もっと大雑把に言うと大体「3%」と覚えてもらえれば大丈夫です。

一応、細かく説明します。

仲介手数料は物件の価格帯に合わせてテーブル制で金額が決まっています。売買価格200万円までの部分は5%以内、200万円超400万円までの部分は4%以内、400万円超の部分は3%以内となっています。したがって仮に1,000万円の売買価格であった場合、仲介手数料の上限額は次のようになります。

a) 200万円までの部分
200万円 × 5% = 10万円

b) 200万円超 400万円までの部分
200万円 × 4% = 8万円

c) 400万円超 1,000万円までの部分
600万円 × 3% = 18万円

a + b + c = 36万円+消費税

よく間違えるのですが、400万円超の場合3%になるのではなく、200万円まで、200万円から400万円で異なる料率を掛けて最後に足します。売買価格が400万円以下になる物件は少なく、400万円を超えている場合は、速算式にすると「売買価格×3%+6万円+消費税」となるため、最初にお伝えした通りの覚え方となります。

■無料になる仕組みとは?

さて、話を戻すと、この仲介手数料は不動産屋にとってメインの収入源です。それなのになぜ無料にすることができるのでしょう。その仕組みについても説明します。ここからは不動産屋からは説明されませんが、不動産屋の中では常識な話なので要チェックです。

売主が不動産会社

売主が不動産会社であった場合、仲介ではありませんから仲介手数料は発生しません。つまり新築を買うときと同じパターンになるわけです。これは魅力的に感じるかもしれませんが、実は思わぬデメリットがあるのです。

仲介で依頼した場合、どの売主の物件であっても仲介会社は仲介手数料という利益が発生します。しかし、不動産会社自身が売主の場合、その物件が売れなければ利益が出ないのです。そのためどうしても不動産会社はその物件を売ろうと強くプッシュしてくることになります。場合によっては他の物件との比較ができないことさえありうるのです。

こうした売買の場合、買主は素人ですが売主は不動産のプロということになりますから、価格においても売買条件においても交渉が難しくなるでしょう。運良く自分の求めている条件で欲しい物件に出会えたとしたら手数料の分お得ですが、なかなかそういうラッキーは少ないでしょう。

そうしたリスクがある取引については慎重に考えなければいけません。場合によっては手数料を払ってでも別の仲介会社に入ってもらって、価格交渉などを依頼してもいいでしょう。

■「両手取引」について

不動産屋は仲介をするわけなので売主・買主への対応があります。1つの物件に対して売主または買主のどちらかだけと仲介取引を行うものを「片手取引」、両方と仲介取引を行うものを「両手取引」と言います。

前項でお伝えした仲介手数料の上限ですが、この上限は売主・買主の一方に対してのものになります。つまり、1つの物件に対して売主と買主の両方を担当していた場合、両方から上限までの仲介手数料を受け取ることができます。上で計算例として出した1,000万円の物件であった場合、売主から36万円(税別)、買主からも36万円(税別)の合計72万円(税別)の収入ができ、大変「美味しい」ビジネスになります。

ただし、仲介手数料は成果報酬型なので契約が長期化すると、売主、買主がいなくなってしまったり、他の企業に買主を先に見つけられてしまったりすることもありえます。そこで、あえて片手を離してしまう(買主側の仲介手数料を無料にする)ことで、物件の売買を早期にまとめてしまうという方法が出てくるわけです。

これには副次的な効果もあり、ネット上の口コミなどで買主側からは「手数料が無料だった」、売主側からも「早く売ってくれた」という評価を得ることができて、次のビジネスに繋がる可能性も高まります。

この三方良しを成り立たせるために、「仲介手数料無料」というケースがあり、これを謳って営業している不動産屋がいるわけです。

次回、一見お得な「仲介手数料無料」のデメリットと注意点を解説!

「三方良しなら仲介手数料がいいじゃないか!」となるわけですが、「仲介手数料無料」だけに食いつくとデメリットが出てくる可能性もあります。次回はそのデメリットと注意点について解説していきたいと思います!

今回は仲介手数料の仕組みや不動産屋の仕事について説明させていただきましたが、こういった情報を知っているだけで、売買などに関わるときの不安が消えますし、騙されるなんてこともなくなります。不動産は賃貸にしろ、売買にしろ、人生で必ず関わるものなので、少しずつ知識を仕入れていきましょう。

ないけんぼーいずではYoutube・Tiktok・Instagramなどで不動産に関わる情報を発信しています。分かりづらかったりブラックボックスの多い不動産業界に風穴を開けていきたいと思っているので、ぜひ確認してみてくださいね!

では次の記事でまたお会いしましょう!