「初音ミク」に続いて登場したキャラクターボーカルシリーズ第2弾「鏡音リン・レン」。今回はスタンドアロンで使う場合の操作インタフェースである「VOCALOID EDITOR」の基本的な操作方法を紹介しよう。
シンプルな音符・歌詞入力
パソコンで「鏡音リン・レン」を歌わせるには、VOCALOID EDITORを使ってメロディを音符として入力し、次に各音符に歌詞を付けていく、という具合に二段階の操作を行う。つまり正確な音程で歌わせるには、メロディを一度楽譜に起こしておいたほうが手っ取り早いだろう。もちろん既存の楽譜でも構わないので、歌わせたい曲が決まっているならばメインボーカルの歌詞が記入されているスコア集などを入手しておけば便利だ。
音符の入力は一般的なDAWソフトのMIDI機能とほとんど同じ。「鉛筆」ツールや「ライン」ツールを使い、シーケンストラック上をドラッグすれば音符が入力される。なおツールバーには入力する音符の長さを制限する「LENGTH」、音符の移動を制限する「QUANTIZE」が用意されており、それぞれ音符単位で設定できるのも一般的なDAWソフトと同じだ。
音符はツールバーに用意された「鉛筆」ツールで行う。右の「ライン」ツールでもドラッグで音符入力は可能だが、こちらはベロシティなど、コントロールトラックの編集を中心に利用するものだ |
「鉛筆」ツールでシーケンストラック上をドラッグすると、その操作に合わせた長さの音符が入力される。また左側の鍵盤をクリックすれば、各音程のプレビューが可能だ |
いくつか音符を入力して再生してみると、標準設定では女性ボーカルの「鏡音リン」が音符のピッチに合わせて「あ~あ~あ~」と歌う。次は歌詞の入力だ。入力された音符には「a[a]」とテキストが表示されている、実はこれがそれぞれの音符の歌詞を表している。音符をダブルクリックすると、テキスト入力が可能な状態となるので、キーボードから歌詞を入力してやればよい。
なお、ひとつの音符には「あ」や「か」など、かな一文字しか入力できない。そのため譜面上でひとつの音符に二文字以上の歌詞が割り当てられている場合は、たとえば4分音符を2つの8分音符に分け、それぞれに歌詞を入力する、といった工夫を行う。
これがVOCALOID EDITORでの音符・歌詞入力の基本となる。非常にシンプルだ。なお音符一つ一つをダブルクリック・入力する以外にも、開始地点(=音符)を指定し、それ以降の音符にまとめて歌詞を流し込む機能も用意されている。そのため効率よく打ち込むなら、まず最初に音符をすべて入力し、次にまとめて歌詞を流し込む、といった手順がよいだろう。
「ジョブ」メニューの「歌詞の流し込み」では、シーケンストラック上で選択した音符を開始地点とし、入力したテキストが各音符に順番に入力される |
各音符に歌詞が流し込まれた状態、このように1つの音符=歌詞1文字となる。なお「きゃ」や「しゅ」といった拗音も1文字としてカウントされる |
マルチトラックで合唱させる
VOCALOID EDITORでは同じ位置に2つ以上の音符を入力すると、各音符が緑から薄緑色に変化する。これは音符が重なっていることを示しており、再生することができない。つまり和音再生ができず、それはすなわち輪唱させたり、メインボーカルとコーラスを同時に歌わせる、といったことができないようにも見える。
しかしそれは早とちりというもので、きちんと複数のボーカルを同時に再生できる機能が用意されている。VOCALOID EDITORの一番下を見ると「TRACK」という欄が用意されている。初期状態では1つのトラックしか用意されていないが、トラックメニューから新しいトラックを追加すると、この「TRACK」に2本目、3本目のトラックが追加され、ボタンをクリックすることでシーケンストラックに表示されるトラックが切り替わる。つまり、マルチトラック機能を備えているのだ。
それぞれのトラックに異なるメロディ・歌詞を入力した場合、再生ボタンを押すとすべてのトラックが同時にプレイバックされる。つまりメインボーカルとコーラスを同時に歌わせることが可能だ。
なおVOCALOID EDITORでは最大16本のトラックを作成し、制作を進めることができる。ただし16トラックすべてを同時に再生できるわけではなく、再生は最大4トラックまでという制限がある。これは再生時にリアルタイムで処理を行っているためだ。
5トラック以上を同時に再生する場合は、トラックを合成することで可能となる。この合成を行うことで、あらかじめレンダリングされ、リアルタイム処理ではなくなるためだ。
次回は女性ボーカルの「リン」と男性ボーカルの「レン」の切り替え方法などをチェックしてみよう。