プレイヤーはもちろんだが、DTMでの音楽制作ではDAWソフトやソフトシンセと共に欠かせない存在がエフェクト。今回はエフェクトの基本から確認していくことにしよう。

音楽制作の大きな武器となるエフェクト

入力された音声信号を加工し、変化して出力するエフェクト。ギターやベースの世界ではエフェクタとも呼ばれるが、実際に手に取って演奏している人なら1つや2つは持っているのではないだろうか? 音に広がりを与えるコーラスや、歪んだファズサウンドを実現するディストーションは定番である。

また、これから初めて音楽制作に挑戦してみようという人でも、意識せずに使っているエフェクトもある。AV機器やプレイヤーソフトに搭載されている、低~高音を各音域ごとにブースト/カットして音質を変えるイコライザ。そしてカラオケ装置に搭載されているコーラス、どちらもエフェクトなのだ。

「Windows Media Player」や「iTunes」といった一般的なプレイヤーソフトにも音質を変えるエフェクト、イコライザが搭載されている

実際にAV機器のイコライザ、カラオケのコーラスを使ったことがあるならば、ちょっと設定を変えるだけで音の印象が大きく異なってくることは経験として理解できるだろう。音楽制作の世界では非常に多くのエフェクトが存在し、それぞれのエフェクトには設定できるパラメータが多く用意されている。そのため、使いこなせば曲作りにおいて非常に大きな武器となるのだ。

DTMで使うエフェクトのメリットとは

冒頭で述べたように、ギターやベースを演奏する人ならば単体で販売されているエフェクトを所有している人もいるだろう。これはいわばハードウェア的なエフェクトで、実際に楽器に接続して使うわけだが、DTMの世界でももちろんエフェクトは用意されている。

伝説的な名機、フェンダー'65デラックス・リバーブを再現したBOSSのハードウェア・エフェクタ「FDR-1」

DTMのエフェクトにもいろいろなパターンがあるが、もっともらしいといえるのがDAWソフトで使うエフェクトだろう。DAWソフトではトラックミキシングのためにミキサーが搭載されているが、そのミキサーにはエフェクトを自由に接続することができる。つまりハードウェアとしてのミキサー+エフェクトをパソコンだけでソフトウェア的に再現しており、既に作成したトラックの音をエフェクトで変える、オーディオインタフェースに接続してパソコンに入力されている楽器の音を変える、どちらも可能だ。

Cakewalkの「SONAR6 Producer Edition」のコンソール・ビューは各トラック・バスにエフェクトをセットするためのFXスロットが用意されている。ここにセットすればインサーションエフェクトとなるが、センドエフェクト、マスターエフェクトとしての利用ももちろん可能だ

DAWソフトで使うエフェクトにはいろいろなメリットがある。まずはDAWソフトの仕様やパソコンの性能によって多少の違いはあるものの、複数のエフェクトを同時に使えること。そして実際に配線する手間が不要なことだ。どちらもハードウェア・エフェクトでも実現できることではあるが、予算や手間を考えるとアマチュアにはなかなか難しいはずだ。

SONAR6では複数のエフェクトを1つのトラック/バスにセットすることが可能。信号は上→下と流れていくが、エフェクトの順番は上下にドラッグすることで簡単に変更できる

そしてもうひとつの大きな特徴が、現在のDAWソフトのエフェクトはプラグイン形式が主流となっており、好みのエフェクトを追加すれば使い慣れたDAWソフトから呼び出して使うことができる。最近のDAWソフトは最初からかなり多くのエフェクトがバンドルされているが、物足りなくなったらいつでも追加できるのだ。

エフェクトは同じ種類のエフェクト、たとえばリバーブであっても、設定できるパラメータ、そして出音は違ってくる。そのためいわゆるビンテージ・エフェクトが人気を呼んだりすることもあるが、DTMならば必要とする音、そして気分に合わせ、手軽にいろいろなエフェクトを使い分けることができるのだ。これは大きな魅力だろう。

リバーブを例にとってもシンプルなものから高機能なものまで、複数のプラグインが付属するSONAR6

そして最近のDAWソフトはパラメータの動きを記録し、再生時に再現するオートメーション機能を備えているものも多い。こういったDAWソフトでエフェクトを使えば、曲の展開に合わせてパラメータを動かし、音を変えていくといったこともできる。

このように多くのメリットがあるDTMの世界でのエフェクト、次回は現在主流のプラグイン形式などを紹介していくことにしよう。