前回まではミキサーとしての機能をチェックしてきたが「ZERO8」はオーディオ&MIDIインタフェース、そしてMIDIコントローラでもあるのが大きな特徴。今回はパソコンと接続し、使ってみることにしよう。
DAWソフトと組み合わせても理解しやすいルーティング
「ZERO8」の背面には2系統のFireWire端子(IEEE1394)が搭載されている。同梱CD-ROMからZERO8のドライバをインストールしておき、パソコンとFireWireケーブルで繋ぐことでオーディオ&MIDIインタフェース、そしてDAWソフトなどのコントロールに役立つMIDIコントローラとしても動作するのだ。なおこのクラスとなるとさすがにバスパワー駆動には対応していないため、FireWire接続時にもAC電源の供給は必要となっている。
S/PDIF OUTの右に用意されている2系統のFireWire端子、パソコンと繋いで空いているもう1系統は、他の機器をディジーチェーンで繋ぐことが可能 |
FireWireで接続し、パソコンに認識されるとレベルメータ下のFireWireインジケータが点灯する |
では、実際にパソコンに繋ぐとZERO8の入出力はどう見えるのだろうか。これは非常にわかりやすい形になっており、DAWソフトなどを起動してみると、ZERO8の入出力ポートがそのままDAWソフトから見えるのだ。たとえばZERO8の1チャンネル(ステレオペア)に入力した楽器をDAWソフトでレコーディングしたい場合は、DAWソフト側のトラック設定で入力に「1/2」を選べばよく、またパソコンから出力した音声信号をZERO8のミキサー機能でミキシングすることも簡単だ。
Ableton Live Lite 6 Korg Editionの設定画面では入出力ポートの設定ができるが、そのままZERO8の各入出力ポートが見える。ここで各ポートを有効にしておけば、トラックの入出力先として選択できる |
では、ターンテーブルやCDプレイヤーといった外部機器と、パソコンからの入出力は各チャンネルにどのように割り当てられるのだろうか。ここがZERO8の大きな特徴でもあるのだが、ワンタッチで切り替えられるようになっている。「INPUT SELECTOR」ノブの右側にはFireWireマークが表示された「AUDIO」「AUDIO+MIDI」「MIDI」というモードが用意されているのだが、ここに切り替えることで、そのチャンネルはパソコンの音声信号、そしてさらにMIDI信号のやり取りが可能になるのだ。
INPUT SELECTORノブの切り替えで各チャンネルにパソコンのオーディオ信号を入出力したり、MIDIコントローラとして使うことができる。イルミネーションの色によって動作モードがわかりやすいという工夫もあり、ここでは3チャンネルが「AUDIO」、4チャンネルが「AUDIO+MIDI」、5チャンネルが「MIDI」となっている |
INPUT SELECTORの切り替えで各チャンネルにオーディオ&MIDIを自由にアサイン
もう少し詳しく説明していこう。INPUT SELECTORを「AUDIO」にした場合は、そのチャンネルはFireWireを通じてZERO8とパソコンの間で音声信号のみがやり取りされる。この場合はZERO8側でEQやセンドエフェクトなど、すべての機能を使うことができる。
「AUDIO+MIDI」を選択すると「PAN」「EXT 1」「EXT 2」「ZERO FX SEND」のイルミネーションが青に切り替わる。実はZERO8ではそれぞれのノブは色によって受け持っている機能を示しており、赤のイルミネーションはオーディオ、青のイルミネーションはMIDIを扱う。つまり「AUDIO+MIDI」では「PAN」や「ZERO FX SEND」を動かすことでMIDIメッセージを送信する、MIDIコントローラとして動作するのだ。
そして「MIDI」ではEQのノブも青く光り、そのチャンネルは完全にMIDI専用として動作する。このモードではチャンネルフェーダーも無効となり、またEQが青く光っていることからわかるようにZERO8のEQ機能も無効となるという仕組みだ。
このMIDIコントローラ機能は各チャンネルのノブに限らず、「MIDI CONTROL BANK」のA~Dボタンをクリックすることでその下に配置された1~8のノブ、そしてディスプレイをX-Yパッドとして使うこともできる。ノブは回すだけでなくプッシュもできるので、かなり多くのMIDIメッセージを割り当てることができるだろう。
バンドルされるAbleton Live Lite 6 Korg Editionには残念ながら現時点ではZERO8用の設定ファイルなどは用意されていないが、簡単な設定でZERO8からリモートコントロールすることが可能となる |
なおZERO8のオーディオインタフェースとしてのスペックを確認しておくと、最大でサンプリングレート192kHzまで対応している。ただしサンプリングレート設定により動作に違いがあり、44.1および48kHzで動作しているときは全チャンネル+内蔵エフェクト+EQが利用できるが、96kHz動作時は8チャンネル使えるもののエフェクトは使用できず、またEQは1~4チャンネルのみが利用できる。そして192kHz動作時は4チャンネルのみが使え、エフェクトやEQは使えない、といった制限がある。たとえばレコーディング時は192kHzで高音質に録り、ライブ時は44.1kHzでZERO8の機能をフルに活かす、といった使い分けが考えられるだろう。
サンプリングレート44.1~96kHzはパソコンから切り替えることができるが、192kHzで動作させるにはZERO8のSETUPボタンを押しながら電源を入れる。ZERO8はASIOドライバもサポートしており、さまざまなソフトで活用できるはずだ |
さて最終回となる次回は、ZERO8のカスタマイズ機能やパソコンから設定を行う専用ソフトについて紹介しよう。