さまざまな製品が発売されているオーディオ/MIDIインタフェイス、ハードウェアとしてのスペックはもちろんだが、最近は付属のバンドルソフトウェアもチェックポイントだ。今回は豪華なバンドルソフトだけでなく、個性的な機能を備えたオーディオインタフェイスをチェックしていく。

バンドルソフトにも注目してオーディオインタフェイスを選ぶ

パソコンで本格的に音楽制作をするなら、まず最初に購入したいのが音声信号の入出力を受け持つオーディオインタフェイスだ。現在のパソコンはよほど特殊なものでない限り、オーディオ機能を内蔵している。しかし内蔵の端子形状が楽器類との接続には向かないミニプラグであったり、またDAWソフトやソフトシンセで活用されるASIOドライバのように、DTM向けのドライバソフトをサポートしていないことがほとんどのため、音楽制作に向いているとはいいがたい。

オーディオインタフェイス選びのチェックポイントについては、機会を改めて紹介するつもりだが、最低でも先に述べたASIOドライバに対応したものを選びたい。これによりレイテンシと呼ばれる音の遅れ、つまりタイムラグを小さくすることができる。

もっとも、ASIOドライバに対応したオーディオインタフェイスそのものは非常に数が多くなっている。そこで選択ポイントのひとつとなるのは、バンドルソフトの内容だろう。オーディオインタフェイスとソフトウェアを別々に購入するよりもお買い得な価格設定の場合が多く、これからDTMを始めようという人にとっては、そういったオーディオインタフェイスを買うだけでとりあえずの環境が揃う。また既に何らかのソフトを使っている人でも、ちょっと変わったソフトがバンドルされていれば、新しい世界が広がる可能性も大きいのだ。

今回はNative Instruments社のオーディオインタフェイス「AUDIO KONTROL1」を紹介する。4種のバンドルソフトが付属するという豪華版で、それぞれが個性的な内容となっている。またオーディオインタフェイスそのものも、バンドルソフトに負けず劣らず個性的なのだ。

大型ノブとボタンで各種ソフトのコントロールも可能

同製品はUSB接続のオーディオ/MIDIインタフェイス。本体のサイズは52×150×123mm、重量400gとなっている。電源はACアダプター不要のUSBバスパワーで駆動するため、ノートパソコンと組み合わせてスタジオに持ち込む、といったスタイルでも使いやすい。ヘアライン仕上げのアルミ製筐体は高級感ある仕上がりで、上面に大きなノブとボタンが配置されているのが特徴だ。

シルバー部分はアルミ製でがっちりした印象の「AUDIO KONTROL1」。上面には各種のインジケータ、大型ノブと3つのボタンが配置されている。ノブとボタンの周りにもインジケータが内蔵され、操作することで点灯する

スペック的にはアナログ音声入出力が2in4outで、それぞれ最高24bit / 192kHzに対応している。音声入力端子は本体前面に配置されているが、1系統はXLR端子とTRSフォン端子を兼用、ファンタム電源にも対応しているため、コンデンサーマイクの接続も可能だ。

もう1系統はHi-Z対応のTRSフォン端子。このためギターやベースを直接接続することができる。出力端子は4系統ともTRSフォン端子ですべて背面に配置、ヘッドフォン端子は前面に配置されるが、1/2chと3/4chをスイッチ操作ですぐに切り替えることができる。そしてMIDI入出力が1in1outとなっている。

オーディオ入力端子は前面左側にまとめられている。入力1はファンタム電源対応のXLR/TRSフォン、入力2はHi-Z対応のTRSフォンだ

背面には4系統のオーディオ出力端子、ファンタム電源の切り替えスイッチ、MIDI入出力端子、そしてUSBポートが配置される。USBバスパワーで駆動するため、外部電源は不要

最近のオーディオインタフェイスとしてはデジタル音声入出力を備えていないのは珍しいが、アナログに関してはマルチトラックレコーディングを行うのでなければ、さまざまな使用目的に対応できるスペックだ。なお、ドライバはもちろんASIOドライバに対応。また、同製品はWindows/Mac両対応で、MacのDTMで活用されるCore Audioドライバにも対応している。

上面にある大きなノブとボタンが非常に目立つが、これはMIDI信号または各ソフトウェアのキーボードショートカットを送出するもの。つまり同製品はオーディオ/MIDIインタフェイス&MIDIコントローラであり、このノブとボタンを操作することにより、DAWソフトなどをコントロールすることが可能となる。

各種ソフトをコントロールするにはあらかじめ設定が必要だが、バンドルソフトは当然として、DTMソフトに関してはかなりの種類がプリセットとして用意されている。もちろんオリジナル設定を作成することもでき、単純にノブを回す、ボタンを押すだけでなく、左ボタンを押しながらノブを回す、左+右ボタンを押す、といった割り当てもできるため、合計4つのノブとボタンでもさまざまな操作が可能だ。キーボードやマウスに比べて直感的に操作できる。次回からは、バンドルソフトと組み合わせてこのAUDIO KONTROL1を使っていくことにしよう。

ノブおよびボタンのマッピングは付属ソフトで設定。バンドルソフトだけでなく、Steinberg社のCubaseシリーズやPropellerhead社のReason、ableton社のLiveなど豊富なプリセットが用意される。もちろん自分好みに設定を変えることも可能だ