実はiPodにも録音機能が用意されている!?

デジタルオーディオプレイヤーの中には、付加機能として「ボイスレコーディング機能」を備えているものがある(図1参照)。本体に内蔵したマイクを使い、MP3やADPCMで録音できるというものだ。本体サイズの制約上か、またはあくまでもオマケ的な機能であるためか、内蔵マイクは小型のモノラルマイクがほとんどで、記録フォーマットにもあまり高音質を期待できるものではないのだが、用意されていると何かのときに役立ちそうな機能ではある。

デジタルオーディオプレイヤーの中でも一番人気のiPodシリーズでは、これまで標準状態でボイスレコーディングができる製品は発売されていない。ただし社外品でiPod用の外付けマイクがいくつか発売されており、これを装着するとiPodのハードディスクやフラッシュメモリへの録音が可能となる。実はiPodは初期の製品やiPod shuffleを除き、標準で「ボイスメモ」という機能を備えており、WAV録音ができるのだ。ただし本体にマイクを内蔵していないため普段はボイスメモメニューが非表示となっているが、dockポートに先述の外付けマイクを装着することでメニューが表示され、録音が可能となる。

図1 図2

内蔵マイクでのボイス録音、そしてFMラジオ録音も可能なビクターの「XA-M10」

iPod classicや第3世代iPod nanoに対応しWAV録音が可能となるBelkinの外付けマイク「TuneTalk Stereo」

このiPod用外付けマイクはBelkinの「TuneTalk Stereo」など、以前からいくつか発売されていたが、WAVで録音できるとはいえ、そのルックス的にはリニアPCMレコーダに比べるとそれほど高性能マイクには見えず、価格も5,000円以上とそれなりの値段だ(図2参照)。そのため個人的にはこれまであまり興味がなかったが、本格的なX-Y型ステレオマイクを搭載したiPod用ステレオレコーダと称する製品「ProTrack」が登場したので、早速お借りしてみた。

これまでの製品とは一線を画する本格的なX-Y型マイクを搭載

Alesisの「ProTrack」はこれまでのiPod用外付けマイクと同様、dockポートに装着することでiPodでのWAV録音が可能となる。しかし外観はかなり異なる。これまでの外付けマイクはコンパクトさを追求していたのに対し、ProTrackは大型クレードルのようなデザインで決して小さくはない。HDDを内蔵するiPod classicより一回りは大きい(図3参照)。そして本体同様、マイクもそれなりの大きさがある(図4参照)。マイク配置は90度のX-Yマイクとなっており、見た目の印象としてはZOOMのリニアPCMレコーダ「H4」を連想した(図5参照)。

図3 図4 図5

X-Y型ステレオマイクを搭載するAlesisのiPod用レコーダ「ProTrack」。サイズは73(W)mm ×185(D)mm×50(H)mm、重量200gとiPod classicよりも大きい

本体上面にX-Y配置のステレオマイクを搭載、開き角は90度固定、マイクガードも備える

24bit/96kHzのWAV録音が可能なZOOMリニアPCMレコーダ「H4」とマイク部分の印象は似ている

機能的にはこれまでのiPod用外付けマイクと比べ、かなり本格的で、マニュアルで録音レベル調整ができることはもちろんだが、入力レベルメータも搭載している(図6参照)。またヘッドホン端子も搭載され、録音モニターが可能だ。そのほか、マイク/ライン入力が2系統搭載され、外部機器やマイクを接続し、レコーディングをすることもできるが、端子形状はXLR/Phoneコンボジャックで、ファンタム電源供給も可能なため本格的なコンデンサマイクを繋いでのレコーディングにまで対応する(図7参照)。過大入力を防ぐリミッタも搭載されており、機能的には各社のリニアPCMレコーダと並んでいるようで期待がかかる(図8参照)。

図6 図7

左右チャンネル独立してのレベル調整が可能。表示ステップは5段階と粗いが、入力レベルメータも備えている。MENUおよびENTERボタンはiPodのMENUおよびセンターボタンと機能は同じだ

底面にヘッドホン出力と、2系統のマイク/ライン入力を備える。XLR/Phoneコンボジャック仕様で、端子中央部分にはゴムカバーを装備。なおエレキギター/ベースの直接接続には非対応

図8

右側面にはヘッドホンレベル、リミッタ、そして外部機器接続時のステレオ/モノラル録音切り替えスイッチを備える

電源はiPod本体とは別に必要で、ProTrack背面に単4乾電池4本をセットする(図9参照)。カタログスペックではファンタム電源未使用時に約3時間、ファンタム電源供給時には約2時間の録音が可能だ。なお専用ACアダプタも付属し、ACアダプタからの給電時はProTrackにセットしたiPodの内蔵バッテリを充電することも可能だ。

図9

単4乾電池4本で駆動し、三脚穴も備える。かなりしっかりしたゴム足を備え、机の上などに置いてもフローティングマウントとなるように工夫されている

このように既存のiPod用外付けマイクに比べかなり本格的に見えるProTrack。次回は実際にiPodをセットして使ってみよう。