誰でも簡単にアプリの追加が可能となったApp Store
2008年7月にいよいよ日本でも発売されたApple製の携帯電話「iPhone 3G」(以下iPhone)。iPhoneの発売と同時に、この手のデバイスが好きな人にとって興味深いサービスも開始された。
それが「iTunes」で利用できる配信サービス「iTunes Store」の中に用意された「App Store」である。これは世界中で開発されたiPhone/iPod touch用のアプリケーションの中から好きなものを選び、ダウンロードして手元のiPhoneへインストールできる、というもの。つまりiPhoneは機能拡張できる携帯電話なのだ。
iTunes 7.7以降で「iTunes Store」の中に追加された「App Store」。さまざまなアプリケーションをダウンロードしてiPhoneやiPod touchへインストールできる。各「カテゴリ」にはさまざまなアプリケーションが分類されている |
提供されるアプリケーションはTo Doリストのように仕事に役立つものから、iPhoneに内蔵されたGPSを活用したナビゲーション、ゲームなど、多彩だ。アプリケーションの開発元はバラバラで、一部にはAppleが開発したものもあるが、ほとんどはサードパーティ製である。
実はこのiPhoneにアプリケーションをインストールすること自体は、App Store開始以前からできた。ご存知のように海外では2007年からiPhoneが発売されており、Jailbreakと呼ばれるいわゆるハック作業を行うことでアプリケーションが追加できたのだ。またiPhone用のアプリケーションは、日本でも発売されている「iPod touch」でも同様にインストールできる。ただしJailbreakは、あくまでもメーカー保障外の使い方であるため、iPod touchを持っていても手を出しかねていた人も多いだろう。
敷居が高く、また保障外であったアプリケーションの追加が、App Storeの開始により誰にでも簡単にできるようになった。そしてApp Storeで販売されているアプリケーションの中には、iPhoneを楽器に変えたり、iPhoneで曲作りができるようなアプリケーションもあるのだ。
楽曲購入とは異なりデモ版は用意されず
ではApp Storeで音楽系アプリケーションをダウンロードし、iPhoneで使ってみることにしよう。なお文中ではiPhoneを使用しているが、iPod touchでも「iPod touch2.0ソフトウェアアップデート」を適用することで、App Storeからダウンロードしたアプリケーションのインストールが可能となる。このアップデータは有料(1,200円)だが、カレンダーや電卓などApp Store関連以外の機能も強化され、基本的には通話機能を除きiPhoneとほぼ同等となる。
App Storeを使う上でiPhoneとiPod touchの気になる違いはGPS機能だ。iPhoneはGPS搭載、iPod touchはGPS非搭載のため、ナビゲーションアプリのようにGPSを利用するアプリケーションはiPod touchでは使用できない。ただし音楽系アプリケーションでは現在のところ無関係といってよいだろう。気をつけなければならないのはiPod touchにはスピーカー、マイクがないということだ。
App Storeでのダウンロード、そしてiPhoneへのインストールの手順は、iTunes Storeで購入した曲をiPodへ転送するときとほぼ同じ。iTunes Storeを使ったことがある人なら迷うところはないだろう。
音楽系のアプリケーションは「ミュージック」カテゴリを中心に、ものによっては「ゲーム」に分類されているものもある。価格はさまざまで、無料のものもたくさんある。有料アプリケーションは音楽系では100円前後から1,000円前後のものが中心。中には5,000円、10,000円を超えるような高額アプリケーションもある。
音楽系アプリケーションが集まる「ミュージック」カテゴリ。各アイコンをクリックして説明文を表示する。気に入ったらダウンロードすることができる |
Fat Out Labの「ProRemote」はデジデザイン「ProTools」のトランスポートやミキサーをiPhoneからリモートコントロールできるアプリケーション。フル機能版は1万8,000円という高額アプリだ |
App Storeで少し残念なことは、無料で試せるデモ版といった概念がないこと。各ページには開発元の説明文、そしてユーザーレビューが掲載されてはいるものの、音楽系アプリケーションではその説明が英語であることが多い。また少ない画面写真では内容が掴みづらい。無料アプリケーションの場合はとりあえずダウンロードすればよいが、有料版は開発元のWebサイトをチェックしてから判断したほうがよいかもしれない。
次回以降は面白そうな音楽系アプリを探し、実際に使ってみよう。