私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。

財布を大切に扱う人はお金が貯まる

まずは、次のチェックリストで自分に当てはまるものをチェックしてみてください。

□レシートで財布がパンパンになっている

□今、財布にいくら入っているかわからない

□ポイントカードやクレジットカードで財布が膨らんでいる

□小銭が多い

□小銭入れの口が開きにくく、小銭を取り出しにくい

□家の中で財布の置き場所が決まっていない

□帰宅したら、財布はカバンに入れっぱなしだ

□財布に入れる金額が決まっていない

□期限切れのクーポン券が入ったままだ

□お札の種類を揃えて入れる習慣がない

このうち3つチェックがついたら、あなたは「お金が貯まらない習慣」が身についているかもしれません。

20年近く、家計のやりくりの取材をしていて実感することのひとつが、お金を貯めている人は、財布を大切にするということです。自宅に伺って「財布を見せてください」と言ったとき「あれ? どこに置いたかな?」ということは、まず絶対にありません。外出した日でも、夜、カバンから財布を取り出し、中身をチェックしてから、決まった財布の置き場所に戻します。

なかには1日の最後に乾いた布で財布を拭きながら「お疲れ様でした」と声をかけるという人も。そういう人たちは「財布はお金のおうち。お金にとって居心地がいいように財布を大切にしているんです。居心地が悪いと、お金が出ていっちゃうでしょ」と言います。つまり、財布を大切にする→お金を大切にする→お金が貯まる……というわけです。

財布の中身を把握することが、貯まる財布への第1歩

反対に、財布の扱いがぞんざいな人は、お金が貯まらないということです。財布を見た瞬間に「この財布では、絶対たまらない」とひと目でわかります。カード類で財布がパンパンで、財布の口からお札やレシートがはみ出しているような財布を持っている人でお金を貯めている人には、出会ったことがありません。

貯まる財布にするためには、まず財布の中身を全部出して、次の点をチェックしましょう。

所持金を決める

財布にお金を補充するタイミングと金額を決めます。手持ちの現金がなくなったら、その都度、口座から下ろすのではなく、たとえば毎週月曜日に2万円補充すると決めます。1週間、途中補充なしでやりくりすれば、予算が守れて貯蓄できるようになります。

帰宅後、財布の中身をチェックする

財布をカバンに入れっぱなしにせず、帰宅したら財布を出します。その際にレシートをチェックして家計簿に記入。家計簿は普通のノートでOK。日付、店名、金額だけを記入する簡単なもので十分です。店名を見れば、だいたい何に使ったかがわかります。記入することで、使った金額を頭にインプットすることになり、自然と使い過ぎにブレーキがかかります。

ポイントカードは8枚まで

ショップのポイントカードはよく使う物を8枚まで厳選します。全部持ち歩かないと不安という人は、財布とは別にカードケースを携帯して、財布のゴチャつきを防止。財布がゴチャついていると、手持ちの金額が把握しにくくなります。

中身の指定席を決める

財布にはポケットや仕切りがたくさんあります。どこに何を入れるかを決めましょう。お金のほかに財布に入れてOKな物は、銀行のキャッシュカード、クレジットカード、ショップカード、運転免許証、保険証、クーポン券など。それぞれに指定の仕切りやポケットを決めます。

レシートはお札と一緒にしない

お札のおつりと一緒にレシートを受け取り、そのままお札の仕切りに入れるのはNG。手持ちの金額が把握しやすいように、お札とレシートは別々に。クーポン券や無料券も使い忘れがないように、お札とは別の仕切りに入れます。

貯め上手さんの財布はなぜか長財布

二つ折り財布派の人でも貯め上手さんはいますが、長財布派の方がお金を貯めている人が多いようです。長財布派の人は「お金に折り目がつくのがイヤ」といいます。それだけお金に敬意を払っているということなのかもしれません。

そして共通しているのが、お札の種類をそろえて財布に入れていること。1万円札が千円札の挟まれているということは絶対にありません。財布を開いたときに、お札に印刷されている人物と目が合うような向きに入れている人が多いようです。その理由は「諭吉さんと目が合うと大事にしようと思うから」とのこと。お金を大切にする心がけが徹底しています。

長財布の中には小銭入れの口が開きにくいものがあります。また男性用の財布の場合は、札入れのみということも。小銭が出しにくいと、つい面倒になりお札で払い、おつりの小銭で財布がパンパンになりがち。小銭が多いと手持ちの金額を把握しにくくなります。今、財布にいくら入っているかを把握することは、使い過ぎ防止のポイント。小銭が出しにくい財布の場合は、小銭入れを別にするのがオススメです。

財布の使い方を見直すだけでムダ使いが防げ、貯まる習慣が身につきます。ぜひ試してみてください。

<著者プロフィール>

村越 克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。