俳優・木村拓哉が、2006年公開の『武士の一分』以来となる時代劇主演に挑んだ。初タッグとなる三池崇史監督が「キャスティングは運命」と語る通り、木村は吸い寄せられるように『無限の住人』(4月29日公開)に身を投じ、百人斬りの異名を持つ不老不死侍・万次を憑依させた。剣客集団・逸刀流に両親を殺され、敵討ちを渇欲する少女・浅野凛の用心棒を請け負いながら、「正義とは何か」「命とは何か」を投げかける。

1993年から2012年まで漫画家・沙村広明氏が命を削るように描き続けた万次を、木村はどのように体現したのか。「無限」を「時間や時空ということではなく、想い」と捉えていた木村。今回のインタビューでは全6回・約7000字にわたり、本作に対する木村の「無限の想い」に迫る。最終回となる第6回は、「木村拓哉の今後」について。

木村にとっての「無限」は「想い」

――「不死身」に対してはどのようなイメージですか?

チラッと思ったことがあるのは、幸せな時じゃないですか? ずっとずっと、こうだったらいいなって思えるような。でも、そんなことは不可能だと、すぐに分かる。

だからこそ、真剣に考えたり、向き合ったり、取り組んだりするんだろうなと思います。今やらせていただいている仕事では、役も変わっていろいろなことをやらせてもらっていますけど、そこは見据えられない。すごく俯瞰で広いワイドレンズで世の中と今の自分を見た時に、「永遠じゃない」「無限じゃない」と分かる。「やるからには残したい」という気持ちになります。

――今後の活動として、歌やミュージカルを望む声もあります。

自分の中で想像をクリエイトしていくことは、なかなか見えてこない。でも、求められた場合は考える必要があると思います。それは踊りにしても、歌にしても。でもね、歌ってないし、踊ってないから、マジで筋力が大事なんだと思っています(笑)。昨日、ちょっと必要性があって、スタッフと一緒に軽くリハーサルをさせていただいたタイミングがあったんですが、これはヤバイと(笑)。筋力が落ちていることを実感しました。

――木村さんにとっての「無限」は、「時間や時空ということではなく想い」だと。

質量で計れるものではなく、過ぎ去った時間ではなく、人の「想い」。そっちだったら、有り得そうな気がします。時間の無限って、厳しいと思うんです。言葉でもいい。そのベースとなる「想い」であれば、無限はあり得るんじゃないかなと思います。

■プロフィール
木村拓哉
1972年11月13日生まれ。東京都出身。O型。これまで数々の出演ドラマをヒットさせ、映画では『君を忘れない』(95)、『HERO』(07・15)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)などに出演。スタジオジブリ作『ハウルの動く城』(04)ではハウルの声優を好演した。山田洋次監督がメガホンを取った時代劇主演映画『武士の一分』(06)は、興行収入40億円を超えるヒットを記録した。