Excelで、プラス/マイナスは関係なく、値の差を「絶対値」として表示させたい場合は、ABS関数を使うと便利です。通常の計算では、基準となるセルよりも比較対象セルの値が大きいと、「- (マイナス)」が付いてしまいますが、それを回避できます。

本連載では、「よく使うけど忘れやすいMicrosoft Officeの操作」をキーワードに、Officeアプリケーションの使い方を解説していきます。記事の制作には、執筆時点で最新の状態にアップデートしたMicrosoft Office 2016を使用しています

絶対値なら計算結果に「マイナス」が付かない

ここでは氏名と生年月日が入力された表を例に、DATEDIF関数を使って生年月日から年齢を算出し、基準となる人の年齢(C2セル)と他の人の年齢(C3~C6セル)から「年の差」を計算してみます。通常の方法では、基準となる人より年齢が上の人はマイナスの差が表示されてしまいますが、ABS関数を使えば、基準値との差を「絶対値」としてマイナスを付けずに表示できます。

DATEDIF関数で年齢を表示する

まずは、DATEDIF関数を使って、C列に生年月日と今日の日付(TODAY関数で算出)から現在の年齢を表示させます。C2セルをクリックして数式を入力していきましょう。

  • 年齢を入力したいセル(画面の例ではC2)をクリックして選択し、数式バーに「=DATEDIF(」と入力します

  • 生年月日を入力してあるセル(B2)をクリックして数式に入力し、「,」(カンマ)で区切ります

  • 「続けて「TODAY(),"y"」と入力し、カッコで閉じて「=DATEDIF(B2,TODAY(),"y")」という数式を完成させます。DATEDIF関数で、生年月日から今日までの年数を求める数式となります

  • [Enter]キーで数式を確定させると、生年月日から現在の年齢が計算されます

  • 数式を入力したC2セル右下のフィルハンドルを下にドラッグして数式をコピーします

  • 表に入力した人物それぞれの年齢が表示されました

普通の数式では「マイナスの差」になる場合が

続いて、基準となる年齢と、他の人物の年齢の差を計算する数式を作成します。まずは基準のセルを絶対参照($)で指定し、比較する年齢のセルの値を引いて差を表示してみましょう。

  • 基準となる年齢(画面の例ではC2)との年の差を表示させたいセル(D3)を選択して、数式バーに「=$C$2-C3」と入力します。基準の年齢のセルは「$」を付けて絶対参照で指定します

  • [Enter]キーで確定させると、基準の年齢(C2)からC3セルの年齢を引いた年の差が表示されました

  • 数式を入力したD3セルのフィルハンドルを下にドラッグしてD4~D6セルに数式をコピーします

  • C列の生年月日が基準となるC2の年齢より高いと、マイナス表記の年の差となってしまいます。「年の差-(マイナス)17歳」という表現でもいいのですが、基準から多くても少なくても、絶対値で年の差を表示したい場合もあるはずです

ABS関数を使って数値の差を絶対値で表示

プラス/マイナス関係なく、絶対値として基準の年齢との差を表示したい場合はABS関数を利用します。先ほど作成した数式にABS関数を加えてカスタマイズするだけでOKです。今回紹介している年齢の差だけでなく、絶対値を使って差を表示したいというケースは意外と多いので、ABS関数の使い方を覚えておくときっと役立つはずです。

  • 先ほど数式を入力したD3セルを選択し、数式バーに「=ABS($C$2-C3)」という数式を入力します。基準値(C2)と指定したセル(C3)の差を、絶対値で表示する数式になります

  • D3セルの値はもともと正(プラス)の整数だったので、「10」という表示は変わりません。D3セルのフィルハンドルを下にドラッグしてD4~D6セルに数式をコピーしてみましょう

  • マイナスの値だったD5、D6セルの値が絶対値で表示されました。これで、プラス/マイナス関係なく、基準値からの差を絶対値として確認することができます