連載第1回目では「Endeavor MR6000」の性能や使いやすさをチェックしたが、今回注目するのは「地デジ/Blu-ray対応モデル」。デジタル放送に必要な条件を満たしたオプションがズラリと並び、ユーザーの好みに合わせて視聴環境を整えられるのが魅力だ。リモコンで録画もラクラクできてしまうその使い勝手に迫る。
評価機の主な仕様 [CPU] Intel Core 2 Duo E8500(3.16GHz) [チップセット] Intel G45 Express [メモリ] 2GB [HDD] 250GB [ディスプレイ] なし [サイズ/重量] 約W179×D396×H368mm/約10.2kg [OS] Windows Vista Home Premium [直販価格] 135,450円
約9万円から購入できる手軽さが魅力
エプソンダイレクトでは、「Endeavor」シリーズのうち、デスクトップ4機種、ノート2機種に「地デジ/Blu-ray対応モデル」を用意している。ここで紹介する「Endeavor MR6000」もそのひとつで、BTOでは本体内蔵型の「地デジ対応チューナー」と「Blu-ray Discドライブ(以下BDドライブ)」の選択が可能。BDドライブを搭載しない最小構成なら約9万円で地デジに対応できる価格の安さも大きな魅力だ。
この「地デジ/Blu-ray対応モデル」は、きょう体のデザインやHDDを手軽に増設できる「HDDスウィングアクセス」など、メンテナンス性の高さは第1回で紹介したモデルとまったく同じだが、BTOメニューは少々異なる。グラフィックスがチップセット内蔵の「GMA X4500HD」に固定されており、変更できないのだ。
著作権保護や動作検証の問題からの仕様だとは思うが、ハイビジョン映像の視聴に3Dゲームも楽しめる万能マシンとして仕上げられないのは少々残念。3D性能を求めるなら、通常のモデルでBTOを利用するのがいい。
ちなみに、地デジの視聴にはいくつかの注意事項がある。まず、HDCPに対応していないディスプレイではデジタルでの映像出力ができない。次に、アナログ接続ならばHDCPへの対応は必要ないものの、52万画素以下の表示と画質は大幅に下がってしまう。また、HDMI出力を備えているが、音声は背面にあるアナログ出力に限られる。ハイビジョン映像を存分に楽しみたいなら、BTOメニューにある液晶ディスプレイを選ぶといいだろう。すべてのラインナップがHDCPに対応しており表示条件を満たしているからだ。
リモコンでラクラク操作の地デジ視聴・録画
次は地デジの視聴・録画機能をチェックしていこう。ハードウェアのセットアップは、背面にB-CASカードを挿入し、テレビのアンテナケーブルを接続、そしてUSB接続となっているリモコンの受光部をUSBポートに取りつければ完了となる。ソフトウェアは、Vistaに標準で搭載されている「Windows Media Center(以下WMC)」を利用するので、WMCを起動してテレビのセットアップを実行し、あとは指示に従うだけでセットアップは完了と簡単だ。
あとは、メニューから「テレビを見る」を選べばリモコンで家電のテレビと同じように操作ができる。予約録画も簡単。「番組ガイド」を選択すると、番組表が表示されるので録画したい番組を選ぶだけ。「シリーズ録画」を選べば、その番組を毎回自動的に録画するようになる。お気に入りのドラマを見逃したくない場合などに便利だ。
また、キーワードを入力しての番組検索やスポーツ、映画などジャンルを絞っての番組検索も用意している。スポーツを選ぶとサッカー、野球、ゴルフなどさらに詳細なジャンルが選べるなど、自分好みの番組を探しやすくなっているのだ。
その一方で、ウィークポイントもある。大きなところでは、ムーブ機能を備えていない点だ。地デジ放送の録画は可能となっているが、DVD/Blu-rayといったメディアへのムーブが行えない。ダビング10にも対応しておらず、録画した番組を別のパソコンやプレイヤーで見る方法がないのは残念だ。
また、画質の変更機能がなく試用したマシンには250GBのHDDが搭載されていたが、大容量となるハイビジョン画質のまま録画されるために設定画面では24時間程度しか保存できないと表示された。HDDを増設して録画する容量を増やす手段があるとはいえ、H.264など高圧縮・高画質の形式に変換する機能がほしいところだ。もしくは、購入時に大容量HDDを選択しておきたい。
ながら視聴もOKと使い勝手は上々
地デジ番組の視聴、という点では上々の使い勝手を実現している。全画面表示だけではなく、ウィンドウとしても表示でき、しかもウィンドウのサイズは自由に変更が可能。ウィンドウを小さくして、ウェブを見ながらや文書作成をしながら地デジの番組を楽しめるのはうれしいところだ。
ハイビジョン放送は視聴や録画に大きなマシンパワーを必要とするが、Intel Core 2 Duo E8500を搭載する評価機では視聴・録画ともにCPUの使用率は35~50%。視聴しながら、サイトを見るなどいくつかの作業を行っても特に処理のもたつきも感じることはなかった。BTOで選べる、クアッドコアのIntel Core 2 Quadなど上位CPUを選べば、もっと快適になるだろう。
なお、Blu-rayの再生はWMCでは行えず、付属の再生ソフト「Win DVD 8」を利用する。Win DVD 8でもリモコンで再生やチャプターのスキップ、メニューの操作などが行えるため、それほど不便は感じないものの、できればWMCに集約してほしい。これは、本体がどうこうではなく、WMCの問題なのでマイクロソフトのアップデートに期待をしたいところだ。
自分用の地デジ対応テレビがほしい人にピッタリ
HDMI出力を備えているので、大画面の液晶テレビと接続してPCとレコーダーそして、Blu-rayプレイヤーの1台3役として使うという手もあるが、ミドルタワーだけにテレビ台の横にさりげなく置く、というのはなかなか難しい。一番ピッタリなのは、一人暮らしや自分の部屋など、限られたスペースでPCと地デジの両方を整えたいという人だ。
10万円以下で購入できる手軽さと、BTOを利用すれば1TBのHDDやIntel Core 2 Quadも搭載が可能と目的に合わせてスペックを変更できる柔軟性がある。アナログ放送の終了まであと2年。地デジ対応のMR6000をチェックしてみても損はないぞ。
■評価機の仕様 | |
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型番 | Endeavor MR6000 |
CPU | Intel Core 2 Duo E8500(3.16GHz) |
チップセット | Intel G45 Express |
メモリ | 2GB(1GB×2) |
HDD | 250GB |
光学ドライブ | Blu-ray Discドライブ(CPRM対応再生ソフト付き) |
グラフィックス | Intel GMA X4500HD |
ディスプレイ | なし |
オーディオ | Intel High Definition Audio |
ネットワーク | 10/100/1000BASE-T |
インタフェース | USB2.0×7、PS/2×1、VGA出力ほか |
サイズ/重量 | W179×D396×H368mm/約10.2kg |
OS | Windows Vista Home Premium |
直販価格 | 135,450円 |