今年8月に発売されたMSIの「870A Fuzion」は、「Big Bang-Fuzion」「P55A Fuzion」に続く"Fuzion"マザーボードで、待望のAMDプラットフォーム向け製品と言うこともあり話題になった製品だ。今回紹介する「870A Fuzion Power Edition」は、その870A Fuzionの上位モデルという位置づけの製品。現時点では国内未発売、近日中の市場投入が見込まれる状態であるものの、絶妙の機能強化が施された注目の一枚に仕上がっている。

MSI 870A Fuzion Power Edition

メーカー MSI
製品名 870A Fuzion Power Edition
フォームファクタ ATX
対応ソケット AM3
対応CPU Phenom II X6/X4/X3/X2、Athlon II X4/X3/X2 ※TDP125Wサポート
チップセット AMD 870+SB850+Lucid LT22102
対応メモリ DDR3 SDRAMスロット×4基(最大容量16GB)、アンバッファードDDR3 1600(OC)/1333/1066/800
拡張スロット PCI Express (2.0) x16×2、PCI Express x1×3、PCI×1
マルチグラフィックス Lucid Hydra A/N/Xモード
ストレージ SATA 6Gbps×6ポート(SB850)
RAID機能 RAID 0/1/5/10(SB850)
ネットワーク 10/100/1000BASE-T×1
オーディオ機能 HDオーディオ
インタフェース USB 3.0×1ポート(+内部接続用×1ポート)、USB 2.0×6ポート(+ピンヘッダにより6ポートの拡張が可能)、IEEE1394×1ポート(+ピンヘッダにより1ポートの拡張が可能)

今度こそAMD 870チップセット搭載のFuzion

まずは「Power Edition」と呼ばれる所以、現行の無印870A Fuzionとの違いから確認してみたい。大きく異なるのはチップセットの構成。無印870A Fuzionでは、こちらの記事にもあるように色々あって、AMD 770+SB710チップセットを搭載していたが、870A Fuzion Power Editionでは、ノースブリッジに「AMD 870」、サウスブリッジに「SB850」、そして"Fuzion"マルチGPU用の「Lucid Hydra」というチップ構成となっている。

ノースブリッジは「AMD 870」であることを示す「215NDA7AKA21FG」の刻印

サウスブリッジは「SB850」だ。Power EditionではネイティブでSATA 6Gbpsに対応する

Lucid Hydraチップは「Lucid LT22102」

サウスブリッジとLucid Hydraは同じヒートシンクで冷やす配置

拡張スロットは、PCI Express x16スロットが2本、PCI Express x1スロットが3本、PCIスロットが1本。無印870A FuzionからはPCI Express x1スロットが1本増やされている。グラフィックスカード×2枚によるマルチGPU構成が可能となっており、AMD+AMD(Aモード)、NVIDIA+NVIDIA(Nモード)、AMD+NVIDIA(Xモード)のいずれの組み合わせにも対応する点は変わらずだ。

拡張スロットの構成。無印870A Fuzionと比べるとPCIe x1が1本多い

バックパネルの構成は無印と同様

基板上のUSB 3.0ポートは無印と同じ位置

USB 3.0のチップはおなじみのNEC製だった

さらに、同社が最大のウリとしている高性能電源回路「DrMOS」を、8+2フェーズの計10フェーズで搭載してきたというのも、この「Power Edition」の特徴だろう。ほか、USB 3.0やSATA 6Gbpsといった最新インタフェースの装備、TDP125Wもサポートする6コアCPUへの対応、高品質基準「ミリタリークラス」パーツの採用、各種オーバークロック機能等々、無印870A Fuzionの利点は、基本的にすべてを引き継いでいる。

CPU周り。高性能電源回路「DrMOS」がずらりと並び、Icy ChokeやHi-C CAPも採用された豪華仕様

タッチセンサー化されたボタン類や、独自オーバークロック機能「OC Genie」など、独自機能が豊富

無印870A Fuzionが、どちらかと言えば廉価版の"MSI Fuzion"マザーという存在だったのに比べると、今回の870A Fuzion Power Editionは、MSIの最新機能をふんだんに盛り込んだ、AMDプラットフォーム向けFuzionマザーの決定版と言える仕上がりだ。AMDユーザーが、Fuzionの柔軟なマルチGPUでパフォーマンスを追い求めようとする際に、必要十分なスペックを実現しており、高く評価できる。

国内未発表モデルであるため、実際の発売時に実売価格がどの程度になるのかはわからないが、今のところ無印870A Fuzionは店頭で14,000円前後で売られている。Power Editionは、DrMOS化による安定性向上や高効率化など、メリットは多く、数千円の上乗せ程度の価格帯で登場してくれれば、コストパフォーマンスを求めるユーザー達にとっても、なかなか魅力的な選択肢に成り得る製品だろう。