新世代Phenom IIにあわせて発表されたAMDの最新コンシューマ向け最上位チップセット「AMD 890FX」。これをゲーマー向けに極限クラスのハイエンド仕様で完成させたのが、今回紹介するASUSTeKの「Crosshair IV Formula」だ。
ASUS Crosshair IV Formula
メーカー | ASUSTeK |
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製品名 | Crosshair IV Formula |
フォームファクタ | ATX |
対応ソケット | AM3 |
対応CPU | Phenom II X6/X4/X3/X2、Athlon II X4/X3/X2 |
チップセット | AMD 890FX+SB850 |
対応メモリ | DDR3 SDRAMスロット×4基(最大容量16GB)、アンバッファードDDR3 2000/1800/1600/1333/1066 |
拡張スロット | PCI Express 2.0 x16×3、PCI Express 2.0 x4×1、PCI×2 |
マルチグラフィックス | ATI CrossFireX |
ストレージ | SATA 6Gbps×6ポート(SB850×6ポート)、SATA II×1(JMicron JMB363)、eSATA×1ポート(JMicron JMB363) |
RAID機能 | SB850(RAID 0/1/5/0+1) |
ネットワーク | 10/100/1000BASE-T×1(Marvell 88E8059) |
オーディオ機能 | 7.1 HDオーディオ(SupremeFX X-Fi) |
インタフェース | USB 3.0(NEC D720200F1)×2、USB 2.0×7(+ピンヘッダにより5ポートの拡張が可能)、IEEE1394×1(+ピンヘッダにより1ポートの拡張が可能 VIA VT6315N) |
AMD 890FXは、AMD 8シリーズの最上位にあたるチップセット。CrossFireXも890GXのように16レーン1本を2本いスプリットするのではなく、16レーンがフルで2本利用できるため、トップ性能をねらうゲーマーやオーバークロッカー向けとして本命視されている。Crosshair IV Formulaはもちろん、AMD 890FXの機能全てを堪能できる仕様となっている。
バックパネルにはキーボード用PS/2、USB 3.0端子×2、USB 2.0端子×7(うち1基はROG Connect)、eSATA、LAN、オーディオ入出力など。スイッチはCMOSクリアと∞マークのROGオン・オフスイッチ |
拡張スロットレイアウトはPCI Express x16×4にPCI×2。4本のPCI Express x16スロットのうち3基はPCI Express 2.0 x16×2本またはx16×1本+8レーン×2本という組合せが可能。残る1本はPCI Express 2.0 x4スロットとして利用できる。
Crosshair IV Formulaは最新の6コアCPU「Phenom II X6」をサポート。ゲーマー・オーバークロッカー向けのR.O.G.シリーズとして8+2フェーズという余裕の電源回路を採用している。また、Crosshair IV Formulaのヒートシンク類はやや小ぶりで背が低い。このおかげでAMD 790FXの時のCrosshair III Formulaで気になっていたCPUクーラーとの干渉が、Crosshair IV Formulaでは改善されている。AMD 890FXチップは65nmプロセスで製造されていることに加え、AMD 890GXのようにIGPを搭載しているわけでもないため、発熱は比較的おだやかだ。
ストレージは、SATA 6Gbpsに対応したSB850のSATAポートが6つ、そしてJMicronのJMB363による内部SATA IIが1ポート、バックパネルのeSATAが1ポートという構成。JMB363自体はPATAもサポートしているが、Crosshair IV Formulaでは採用されていない。まだ光学ドライブ等でPATAを利用しているユーザーは要注意だろう。比較的面積の大きなPATAコネクタが無いぶん、レイアウトはスッキリしている。
SATAポートはSB850のポートが6、JMB363のポートが1。多すぎず少なすぎずという選択。SB850側6ポートはL字コネクタなので干渉は少ないが、JMB363側の垂直ポートは製品によっては#2グラフィックスカードとの干渉も考えられる |
JMicronのPATA・SATAチップ「JMB363」。Crosshair IV FormulaではSATA機能のみ利用している |
その他のオンボードチップは、1000BASE-T LANがMarvell「88E8059」、IEEE1394がVIA「VT6315N」、USB3.0がNEC「D720200F1」。オーディオ機能には「SupremeFX X-Fi」が採用されており、マザーボード左下にシールド装備のチップが搭載されている
Crosshair IV Formulaのハードウェア面での概要を紹介してきたが、本製品一番の特徴はやはりオーバークロック機能。ボード上にも「iROG」「TurboV」と刻印されたチップが搭載されているが、これらとソフトウェアを組み合わせ、様々な手法でのオーバークロックを可能としている。特に本製品のみの機能「ROG Connect」は、USBケーブルを介して他のPCなどからオーバークロックを行える機能。専用ソフトウェアからUSBケーブルで繋がれたCrosshair IV Formula PCのクロックや電圧のステータスを監視できるほか、電源オンやリセット等のリモート操作、POSTコードの確認等が可能だ。外付けLCDリモコン等でこうした機能を実装した製品はあるが、他のPCを使うというアイデアは面白い。
iROGは電圧等マザーボードの各種制御を行う管理プロセッサと説明されている |
ASUSのミドルレンジ以上のマザーではお馴染みのTurboV EVOももちろん搭載。また、その下にある「ProbeIt」はテスター用の接点端子。より精密な電圧測定を可能としている |
ROG ConnectはCrosshair IV Formulaとは別のPCからCrosshair IV Formulaのクロックや電圧、電源ボタンやリセット等を制御できる。ハードウェアを直接制御しているようで、ハングアップ時には強制的に電源オフすることも可能だ |
AMDプラットフォームで究極のOCをねらうための1枚
Crosshair IV Formulaは、もともとオーバークロックユーザーに評価を得ているR.O.G.シリーズの製品だが、今回の目玉機能「ROG Connect」は、これまでとはちょっと異なる感覚のオーバークロックを楽しませてくれる。一見するとWindows上からオーバークロックする機能とリモコン機能を融合させたようにも見えてしまうが、情報量と手軽さという双方の長所を掛け合わせた"かなり使えるOC機能"という印象だ。
競合に比べ低価格な6コア、さらに倍率もフリーな「Phenom II X6 1090T」の登場で注目を集めるAMDプラットフォームでのオーバークロック。Crosshair IV Formulaはまさにそうしたユーザーにとっての至高の一枚となりえるだろう。