ASUSTeKはマザーボードへの省電力機能の実装に早くから取り組んでいるメーカーだ。そのASUSTeKのIntel P45 Expressチップセット搭載マザーボード「P5Q Deluxe」。同社のP45マザーボードは多数あるが、そのなかでもハイエンドに位置するモデルである。特に16フェーズ電源回路は圧巻。これをEPUという独自チップによって細かく制御することで、ハイパフォーマンスはもちろん、電力の無駄を省くことで発熱を抑制し、冷却に要するファンのノイズをも低減することができる。他にも様々なフィーチャを搭載する同マザーボードをじっくりと見ていこう。
ASUSTeK「P5Q Deluxe」
■主な仕様 | |
メーカー | ASUSTeK |
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製品名 | P5Q Deluxe |
フォームファクタ | ATX |
対応ソケット | LGA775 |
対応CPU | Core 2 Extreme/Quad/Duo、Celeron、Pentium DC、Celeron DC |
対応FSB | 1600/1333/1066/800MHz |
チップセット | Intel P45 Express +ICH10-R |
対応メモリ | PC2-6400/8500/ (4スロット、最大16GB) |
拡張スロット | PCI Express 2.0 x16×2(x8+x8によるCrossFireX対応)、PCI Express x16×1(x4レーン)、PCI Express x1×2、PCI×2 |
ストレージ | SATA×9(チップセット×6、Silicon Image SiI5723CNU×2、、Marvell 88SE6121×1)、PATA×1(Marvell 88SE6121) |
RAID機能 | チップセットSATA(RAID 0/1/5/0+1) |
ネットワーク | 1000Mbps×2(Marvell 88E8056/88E8001) |
オーディオ機能 | 7.1ch HDオーディオ(ADI AD2000BX) |
インタフェース | USB2.0×10、IEEE1394a×2 |
キーボード/マウス兼用のPS/2ポート、6ポートのUSB2.0、IEEE1394a、eSATAが1ポート、GbEが2ポートのほか、デジタル/アナログのオーディオ入出力を備える |
ASUSのハイエンドモデルに付属するバックパネル「Q-Sheild」。抑えとなるバリが無く、裏面はスポンジとなっていて密閉性も高まる。ASUSTeKの製品ではこうした小物パーツも見逃せない |
Intel P45 Expressチップセットは、Intel 4シリーズのなかではメインストリーム向けに属するチップセットだ。上位にはIntel X48 Expressチップセットが用意されているのだが、X48はひと世代古いチップセットをベースにハイエンドの求める機能を追加したものとも見れる。つまりP45はセグメント的にはひとつ下でも現在最新と呼べるチップセットなのである。P45の特徴は、サポートするFSBの引き上げと、それに伴うサポートCPUが増えているほか、もうひとつハイエンドユーザーの注目すべき点として8レーン×2本のCrossFireXをサポートした点にある。Intel P35 Expressなどの従来のチップセットでもCrossFireXは構成できたのが、16レーン+4レーンとなるなど、帯域のバランス的に見るとP45の方が理想に近いわけである。
P5Q Deluxeでは、PCIe 2.0 x16スロット2本に加え、もう1本PCIe x16スロットを搭載している。PCIe 2.0スロット2本は8レーン×2本のCrossFireXをサポートしており、もう1本のPCIe x16スロットはx4レーン動作となる。グラフィック用というよりはレーン数の多いハイエンドカードを搭載可能なスロットと見るのがよいだろう。このほか、PCIe x1が2本、PCIが2本あり、計7スロットという構成だ。また、ストレージポートも豊富に備える。チップセットがサポートするSATA×6ポートに、Silicon ImageのSiI5723CNUとMarvell 88SE6121によりeSATAを含む3ポートを追加した計9デバイス。さらにPATAを1系統備えているので最大11デバイスまで接続可能だ。
PCIe Gen2/Gen1合わせて計3本のPCIe x16スロットを搭載している |
SATAが8ポート、PATAが1チャンネル。SATAポートのうち4ポートは横向きのレイアウトだ。さらにバックパネル側に1ポートeSATAを出している |
肝心の電源回路を見てみよう。先にも記述したとおり、P5Q Deluxeは16フェーズの電源回路を装備する。CPUソケットの左に8フェーズ、上に8フェーズというレイアウトだ。このソケット上部の電源回路横に実装されているのが、EPUと刻印された電源供給制御チップだ。ロゴの上には小さく(2)という番号も振られ、EPU 2.0バージョンであることがわかる。斜め上にはPEMと刻印されたチップもあり、これもASPという型番であることから、この機能は2つのチップで構成されているようだ。
16フェーズ電源回路を採用。フェーズ数を増やし、負荷に合わせて利用するフェーズ数を可変させている |
EPU-6EngineチップがCPUをはじめ様々なデバイスへの電力供給を制御。低負荷時には消費電力を抑制し、高負荷時には安定性向上を実現する |
メインストリーム向けのIntel P45 Expressチップセットをベースに、ハイエンドユーザーが求める機能を実装したのがP5Q Deluxeである。このほかにもオーバークロックユーザーに便利なオンボードスイッチ、さらにLinuxをベースとした瞬時で起動するOS「Express Gate」も備えている。Express Gateは、PCIスロットと2本目のPCIe x16スロットとの隙間に実装されている。フラッシュメモリにLinuxベースのOSがインストールされており、Windowsを起動しなくてもウェブブラウジングをはじめとする簡単なPC操作が可能だ。
そのほかのオンボード機能としては、ギガビットイーサネットが2系統、そしてIEEE1394a、そして7.1chオーディオ機能といった定番機能が搭載されている。
メモリセットモデルもねらい目
16フェーズという多フェーズ構成のP5Q Deluxeは、オーバークロッカーにも注目される製品である。Core 2 ExtremeなどのCPUをさらに高クロックで動作させたり、あるいは低クロックのCPUをベースに限界に迫るようなオーバークロックも、この製品なら期待大だ。また、基本的にハイエンド向けの製品ではあるのだが、例えば省電力を狙ったユーザーにもこの製品を検討してもらいたい。なぜなら、省電力といえばグラフィック統合チップセットが定番であるのだが、比較的ローコストに走りやすい機能を省いた製品よりも、高度な省電力機能を備えたP5Q Deluxeなどの製品をベースにしたほうが、パフォーマンスと消費電力のバランスで良好な結果が得られる可能性が十分に考えられるからだ。
問題はコスト面だが、P5Q Deluxeでは、代理店によってはお得なDDR2メモリセットのキャンペーンモデルも用意されていたりする。バンドルされているメモリも、GeILをはじめ自作PCでは名の知れたブランドメモリで安心だ。