Universal ABITの「IX38 QuadGT」は、Intel X38チップセットを搭載したハイエンドマザーボード。ソケットはLGA775で、クアッドコア/デュアルコアのハイエンドCPU、45nmプロセスCPUにも対応する。また、PCI Express x16スロットは、2.0対応の16レーンが2本、実質x4レーンが1本の計3本構成をとる。そして最大の特徴は、オーバークロッカーを意識した様々な機能の搭載だ。

Universal abit「IX38 QuadGT」

Digital PWM回路に、各種ボタン、POSTコードLCDを搭載した「IX38 QuadGT」

主な仕様
メーカー Universal abit
製品名 IX38 QuadGT
フォームファクタ ATX
対応ソケット LGA775
対応CPU Core 2 Extreme QX、Core 2 Quad、Core 2 Extreme X、Core 2 Duo、Pentium Extreme Edition、Pentium D、Pentium 4、Celeron D
対応FSB 1600/1333/1066/800/533MHz
チップセット Intel X38+ICH9R
対応メモリ PC2-8500/6400/5300×4スロット(最大8GB)
拡張スロット PCI Express x16×3、PCI Express x1×1、PCI×2(3本のPCIe x16のうち2本は2.0対応、1本はx4帯域。CrossFireをサポート)
ストレージ SATA×8(チップセット×6・JMicron JMB363×2)、PATA×1
RAID機能 チップセットSATA(RAID 0/1/0+1/5/JBOD)、JMicron JMB363 SATA(RAID 0/1/JBOD)
ネットワーク 1000Mbps×1
オーディオ 8ch HDオーディオ
インタフェース USB2.0×12、IEEE1394a×2

マザーボード表面を見ると、固体コンデンサを全面採用しているのがわかる。液漏れが無く、長寿命な固体コンデンサの採用はハイエンドマザーボードの証とも言える。もうひとつの特徴として、CPU電源回路はDigital PWM制御を採用している。IX38 QuadGTでは、Volterra製の「VT1165SF」が5基に、COILTRONICSの「CPL-5-50」が1基(5連で1つのマルチフェーズインダクタ)を組み合わせた構成だ。

ノースブリッジはIntel X38 Express

サウスブリッジはICH9Rを採用している

固体コンデンサを採用し、CPU電源回路はDigital PWM制御

チップセット用の冷却システムは、ノース・サウスの両チップヒートシンクをヒートパイプで結ぶ一般的な方式。しかしなぜかCPU電源回路上のヒートシンクとは結ばれていない。逆に、ノースブリッジ上のヒートシンクからメモリスロット横のヒートシンクへとパイプが伸びている。また、このメモリスロット横のヒートシンクはパイプを支えに宙に浮いており、風を受けるためだけにここにレイアウトされているようだ。

バックパネルには、キーボード・マウス用のPS/2、デジタル/アナログのオーディオ入出力、USB2.0×4、LAN、IEEE1394に加え、2ポートのeSATA、そしてCMOSリセットスイッチが搭載されている。

バックパネルにCMOSリセットボタンを用意している

IX38 QuadGTには3本のPCI Express x16スロットを持つ。青い2本のスロットはPCI Express 2.0に対応したx16スロット、黒いPCI Express x16スロットが1.1対応でx4帯域のスロットとなる。他の拡張スロットは、一番上がPCI Express x1スロット、下2本がPCIスロットとなる。最近のマザーボードの拡張スロットレイアウトは、PCI Express x16スロットの間にx1スロットやPCIスロットを配置することが多い。そうしたなか、IX38 QuadGTはやや独特なレイアウトと言える。青い2本のx16スロットにグラフィックスカードを挿してしまうと、残る黒いx16スロットは必然的にシングル厚のカードを挿すこととなる。

1本のPCIe x1の下は、3本のPCIe x16、2本のPCIが並ぶ拡張スロットレイアウト

そのほか、マザーボードの右下にはμGURUチップ、POSTコード表示用のLCD、そして電源・リセット用のボタンスイッチが搭載されている。μGURUチップはソフトウェアと連動して各所の電圧や温度、ファンの回転数等を監視・制御できる。また、POSTコードや両スイッチは、限界を見極めるようなハードなオーバークロック時に便利な機能だ。

マザーボード右下にはμGURUチップ、POSTコード表示用LCD、電源・リセットボタンと、注目機能がまとめて搭載されている

オンボード機能では、バックパネルのeSATA+1系統のUltra-ATA/133用にJMicronのJMB363を搭載。ほか、8ch HDオーディオチップはRealtek ALC888、ギガビットイーサネットチップはRealtek RTL8110SC、IEEE1394チップはTIのTSB43AB22Aを採用している。

ギガビットイーサネットチップはRealtek RTL8110SC

8chオーディオチップはRealtek ALC888

IEEE1394チップはTI TSB43AB22A

Digital PWM回路の信頼性、ABIT伝統のオーバークロック機能の組み合わせ

製品パッケージ

IX38 QuadGTの構成を見ていくと、3本のPCI Express x16スロットを持ち、豊富なオンボード機能、POSTコード用LCDやCMOSクリア・電源・リセットのオンボードスイッチなど、ハイエンドにターゲットを絞ったX38マザーボードとして十分なスペックを持つ。いちばんのポイントは先進的なDigital PWM回路、さらに固体コンデンサを全面採用するといった回路面の強化だろう。Digital PWMはまだあまり採用例は多くはない。しかしこの回路を採用する各社はそれぞれ、安定性、リップルノイズの抑制などをその効果に挙げている。こうしたDigital PWM採用によるプラス面と、古くから定評あるABITのオーバークロック機能が合わさることで、さらなるオーバークロックの実現に期待したいマザーボードだ。