連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。
クレジットカードを使うことは借金をすることと心得る!
現在は、クレジットカードを使わない暮らしをするのは現実的ではないかもしれません。今や水道料金や電気料金、ガス料金などもクレジットカードに対応していますし、自治体によっては税金の支払いもクレジットカードで行えます。家賃の支払いができる会社もあります。
クレジットカードは、さまざまな会社やお店が取り扱っています。買い物時の値引きやポイント付与などの優遇を"ウリ"に広告・宣伝されていることもあって、多くの人の財布の中には複数のクレジットカードが入っているでしょう。4月から新社会人になった方も、すでにクレジットカードを作っているのではないでしょうか。
ネットやお店にはクレジットカードの有利な使い方の情報があふれていますが、私たちがまず肝に銘じておかねばならないのは、「クレジットカードを使うことは、借金をすること」だということ。買い物をした時から実際に代金を払い終えるまでの間は、お金を借りていることになるのです。そのため、使い方によっては手数料(利息)を払わなければなりません。手数料(利息)がかかる使い方をすると、ポイント獲得などの特典は吹き飛んでしまいます。
クレジットカードを使うときの基本は、借金の手数料(利息)がかからない使い方をする習慣をつけること。その上で、ポイント獲得などを意識するようにしましょう。
次のチェックリストに、あてはまるものには○、あてはまらないものには×をつけてみましょう。クレジットカードで手数料(利息)がかからない使い方をする習慣を身につけるためには、下のすべての項目に「○」がつくようにしたいものです。
クレジットカードで買い物はしても、キャッシングはしない
クレジットカードは、買い物で使う場合は手数料(利息)がかからない使い方ができますが、直接お金を借りるキャッシングは、手数料(利息)を払う必要があります。金利は10%を超える場合もあり、大きな負担になります。
「お金がないからお金を借りる」使い方をするのではなく、「お金はあるけど、今手元にないからカードで買い物をする」使い方に限定するようにしましょう。
カードでの支払い回数は、1回か2回にする
クレジットカードで買い物をしたとき、一般的に支払い回数が2回までは手数料(利息)がかかりません。3回以上の分割払いや、毎月一定額や一定割合で支払う「リボルビング払い」にすると手数料(利息)がかかります。無駄な負担をしないためにも、締切日の翌月に払う1回払いか、締切日の翌月と翌々月に払う2回払いに限定しましょう。
できれば、その後の家計管理がしやすい「1回払い」がいいですね。なお、ボーナス月に払う「ボーナス一括払い」でも手数料(利息)はかかりません。
使うカードは、1枚か2枚に決めている
複数のカードを持っている場合でも、実際に使うのはできるだけ少ない数に限定するようにしましょう。なぜなら、それだけ管理が難しくなるからです。複数のカードを使うとカードごとに利用代金明細が届きます。明細をチェックするにも手間がかかり複雑になります。できるだけシンプルにチェックや管理ができるように心掛けたいものです。
カードで買い物をしたときは、「控え」をちゃんと保管し、管理している
クレジットカードで買い物をしたときに受け取る「控え」は、すぐに捨ててしまうのではなく、保管して、カードを使った履歴を残すようにしましょう。あとのチェックに役立ちます。
利用代金明細書が届いた時に、翌月に銀行口座から差し引かれる額を確認している
カード会社からは、郵便かメールで、定期的に届く利用代金明細は必ず確認するようにしましょう。金額の合計だけではなく、「控え」と明細をチェックし、翌月にどの買い物の代金が銀行口座から差し引かれるかを確認します。
買い物の時期によっては、銀行口座から代金が差し引かれる時期が遅れることがあります。翌々月への繰り越しがいくらあるかということもしっかり把握しておきましょう。
クレジットカードで買い物をする毎月の限度額を自分で決めている
クレジットカードは、買い物をする時期と代金を支払う時期が異なるために家計管理が複雑になります。しかし、面倒だからと管理をしなければ、使い過ぎて家計を圧迫していまいかねません。それを避けるために、あらかじめカードで使う金額の上限を自分で決めてはいかがでしょうか。
平均的な手取り月額収入から、平均的な生活費や家賃、小遣い、積立貯蓄額を差し引いた額を上限に決めるのです。こうして目安を作っておけば、使い過ぎを防ぐことができます。
クレジットカードは世の中にあふれかえり、活用を促すような情報もたくさんありますが、適切な使い方や心構えをちゃんと学習する機会はほとんどありません。「借金」であることを常に肝に銘じ、収入の範囲内で使い過ぎないようコントロールする習慣を身につけるようにしましょう。
執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。
「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)
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