連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。

エンゲル係数が29年ぶりの高水準!

2017年2月に公表された総務省の「2016年家計調査」では、消費支出に占める食費の割合である「エンゲル係数」が2人以上の世帯で25.8%となり、1987年以来29年ぶりの高水準だと話題になりました。

働いていない世帯を除いた2人以上の勤労者世帯でも、2016年のエンゲル係数は24.2%と、2007年の21.7%から徐々に上昇している傾向がみてとれます。もう少し細かく、2人以上の勤労者世帯の収入別のエンゲル係数をみてみましょう。

2人以上の勤労者世帯の収入別のエンゲル係数

エンゲル係数は高いほど、食費以外に振り向けるお金の余裕がない状態になり、生活が苦しくなるといわれています。一般的には、収入が低い世帯ほど、エンゲル係数が高くなる傾向があります。

上の表に「平均」をみると、家計の消費支出の約4分の1が食費で使われていることになります。

我が家の「エンゲル係数」を計算して平均と比較してみよう

自分と家族の消費傾向を確認するために、我が家のエンゲル係数を計算してみましょう。できれば、少なくとも数カ月間家計簿をつけて、平均値を算出しましょう。食費には、食材や調味料代のほかに、お酒や出前、外食費、お弁当代なども含めます。

わが家の「エンゲル係数」を計算してみよう

家計の細かい支出の情報を、他の人と交換し合うことはまずないでしょう。ですから「平均」と比較してみて、自分の支出のクセや傾向を把握するのです。 なお、支出傾向が平均と大きくかい離していても問題はありません。家族構成や年齢、夫婦共働きかどうか、住んでいる地域、住宅ローンの有無などによって、支出の仕方は異なるものです。自分の支出の傾向がわかり、納得できればいいでしょう。

大切なことは、家計簿をつけて分析すること。貯蓄目標を立てて実行すること。

4月は異動や昇給などの季節でもあり、子供がいる世帯は入学や進学の季節です。そのため、4月からは前年度とは支出の仕方が変わる世帯が多いでしょう。今年度から収入が増えるにしろ、増えないにしろ、新たな支出が始まると、これまでの支出を見直してできるだけ節約し、家計をうまくやりくりする必要があります。

そのためにも、家計簿を付ける習慣を身につけて、それを分析し、ムダの排除に役立てて欲しいものです。また、新たな年度の貯蓄目標額を立て、それにもとづいて毎月積立額やボーナス積立額を見直し、確実に着実に貯蓄が進むようにしましょう。

執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。

「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)

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