連載コラム『サラリーマンが知っておきたいマネーテクニック』では、会社員が身につけておきたいマネーに関する知識やスキル・テクニック・ノウハウを、ファイナンシャルプランナーの中村宏氏が、独断も交えながらお伝えします。
生命保険の保険料は年齢・性別で決まる!
生命保険に加入するとき「誕生日を過ぎると毎月の保険料が高くなるから、今のうちに生命保険に入ったほうがトク」などとよく言われますね。
それは、保険料を決める要素のひとつである「予定死亡率」が、性別・年齢別に算出されているからです。一般的に年齢が上がるほど死亡するリスクが高いため、毎月支払う保険料は高くなります。
しかし、実際はどうでしょう。もっと細かく見ていけば、別の切り口でも死亡率を算出することができそうです。たとえば、タバコを吸う人と吸わない人とでは、タバコを吸う人のほうが死亡する確率が高いはず。メタボの人とそうでない人も、メタボの人のほうが生活習慣病に罹患する確率が高そうです。
このように、年齢・性別以外の切り口でもリスクを測定して健康と判断した人の保険料を割り引く保険を「リスク細分型保険」と言います。おもに損害保険系や外資系の生命保険会社が、定期保険、収入保障保険などで「リスク細分型保険」を販売しています。
年齢、性別以外のリスクの判断基準は「喫煙者か非喫煙者か?」「血圧やBMI値(身長と体重の関係を示す肥満度を表す指数)が一定の範囲に収まっているか?」など。
タバコを吸わない健康な人は、タバコを吸う標準的な人よりも月々の保険料が何割も安くなるのでかなりおトク。子供が生まれ定期保険や収入保障保険の加入を検討している方でタバコを吸わない方は、ぜひとも「リスク細分型保険」の見積もりをとって保障内容と保険料を比較してみてください。
「健康年齢」で保険料が決まる保険はシンプルな医療保険
2016年6月17日に、「健康年齢」で保険料が決まる保険が販売されました。 保険会社は「健康年齢少額短期保険会社」、商品名は「健康年齢少額短期保険」。
健康年齢とは、毎年会社で行う健康診断で計測する12項目のデータと性別・実年齢をもとにして独自に算出した健康状態を年齢で表したもの。健康になるほど保険料が安くなるので、健康へのモチベーションが上がるかもしれません。
保障内容はいたってシンプルです。5大生活習慣病(がん・脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、高血圧)の治療のために入院状態になったとき、一律80万円がまとめて支払われます。
契約できる年齢(実年齢)は18歳から75歳までで、保険期間は1年間。通常このような保険は1年が経過すると自動的に更新されますが、この保険は違います。改めて健康年齢を算出し、前年よりも若くなれば安い保険料で再契約することになります。逆に健康年齢が上がれば保険料も高くなります。
健康年齢別の月払保険料(例)は以下の通りです。
たとえば実年齢が55歳でも健康年齢が45歳であれば、手頃な保険料で加入することができます。健康に自信がある方は検討してもいいかもしれませんね。
終身医療保険に既に入っている人が、一定の期間だけ生活習慣病のリスクに備えてこの保険で上乗せの保障を確保するような場合に適していると言えるでしょう。
加入するかどうかは別にしても、自分の現在の健康年齢が何歳なのかは気になるところ。最新の健康診断結果を手元に準備し、ネットで計測してみてはいかがでしょうか。
執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。
「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)
メルマガ「生活マネー ミニ講座」(平日・毎日配信)
HP「FPオフィス ワーク・ワークス」